ワイヤーフレーム
ワイヤーフレーム (wire frame) とは、3次元コンピュータグラフィックスにおけるレンダリング手法の1つ。3次元オブジェクトを竹ひご細工のような線形状のみで表現する。
概要
3DCG黎明期より、3次元モデルを2次元の描画面に投影する場合の最も基本的な手法がワイヤーフレームであった。その原理は極めて簡単で、3次元座標を持つ複数の点を一定の順序で結んでいくことで立体物を描画するものである。
計算機の性能が向上する以前、リアルタイムにコンピュータグラフィックス(CG)を描画する場合、最も現実的なレンダリング手法がワイヤーフレームであり、かつてはCGといえば、その多くはワイヤーフレームモデルであった。また初期のベクタースキャンディスプレイに適した描画手法だった事もあったが、その後ラスタースキャンディスプレイが普及すると共に、線分をピクセルに変換するアルゴリズムが考案された。さらに陰線消去や塗りつぶしにより擬似的に面を表現する事で、より立体的なモデルを描画する事も可能になった。
映画では『スター・ウォーズ』 (1978) において、反乱軍のブリーフィング場面でデス・スターへの突入シミュレーションに用いられたワイヤーフレーム映像は、3DCGの将来性を強く観客にアピールした。当時、CGは多数の手間と費用を要し、またCGといえばワイヤーフレームが当然であったため、黒く塗りつぶした造形と高輝度ワイヤーを使ってハイコントラスト・モノクロフィルムに撮影された「疑似コンピュータグラフィックス」が利用されることもあった。
一時テレビCMで多用された方法として、3次元ワイヤーフレーム図形を1コマ分ずつXYプロッタで描き、それを製版用のリスフィルムに焼付け、さらに透過光で映画フィルムに焼き付けるというものがあった。手間はかかるが1本1本の描線にフレアー効果をかけることができ、いかにも最先端技術というインパクトがあって、自動車メーカーなどのCMに好まれて採用された。その後、1980年代にはパソコンゲームなどでワイヤーフレームを使った3Dゲームが登場し始め、90年代にはポリゴンを使ったゲームが多数登場することとなる。
現在でも、3DCG作成ソフトではリアルタイムにレンダリング結果を得るために、ワイヤーフレームを利用した透視図が利用されているものが多い。