ブラジリアン・ホット・デュオ

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ブラジリアン・ホット・デュオ
ジルベルト・ジル&ジョルジ・ベンスタジオ・アルバム
リリース
録音 リオデジャネイロ
ジャンル MPB
時間
レーベル フィリップス・レコード
ヴァーヴ・レコード(リイシュー)
プロデュース Paulinho Tapajós、Perinho Albuquerque
専門評論家によるレビュー
ジルベルト・ジル アルバム 年表
1974〜ライヴ
(1974年)
ブラジリアン・ホット・デュオ
(1975年)
Refazenda
(1975年)
ジョルジ・ベン 年表
À L'Olympia
(1975年)
ブラジリアン・ホット・デュオ
(1975年)
アフリカ・ブラジル
(1976年)
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ブラジリアン・ホット・デュオ』(原題:Gil e Jorge)は、ブラジルのミュージシャン、ジルベルト・ジルジョルジ・ベンジョール(当時の名義はジョルジ・ベン)が1975年に連名で発表したスタジオ・アルバム。オリジナルLPは2枚組だったが[1]、後の再発CDでは1枚にまとめられた。

背景[編集]

2人のアコースティック・ギター弾き語りによるデュエットに、ベースとパーカッションを加えただけの編成のジャム・セッションが録音され、オーバー・ダビングは行われていない[2]。レコーディングは短期間で行われ、パーカッションを担当したジャルマ・コレアによれば、全曲を4日ほどで録音したという[3]。収録曲は両名の曲のセルフ・カヴァーが中心だが、「サーロ(即興の楽しみ)」は本作のレコーディングで生まれた即興曲で、ジルとベンが共作したのは、これが初めてである[3]

1978年に発売された日本盤LP (FDX-376)は、各曲とも短く編集されて1枚物のLPとなっていた[4]

評価[編集]

『ローリング・ストーン・ブラジル』誌が選出した「ブラジル音楽の偉大なアルバム100」では60位となった[5]。ジョン・ブッシュはオールミュージックにおいて満点の5点を付け「アルバムに収録された長大な曲には、ジルとベンによる高度な相互作用、フレーズのやり取り、そしてその繰り返しがフィーチャーされている」と評している[1]。また、音楽評論家のミケランジェロ・マトスはThe A.V. Clubにおいて、本作をジルベルト・ジルの最高傑作と位置付け「両名が互いに煽り合って、私が今まで聴いてきた中の誰にも凌駕できなそうな、最もフレンドリーかつ最もスリリングなゲームとなっている」と評している[6]

シンガーソングライターのアーニー・ディフランコは、自身のアルバム『¿Which Side Are You On?』(2012年)を制作していた頃に本作を繰り返し聴いていたとのことで、『ニューヨーク・タイムズ』紙のインタビューにおいて「思うに、(私の聴いているミュージシャンは)一貫して、音楽に対して本当に自由な人たちばかりで、その最たるものが、この『Gil e Jorge』なのよ。限界ギリギリまで生々しい。彼らは本当に自由で楽しそうよね」とコメントしている[7]

収録曲[編集]

1. 4. 5. 6.はジョルジ・ベン作、2. 3. 7. 8.はジルベルト・ジル作、9.は2人の共作。

  1. 聖なる使徒に栄光あれ - "Meu Glorioso São Cristóvão" - 8:13
  2. ブロンド娘のネーガ - "Nega" - 10:37
  3. ジュルベバの木 - "Jurubeba" - 11:40
  4. 誰の指図? - "Quem Mandou (Pé na Estrada)" - 6:52
  5. タジ・マハール - "Taj Mahal" - 14:46
  6. 男らしくしろよ - "Morre o Burro, Fica o Homem" - 6:10
  7. ラジオで放送 - "Essa é pra Tocar no Rádio" - 6:14
  8. ガンジーの信奉者たち - "Filhos de Gandhi" - 13:11
  9. サーロ(即興の楽しみ) - "Sarro" - 1:09

参加ミュージシャン[編集]

脚注・出典[編集]

  1. ^ a b Bush, John. “Gil e Jorge - Jorge Ben, Gilberto Gil”. AllMusic. 2015年12月7日閲覧。
  2. ^ Found Sound 2005”. Pitchfork. Condé Nast (2006年1月23日). 2015年12月7日閲覧。
  3. ^ a b 日本盤CD (UICY-77229)ライナーノーツ(田中勝則、1990年6月)
  4. ^ Gilberto Gil & Jorge Ben - Gil & Jorge (Vinyl, LP, Album) at Discogs - 日本盤LP(1978年)の情報
  5. ^ Listas - Os 100 Maiores Discos da Música Brasileira - Gil e Jorge Ogum Xangô - Gilberto Gil e Jorge Ben (1975, Philips)”. Rolling Stone Brasil. 2016年2月7日閲覧。
  6. ^ One more impossible installment”. The A.V. Club. Onion Inc. (2010年11月19日). 2015年12月7日閲覧。
  7. ^ McKinley Jr., James C. (2012年1月20日). “Ani DiFranco Listens to Gilberto Gil and Pete Seeger”. New York Times. 2015年12月7日閲覧。