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ファイル (文具)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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ファイル (英語: file) は、主に書類を整理するために用いられる文具である。英語の file は元来「綴じ紐」という意味であり、後に本項のような文具もこの名で呼ばれることになった。フォルダー英語: folder; 「折り畳むもの」)と呼ばれることもある。もっとも、業界ではファイルという呼び名が一般的であり、フォルダーというと書類や資料を挟み込んだりする薄型のケースを指すことが多い。

ファイルの用途

ファイルの主な用途は、書類を整理し、活用、保管するためである。このファイルが活躍するシーンは日常生活より、むしろビジネス、学術研究など仕事を行う場面である。

とりわけ、ビジネスでは特に使用頻度が高いアイテムのひとつである。ビジネスで欠かせないのは情報であり、これらを整理、管理するためにもファイルは欠かせない。近年、電子メールPCソフトインターネットなどによる情報収集、管理なども盛んになっているが、これらを管理するときにはプリントアウトという手段が用いられ、プリントアウトされた情報はファイルによって保管されることも多い。むしろ、PCファクシミリプリンターコピー機などこれらOA機器の発展によって、情報量が増大したからこそ、情報媒体であるを整理、保管するファイルの需要がさらに高まった、と考える方が適切である。

これはファイルの一番の長所である、利便性、迅速性に他ならない。いつでも、すぐに参照でき、簡単に整理、保管できる、そして簡単に持ち運べる、この融通の良さは電子機器では為し得ないものである。また、PCなどに比べ外部への情報漏洩の危険性が低く、セキュリティ面でも優れているといえる(もっとも、盗難、破損、焼損などのリスクがあるため、確実とは言い難い)。一方、大きな欠点は埋もれた情報の検索ができないことで、したがって利用者の整理、管理能力に大きく左右される。必要なときに必要な書類が見付けられないことは多々あり、時としてトラブルを招くだけでなく、本人にとっても大きな時間ロスになる。仕事ができる人ほど、ファイルの使い方が上手といわれ、できる人とそうでない人を見分けることができる指標になる、とまでといわれる所以である。

ファイルの種類

ファイルの構造は至ってシンプルで、表面と留め具で成り立っており、あとはインデックス(項目欄)が設けられているだけである。だが、種類は非常に多く、めぼしいものでも10種類近くある。これはファイルが浸透するにつれて、年々利用者からのニーズも高まったことにより、資料の分類、整理、持ち運び、保管などさまざまな用途に応じて開発された結果である。これらを大きく分けると、穴を空けるタイプと穴を空けないタイプの二種類に分けられる。

また、クリアファイルの場合は留め具を全く用いず、プラスチックのシート2枚を重ねたシンプルな構造であり、全てのファイルの基本ともいえる。

穴を空けるタイプ

パンチを使って穴を空け、そこに書類を留めていくものである。冊子形式で綴じていくために閲覧しやすい利点がある。資料類や議事録、稟議書などに用いられる)

リングファイル
Oリングファイル
穴を空けるタイプでは最もシンプルなものであり、価格も安い。また、どの位置にある書類も容易に取り出せるのが大きな利点である。また、先が丸いためにページをめくりやすいので、閲覧の多い書類を綴じるのにも適している。留め具の形がアルファベットのOに似ていることからそう呼ばれている。しかし、形ゆえに書類が均一にまとまらない、そのため、一部の書類に力がかかって、パンチ穴から紙が破れてしまう、などの欠点がある。留め具の部分を手で開くものと、レバーを使って開くものがある。一般的にレバー式の方が丈夫に作られている。また、リングの数を増やした商品もあり、数に合わせて2リングファイル、4リングファイル、8リングファイルなどと呼ばれる。
Dリングファイル
Oリングファイルの発展型で、書類が均一にまとまらない問題点を解消するために開発されたファイル。形が均整になり、整理がしやすい。さらにOリングファイルより丈夫で安定性がある。欠点は、Oリングと比べ留められる容量が少なくなることである。
フラットファイル
フラットとは平坦なこと。本体に留め足が付いており、それを留め具で固定し、書類を保管するタイプのファイルである。最もポピュラーなファイルのひとつで、留め具の素材も金属、プラスチックなどさまざまである。利点は嵩張らずに保管できることと、大きさの違う書類を留めやすいこと、そして書類をそのまま参照しやすいことである。よって閲覧することが多い資料の収集などに向いている。また、プラスチック製の留め具のものは安全性が高いため、幼稚園小学校など初等教育機関でも重宝されている。欠点はいちいち留め具を外さなければいけないため作業が面倒な点、そして一番上にある書類以外をすぐに取り外せない点である。この欠点を克服したのがリングファイルとパイプファイルである。
パイプ式ファイル
本体にパイプが取り付けられていて、そこに芯の入った留め具を差し込み、固定するタイプ。非常に堅牢であり、容量も大きいため書類の長期保管には最適のファイルである。また、留め具側にも芯が通っているため、間にある書類を取り出すのも容易くなっている。欠点はその大きさのために嵩張ることと閲覧や持ち運びには多少不便なことである。そしてコスト高のため、経費負担が大きいことも一つの弱点である。パイプ式ファイルはキングジムが開発したもので、広く「パイプファイル®」(登録第1079788号等)や「キングファイル®」(登録第4502635号等)と呼ばれているが、これらはともにキングジムの登録商標である。また、パイプ式ファイルのうち左右どちらからも文書を取り出せる両開きのものは画期的であり、大きくパイプ式ファイルの需要を伸ばした。両開きのパイプ式ファイルはドッチファイル等と呼ばれているが、「ドッチ®」(登録第2607343号等)はキングジムの登録商標である。

穴を空けないタイプ

穴を空けると不都合な書類(公文書や伝票、契約書、請求書、案内パンフレットなど)を留めたり、資料を収集、分類する用途のものもある。

ケースファイル
本体がケース状になっているファイル。持ち運びやすいため外出時などに重宝する。また、分類できるように仕切りが施されたものもある。使い勝手が良いため、鞄代わりに用いる人もいる。一方で、その特徴的な形状のため書類が紛れやすいのと、文書を固定できないことから、文書の整理や閲覧には向いていない。なお、一般には長期的な保管には不向きだが、フタ付の保存用ケースファイルも販売されている。
クリアポケットファイル
本体がアルバム状になっており、中に透明のポケットが取り付けられたファイル。ポケットの素材はビニール、セロハン、ポリプロピレンなどさまざまである。ポケット部分については固定されている製品と、自由に加除できる製品とがある。最大のメリットは嵩張らずに多くの書類を分類でき、それを簡単に持ち運べることである。欠点は分類をしっかりしないと書類が紛れやすいことと保管の拙さにより書類が破損してしまうリスクがあることである。もっとも、これは利用者の問題であり、ファイル自身の性能には直接関係しない。利便性が高いため、ビジネス以外でもよく使われるファイルである。メーカーによってさまざまな呼び名がある。テージーが開発し、実用化、同社ではクリアポケットホルダーと呼んでいる。
Z式ファイル
挟み込むタイプの留め具が取り付けられているファイルである。Zとは斜めに動く留め具の形に因んでいる。最大の利点は穴を空けずに多くの書類を留められ、書類の取り外しも簡単で、その上に保管能力に優れている点である。よって、穴を空けると不都合な公文書類や伝票、請求書、または回覧板などを留めるのには最適のファイルである。欠点は一度留め具を解除すると書類が散乱しやすい点であり、これは細心の注意を払う必要がある。メーカーによってはZファイル、レバーファイル、パンチレスファイルと呼んでいる。
クリップファイル
クリップボード(用箋挟)を本体に直接取り付けたファイル。アンケート調査や社内資料閲覧などに重宝し、その目的に適合した作りとなっている。よって書類の整理、保管という目的のためのファイルではない。
スライドバーファイル
袋状のケースにスライドするファスナーが付いたファイル。利点は非常に薄く、重ねて持ち歩いても嵩張らない点である。よって多種の書類をきちんと分類したい場合に適している。欠点はラベルを貼ったりして工夫しておかないとスライドバーファイル同士で紛れてしまうことである。
クリアファイル
プラスチック製のシートを2枚重ね、その間に書類を挟んで使用する。色、柄は多様であるがほとんどの物は透明であり、外側の書類が見えるようになっている。留め具がない分大変軽く、薄いつくりである。その反面、挟める書類の限度は少なく、強度もあまり強くはない。あくまで一時的な分類、整理のためのファイルである。
ポータブルホルダー
クリアファイルに手提げ機能を追加。手提げ袋として使用した後にミシン目に沿って切り離すとクリアファイルとして使用でき、パンフレットなどを挿入することにより、高い宣伝効果が得られる。ただし切り取られた手提げ部分がゴミとなる為、エコの観点から敬遠する企業も少なくない。
セレクトホルダー
用途に合わせて、3種類の好みのサイズ(A4・B5・A5)のクリアファイルに切り離して使用ことができるが、A4のまま使用することがほとんどである。

そのほか、細かいものを挙げると20種類近くある。

主なファイルのメーカー

外部リンク