トリニトロトルエン
トリニトロトルエン | |
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IUPAC名 | 2,4,6-トリニトロトルエン |
別名 | トリニトロトルオール TNT |
分子式 | C7H5N3O6 |
分子量 | 227.1 g/mol |
CAS登録番号 | [118-96-7] |
形状 | 黄色固体 |
密度と相 | 1.65 g/cm3, 固体 |
相対蒸気密度 | 7.85(計算値)(空気 = 1) |
蒸気圧 | 1.65×10-4 Pa |
融点 | 80.1 ℃ |
沸点 | 240 ℃(分解) |
発火点 | 475 ℃ |
出典 | 国際化学物質安全性カード |
爆薬としての性質 | |
爆速 | 6,900 m/s, 仮比重 1.60 |
熱量/質量比 | 3,790 J/g |
燃焼熱 | 14,500[1] J/g |
爆発熱 | 4184 [2] J/g |
生成ガス容積 | 730 L/kg |
鋼板試験猛度 | 5.18 |
RE係数 | 1.00 |
危険性 | |
主な危険性 | E T N |
Rフレーズ | R2 R23/24/25 R33 R51/53 |
Sフレーズ | S35 S45 S61 |
トリニトロトルエン (trinitrotoluene)、略称TNTはトルエンのフェニル基の水素のうち3つをニトロ基(-NO2)で置換した化学物質。いくつかの構造異性体があるが、単にトリニトロトルエンといえば通常 2,4,6-トリニトロトルエン (2,4,6-trinitrotoluene) のことである。化学式は C7H5N3O6、示性式は C6H2CH3(NO2)3 である。別名、トリニトロトルオール。
性質
TNT火薬の主成分となる。淡黄色の結晶であるが、日光に当たると茶褐色になる。水に溶けないが、アルコールには熱すると溶ける。ジエチルエーテルに溶ける。金属と反応しない。初期火災の場合、水・泡などの水系消火剤で消火する。
燃焼の化学式は以下の通り。
- 2 C7H5N3O6 → 3 N2 + 5 H2O + 7 CO + 7 C
製造方法
製造方法には1段法、2段法、3段法および連続法がある。
- 1段法は反応が激しく危険であるため実用では用いられていない。
- 2段法は小規模な設備のみで製造できるため実験などで少量を製造するのに用いられる。これは硫酸と硝酸の混酸を使ってトルエンを2段階ニトロ化するものである。
- 3段法、連続法は収率が良く製品純度を高めやすく扱いが容易であるため工業的な大量生産に用いられている。
歴史
- 1863年にドイツのヨーゼフ・ヴィルブラント (Joseph Wilbrand) がトルエンを硝硫混合酸を使用して高温でニトロ化することで初めて合成に成功する。
- 1891年にドイツで工業的規模での大量生産が開始される。
- 1901年にはピクリン酸に代わって主要な爆薬となる。
法規制
日本
消防法において、第5類危険物(自己反応性物質)であるニトロ化合物に属する。
火薬類取締法第2条により「火薬類」に指定されているため、製造、所持には法律による制限を受ける。ただし、第4条で定めるように理化学上の実験目的で経済産業省令で定める数量以下のものを製造する場合はこの限りでないので、理化学の実験の目的で極少量を製造することは可能である。
規格
日本ではJIS K 4813によって等級が定められている。
TNT換算
詳細は「TNT換算」を参照
核兵器の威力は一般に、同じエネルギーのTNT爆薬の重量に換算して表記される。例えば、「20メガトン級の水爆」は20メガトン、つまり、2,000万トン分のTNT爆薬と同じ爆発力を持つ。
他の主要な爆薬
出典
- ^ Babrauskas, Vytenis (2003). Ignition Handbook. Issaquah, WA: Fire Science Publishers/Society of Fire Protection Engineers. p. 453. ISBN 0-9728111-3-3
- ^ NIST Guide for the Use of the International System of Units (SI): Appendix B8—Factors for Units Listed Alphabetically