トヨタ・MTRC
トヨタ・MTRC（Motor Triathlon Race Car：モーター・トライアスロン・レースカー）とは、日本のトヨタ自動車が開発したコンセプトカーのこと。
概要
2004年のジュネーブモーターショーで初めて出品された。「トヨタの広範囲に渡るモータースポーツへの取り組み」、「四輪駆動開発の経験」、「環境に優しいテクノロジー・情報テクノロジーでのリーダーシップ」という3つの要素をコンセプトとしており、トヨタの次の世代に対する1つの可能性を示したモデルである。
近未来のレースカーをイメージしたコンセプトカーであり、サーキット、ストリート、オフロードという3つの異なる環境でレースを行うために設計されている。デザインはED2（Toyota Europe Design Development）が担当。スタイリングは近未来のフォーミュラカーを髣髴させるものであり、さらに空力を重視した設計となっている。
MTRCは燃料電池を動力源とする。燃料電池「トヨタFCスタック」を採用し、インホイールモーターで4輪を駆動するため、排出物は水のみで環境への負荷が少ない。また、水素タンクを中心より低い位置に搭載することで低重心化に成功した。
さらにMTRCには、道路条件を常にセンシングし車高などの設定を適宜調整できる、電子制御サスペンションを搭載。また路面状況にあわせて常に最大限のグリップを得ることが出来る「インテリジェントタイヤ」を採用している。
クルマは2人乗りで、ドライバーとパッセンジャーが前後に乗車するタンデム乗車の形式をとる。ハンドルとアクセルは無く、代わりにアクセル、ブレーキ、ステアリングを片手で行える「ドライブコントローラー」を採用している。
ミックス・リアリティ
MTRCには「ミックス・リアリティ」と呼ばれる高度なITが採用されている。
ドライバーとパッセンジャーは特殊なヘルメットを装着し、路面温度、タイヤの状況、路面の積雪や凍結状況等の情報をヘルメットに表示する。これにより、ドライバーは速度や外気温度などの情報だけでなく、これから起こる状況を事前に把握することができ、状況にあわせて車の性能を最大限に発揮することが可能となる。
さらに、このシステムはアクティブセーフティにおいて重要な役割を果たし、ドライバーがクルマをより安全に、正確に操作することも支援するのである。
諸元
- 全長：4060mm
- 全幅：1930mm
- 全高：1330-1480mm
- ホイールベース：2950mm
- 乗車定員：2名
- 動力：燃料電池「トヨタFCスタック」
- 駆動方式：インホイール4WD
グランツーリスモ4 TOYOTA・MTRCバージョン
SCEJとポリフォニー・デジタルとトヨタ自動車のコラボレーションにより実現した「グランツーリスモ4 TOYOTA・MTRCバージョン」が、MTRCとともにジュネーブショーに出展され。話題を呼んだ。
これはMTRC実車とヘッドディスプレイを用いたドライビングシミュレーターで、首の動きにあわせてヘッドディスプレイに表示される立体映像の風景が変化することで、よりリアルな走行感覚を再現した。
ちなみに、発売中のゲーム「グランツーリスモ4」にもMTRCが収録されている。処理の関係でレース参戦はできないが、フリーランやフォトドライブなどでコースを走らせることができる。
