チェリーセージ

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チェリーセージとはシソ科アキギリ属に属するサルビア・ミクロフィラ (Salvia microphylla)、サルビア・グレッギー (Salvia greggii)、およびこの2種の自然交雑種であるサルビア・ヤメンシス(Salvia x jamensis)やそれらの改良品種の植物の総称。開花期は、4月-11月迄と非常に長い。また、名称の通り花びらからサクランボのような香りがしエディブルとして利用できる。葉はハーブとして利用でき、ハーブティー香草として料理に添えたりする。葉を使う場合は刻んだり、すり潰すなどすると鼻につくほどまでに強く香ってしまうので、通常は葉をそのままの状態で使う。植物体の枝を軽く揺らすなどするだけでも周囲に強く香る。原産地はメキシコアメリカ南部などで国内に持ち込まれている種は、そのすべてが園芸植物として扱われている。

品種[編集]

サルビア・ミクロフィラ (Salvia microphylla)
メキシコ原産のサルビアで、標高2400m以上に生息する。日本では本種のことをチェリーセージと指すことが多い。花冠の基部に小さな突起物があるのが、グレッキーとの違いである。またミクロフィラとは、小さい葉の意であり葉の大きさでも簡単にグレッギーとの見分けが出来る。
ホットリップス
花びらが根本が白く先端が赤い品種。生育環境により、花びら全て赤、全て白だけの場合がある。ミクロフィラの改良品種の一つで園芸種として人気が高く、ホームセンターの園芸コーナーなどでも普通に見られる。
パールホワイト
純白の花びらの品種。開花直前の蕾は極淡いクリーム色だが開花すると色が抜けてより白に近い色となる。下記のピンクブラッシュと2つ並べて植える紅白寄せなどで楽しまれている。
ピンクブラッシュ
ピンク色の花びらの品種。きつ過ぎないパステル調の淡い花色が人気となっている。


サルビア・グレッギー (Salvia greggii)
メキシコ原産の標高1500m-2800mに生息しているサルビア。真っ赤な花が特徴的だが青花(実際は青紫色)の花を咲かせる品種もある。


サルビア・ヤメンシス (Salvia x jamensis)
ミクロフィラとグレッギーの自然交配種。交雑の度合いの差などによる30種ほどが発見されており、それらのうち耐寒性に優れた数種が園芸種として流通している。
葉や花の形状などは品種により個体差が大きく外見はグレッギーに似るものからミクロフィラに似るもの、明らかに両者の中間といった様相など様々である。
ただしヤメンシスに属する各品種は2020年現在では扱っている業者数が少ないなどの理由で需要の高さに対する絶対数が不足気味であり、入手は難しいのが現状。ハーブ苗を専門に扱っている数社の園芸業者から購入するのが2020年現在の時点では唯一の入手法となっている実状がある。
ゴールデンガール
黄色の花びらの品種。
サーモンイエロー
花びらの先端が白で根本がピンクの品種。国内ではヤメンシス種の中でも人気の高い品種だが2020年時点では入手困難である。入手困難であるため余計に人気に拍車がかかっている面もある。

※これらの他にオレンジ花を咲かせる品種なども流通している。

繁殖[編集]

実生も一応可能だが挿し木取り木で増やす方がより現実的であり効率も良く、また挿し木などなら確実に親株と同じクローンを得られる。

実生
種子から育てる場合、春撒きと秋撒きがあり春撒きは4~5月、秋撒きは9~10月が適期とされる。また春撒きの方がより確実性が高いとされている。用土に5mm程度の穴を開けそこに種子を落とし、土を被せる。
挿し木
土挿し
通常、挿し木は木本より草本の方が容易く木本では難しいとされているが、チェリーセージは木本であるものの容易く発根する。
時期は成長期である春~秋ならいつでも容易く発根するが、出来るだけ早い時期の方が良い。庭土に直接挿すなどでも容易く発根するが高温多湿な夏季に行うならバーミキュライトなどを使用した清潔な用土を用意するか下記の水挿しの方が適している。グレッギー種では挿し穂の葉の枚数を3~5枚程度に調整すると良い。1週間~10日ほどで根付き1か月程度で移植可能な状態にまで育つ。
水挿し
チェリーセージは水挿しでも発根可能である。水挿しで発根を確認したら土に移植すると良い。特に猛暑期など高温多湿な気候の時期は土に枝を挿すより水挿しの方が容易い。
取り木
取り木ならさらに成功率が高くなる。強風などで倒れた枝をそのままにしておくと倒れた枝が地面と接している部分から発根することがあるほど栄養繁殖力が高い。
親株から伸びている枝を一般的な方法で取り木や茎伏せを行えばほぼ100%の確率で成功する。発根後あまり長く放置すると根が張りすぎ切り分けや植え替えが困難になる。
交配
ヤメンシスの原産地でグレッギーとミクロフィラの混生により自然交配が起きヤメンシスが誕生しているのでグレッギーとミクロフィラの両方を植えておけば同じように交配が起きヤメンシスに該当するような種が出来上がる可能性は一応あるが人工授粉などによる積極的な異種間交配無くして短期間でそのような種が誕生するのは極めて低確率である。