グライム
グライム(英:grime)は、UKガラージ、2ステップなどのハウス系クラブミュージックに、ラップやレゲエの要素を加えた音楽ジャンルの総称である。2000年代に英国で生まれ、若者の間で人気となった。
概要
グライムの源流として生まれたのが、90年代半ばのUKガラージの潮流である。ハウスの一派であるガラージにヒップホップ、レゲエ、ドラムンベースなどの要素が混ざり合い、イギリス独自のハウスミュージックとして発展した。こうした音楽ジャンルが生まれる背景には、大英帝国の流れをくみ、現在も世界中に多くの連邦国家を持つ、イギリス特有の土地柄があるといわれる。
このUKガラージのパーティーにおける司会者(MC)が、後にリリシストとしての役回りを求められるようになり、既存のUKヒップホップシーンと融合。「Pay as you go cartel」というクルーに所属していたWileyがグライムとしての音楽性を確立し、現在にいたる。
サウンド
BPM135 - 150程度の早めのトラックに、極端にオクターブを下げた無機質なシンセベース、早回しのラップ、ドラム・パーカッション的な機能としてのハンドクラップ(拍手)などが特徴としてあげられる。ただし2003年頃から台頭した歴史の浅いジャンルであり、これらの音楽的特徴を持ち合わせていない楽曲も少なからず存在する。また、グライムサウンドに乗せてラップする者は「グライムMC」と呼ばれる。以下詳述する通り、ヒップホップとの接近が非常に顕著で、一聴しただけでは区別がつかないことも多い。
ヒップホップとの接近
グライムはその発展の経緯から、ハウスミュージックの一派として解釈されることが多いが、ブラックミュージックの潮流に属するヒップホップとの接近・融合が非常に顕著である。これには、UKガラージがグライムへと移行する段階でヒップホップの強い影響を受けたこと、グライムがヒップホップ同様、アフリカ系のMCに担われてきたことが理由として考えられる(無論白人のMCも存在する)。
グライムMCの中には、例えばKanoのように、グライムとヒップホップの二足のわらじを履く者が存在する。またグライムMCのファッションは、ニューヨーク・ヤンキースなどの野球帽にやや大きめのサイズのTシャツにズボン、スニーカー、サングラスとチェーンの着用などが特徴としてあげられるが、これらはいずれもヒップホップのそれと共通している。そのため、ジャケット写真等のスナップ写真を見比べただけでは、グライムMCとヒップホップMCの区別を付けることは非常に困難である。
Youtubeなどの動画投稿サイトでは、ヒップホップMCのラップをグライムのトラックに載せた、非公式のリミックス動画が作られることがある。ただし、ヒップホップMCが公式な形で、グライムの作品をリリースすることはほぼ皆無である。
著名なアーティスト
外部リンク
- 参考動画:Danger 1nze feat.E1-Better days
- Is UK on verge of Brithop boom? - BBC News、2005年11月21日付。(英語)