イタヤカエデ

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イタヤカエデ
イタヤカエデ
イタヤカエデ
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : バラ類 Rosids
: ムクロジ目 Sapindales
: ムクロジ科 Sapindaceae
: カエデ属 Acer
: イタヤカエデ Acer pictum subsp. mono[要出典]
学名
Acer pictum Thunb. subsp. mono (Maxim.) H. Ohashi, 1993
和名
イタヤカエデ

イタヤカエデ(板屋楓、学名: Acer pictum Thunb. subsp. mono (Maxim.) H. Ohashi, 1993)は、ムクロジ科カエデ属の各地の山地に生える落葉高木である。日本では北海道秋田、他に朝鮮サハリンアムール地方に自生。北海道産のものはエゾイタヤ(蝦夷板屋)とも。他に別名としてイタギ、ツタモミジ[要出典]、トキワカエデ(常磐楓)。

形態

樹高は20m、直径1mに達する[1]

  • 枝 - 若い枝は鮮褐色で軟毛がある。
  • 葉 - 長さ、幅ともに5~10cmで、掌状に浅く裂け、無毛で鋸歯がなく秋には黄褐色となって散る。
  • 花 - 小さい淡黄色で4、5月頃に咲く。
  • 果実 - 長さ1.5cm、幅がその半分ぐらいの翼果は鍬形状。
  • 樹洞ができやすい特徴がある[2]

用途

イタヤカエデの材

建築、器具、ヴァイオリンギターなどの弦楽器ハーモニカ、車両、床柱などの装飾材。

樹液

イタヤカエデの幹に傷を付けると、糖質を含む樹液が流れ出す。アイヌはイタヤカエデをトペニ(乳の木)と呼び、冬季の幹に傷を付けることで得た「甘いつらら」をアイスキャンデーのように賞味していた[3]サトウカエデにくらべて含有糖分がやや低いものの、イタヤカエデ樹液からもメープルシュガーを作ることは可能であり、第二次世界大戦直後の砂糖不足の時代に東北北海道で製造が試みられたことがあるが、商業ベースには乗らずに終わった[4]。 戦後も、他のカエデと同様に、イタヤカエデの樹液を活用する試みが、日本国内の各地で行われている[5][6][7]

その他

イタヤ細工

秋田県仙北市のイタヤ細工は、イタヤカエデの若木の幹を帯状に裂いて加工するものであり[8]、秋田県指定伝統的工芸品に指定されている[9]

品種

  • アカイタヤ
  • イトマキイタヤ
  • ウラゲエンコウカエデ (ヤグルマカエデ)
  • ウラジロイタヤ
  • エゾイタヤ (エゾモミジイタヤ)
  • エンコウカエデ (アサヒカエデ, ケナシヤグルマカエデ)
  • オオエゾイタヤ
  • オニイタヤ (スエヒロイタヤ)
  • ケウラゲエンコウカエデ
  • ケエンコウカエデ
  • ミヤマオニイタヤ

関連項目

脚注

  1. ^ 『新版 北海道の樹』辻井達一, 梅沢俊, 佐藤孝夫 (1992年、北海道大学出版会) ISBN 4832910329
  2. ^ 小野寺賢介. “日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨「樹種と胸高直径構成からの樹洞密度推定」”. 2014年3月1日閲覧。
  3. ^ イタヤカエデ”. アイヌと自然デジタル図鑑. アイヌ民族博物館. 2020年12月26日閲覧。
  4. ^ 橋本仁高田明和 編『砂糖の科学』朝倉書店、2006年11月20日、21頁。ISBN 978-4254430738 
  5. ^ 樹液せっけん出来ました 占冠 メープルシロップ原料使用”. 北海道新聞 どうしん電子版. 2020年12月26日閲覧。
  6. ^ 霧降高原の恵み 日光メープル販売:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル. 2020年12月26日閲覧。
  7. ^ 宇目産メープルシロップ誕生 自生するカエデ利用、商品化目指す - 大分のニュースなら 大分合同新聞プレミアムオンライン Gate”. www.oita-press.co.jp. 2020年12月26日閲覧。
  8. ^ ブルータス, カーサ (2015年11月24日). “裂く、編む、作る。小京都・角館のイタヤ細工。|行くぜ、東北。”. カーサ ブルータス Casa BRUTUS. 2020年12月26日閲覧。
  9. ^ イタヤ細工(秋田県指定伝統的工芸品) 観光情報”. 仙北市. 2020年12月26日閲覧。

外部リンク