アリス・シーボルド

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

アリス・シーボルドAlice Sebold1963年9月6日 - )は、アメリカ合衆国作家

来歴[編集]

ウィスコンシン州マディソンで生まれ、フィラデルフィアで育つ。ペンシルベニア州内の高校卒業後、シラキューズ大学に進学。大学1年の時に強姦被害に遭っている[1]。シラキューズ大学卒業後、ヒューストン大学に進学。その後、マンハッタン南カリフォルニアに移る。その後、カリフォルニア大学アーバイン校の大学院に進学。2001年に作家のグレン・デイヴィッド・ゴールドと結婚。

1999年に自身の強姦被害や裁判を記した回想録『ラッキー』を寄稿し話題となる。2002年には出版された。同年に小説『ラブリー・ボーン』を発表、全米で250万部のベストセラーとなった。同書は2009年『ラブリーボーン』として、ピーター・ジャクソン監督、出演シアーシャ・ローナンマーク・ウォールバーグレイチェル・ワイズで映画化された[2]

論争[編集]

2021年11月23日、シーボルドの強姦犯とされていたアンソニー・ブロードウォーターの有罪判決が取り消された[3]。ブロードウォーターは1982年に有罪となり16年間服役、1999年に出所後も性犯罪者リストに名前が掲載されていた[4]。ブロードウォーターは当初から一貫して無罪を主張していたのに加え、同犯罪について記したシーボルドの回想録『ラッキー』映画化の過程で、製作総指揮を務めるティモシー・ムシャンテが原作脚本の矛盾に気づき、私立探偵を雇って証拠を再検証、その結果をブロードウォーターの弁護士に渡した[5]。当時の裁判でシーボルドは犯人はブロードウォーターだと証言したが、警察の面通しでは別の人物を選んでいた。そして「顕微髪分析」の結果も証拠に使われたが、現在これは信頼性が低いとされている[4]。30日、シーボルドは公式声明を発表、ブロードウォーターに謝罪した[6][7]。『ラッキー』の映画化は中止となり[8]、出版社スクリブナーは同書の販売中止を発表した[9]

著書[編集]

  • Lucky (2002)(『ラッキー』片山奈緒美訳、アーティストハウスパブリッシャーズ 、2003年)
  • The Lovely Bones (2002)(『ラブリー・ボーン』単行本:片山奈緒美訳、アーティストハウスパブリッシャーズ 、2003年、文庫本:イシイシノブ訳、ヴィレッジブックス、2009年)2009年に『ラブリーボーン』として映画化
  • The Almost Moon (2007)(『オルモスト・ムーン 月が欠けゆく夜』イシイシノブ訳、ヴィレッジブックス、2009年)

出典[編集]

  1. ^ Interview: Robert McCrum meets Lovely Bones author Alice Sebold” (英語). the Guardian (2007年10月14日). 2021年12月1日閲覧。
  2. ^ スピルバーグが製作総指揮!アカデミー賞本命『ラブリーボーン』の豪華すぎる面々!|シネマトゥデイ”. シネマトゥデイ. 2021年12月1日閲覧。
  3. ^ 女性作家レイプの罪で収監の男性、米裁判所が有罪評決を取り消し 16年服役”. CNN.co.jp. 2021年12月1日閲覧。
  4. ^ a b Conviction overturned in 1981 rape of author Alice Sebold” (英語). The Seattle Times (2021年11月23日). 2021年12月1日閲覧。
  5. ^ Zraick, Karen; Alter, Alexandra (2021年11月24日). “Man Is Exonerated in Rape Case Described in Alice Sebold’s Memoir” (英語). The New York Times. ISSN 0362-4331. https://www.nytimes.com/2021/11/23/nyregion/anthony-broadwater-alice-sebold.html 2021年12月1日閲覧。 
  6. ^ Sebold, Alice (2021年11月30日). “Statement from Alice Sebold” (英語). Medium. 2021年12月1日閲覧。
  7. ^ Press, Associated (2021年11月30日). “Author Alice Sebold Apologizes to Man Cleared in 1981 Rape” (英語). The Hollywood Reporter. 2021年12月1日閲覧。
  8. ^ Keslassy, Elsa (2021年11月25日). “Alice Sebold Memoir Adaptation ‘Lucky’ Dropped After Losing Financing (EXCLUSIVE)” (英語). Variety. 2021年12月1日閲覧。
  9. ^ Alice Sebold’s publisher pulls memoir after overturned rape conviction” (英語). the Guardian (2021年12月1日). 2021年12月1日閲覧。

外部リンク[編集]