SRAM (ミサイル)
SRAM (Short Range Attack Missile)は、冷戦中期にアメリカ空軍が運用していた空対地ミサイルの一種で、核ミサイルに分類される。日本語では「短距離攻撃ミサイル」などと訳される。制式名称AGM-69。
概要
冷戦初期、戦略爆撃機に搭載された核爆弾は自由落下式のものであり、母機は攻撃時に目標上空を通過しなければならず、母機にとって核攻撃を前提とした哨戒任務はきわめて危険なものであった。初期は高高度を飛行することによって迎撃を避けていたが、やがて戦闘機や地対空ミサイルの性能が向上すると被撃墜の危険性は再度高まった。
このため離れた場所から自力飛行する核爆弾、すなわち空対地ミサイルのAGM-28 ハウンド・ドッグが開発されたものの、サイズが非常に大きく、胴体の爆弾倉に納める事は到底不可能で、巨大なB-52をもってしても2発しか携行できなかった。
SRAMは1発の重量が1 t程度と、ハウンド・ドッグに比べ非常に小型軽量化されており、B-52の爆弾倉内のロータリー・ランチャーに8発、主翼下パイロンに12発も携行することが可能であった。しかしエンジンとして固体ロケットモーターを用いているため射程が160 km程度しかなく、かえって母機の危険は強まった。
開発開始は1964年であり、1969年に試験発射が開始された。1972年から配備につけられている。B-1A向けに改良型のAGM-69Bも計画されたが、B-1A計画の中止と共にAGM-69Bの開発も中止された。冷戦の緩和・終結および機器の老朽化に伴い、1990年に退役した。後継のAGM-131 SRAM IIも開発中止となっている。
主な運用母機
- B-52G/H:最大携行数20発。空気抵抗が大きくなることから、機外搭載の運用は後に取りやめられた[1]。
- B-1B:最大携行数24発。機内3ヶ所のロータリーランチャーに8発ずつ搭載。
- FB-111:最大携行数6発。機内に2発、主翼下に4発搭載。
要目
登場作品
脚注
- ^ 世界の傑作機 NO. 31 ボーイングB-52ストラトフォートレス:文林堂 2002年 ISBN 978-4893190284
- ^ “Complete List of All U.S. Nuclear Weapons” (英語). The Nuclear Weapon Archive (2006年10月14日). 2007年7月29日閲覧。