NIRS脳計測装置

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NIRS脳計測装置とは、近赤外光を用いて頭皮上から非侵襲的に脳機能マッピングする、「光機能画像法」の原理を応用した装置のことである。「NIRS」(ニルス)、「きんせき」などと略称される。[1]

歴史と仕組み[編集]

島津製作所をはじめ、国内外の研究者が、基本原理を応用し独自に装置の研究開発をすすめられ、特に1996年に日立製作所が中心として開発した、多チャンネル計測装置光トポグラフィー[2]により、脳機能を広い範囲でマッピングする事が可能となり、一気に臨床応用の期待が高まった。

近赤外線波長:800nm付近)は頭皮・頭蓋骨を容易に透過して頭蓋内に広がってゆく。その反射光を 10-30 mm 離れた頭皮上の点で計測すると、脳活動の様子が、ヘモグロビン(Hb)の増減や酸素交換情報に伴う指標で計測できる。[3]

利用分野[編集]

言語機能の診断や、てんかん焦点の同定など、脳神経外科領域では試験的に臨床応用されているが、実用化には至っていない。むしろベッドサイドでの簡便な方法で、脳リハビリテーションのモニターや、一般的なヒトの脳研究に利用されている。

うつ病統合失調症双極性障害の判断区別を行う事も可能とされる[4]。先進医療であり保険は未承認。データの蓄積が少なく、研究途上という性格が強く、現在では検査入院などの専門家による精査とセットでないと実際の診断には難しいというのが実情である。[5]2013年現在の日本では、「鑑別診断補助」の位置づけである。検査結果は、診断や治療の参考になるよう紹介精神科医へフィードバックされる。[6]

NIRS脳計測装置の各製品[編集]

国内では、多チャンネルNIRS脳計測装置としては、「NIRStation」(島津製作所)と「光トポグラフィー」(日立製作所)が主に販売されているが、両者はそれぞれ、研究者の使用にあわせて自在に装着プローブの形状や組み合わせが簡便な「ユーザー自由設定型装置」(NIRStation)と、装着プローブ間距離を30 mm に固定している「ユーザー固定型装置」(光トポグラフィー)ということで、相違点がある。

参考文献[編集]

  1. ^ 江田英雄「近赤外線光を用いた脳計測システム(NIRS装置)」電子情報通信学会誌Vol.96 No.9 平成25年9月
  2. ^ Watanabe E, Yamashita Y, Maki A, Ito Y, Koizumi H (1996) Non-invasive functional mapping with multi-channel near infra-red spectroscopic topography in humans. Neurosci Lett 205:41-44
  3. ^ 精神研ニュース近赤外線を用いた光診断の可能性と限界東京都精神医学総合研究所、2010年9月(第343号)
  4. ^ NHKオンデマンド NHKスペシャル ここまで来た!うつ病治療
  5. ^ 2010/07/30 うつ病の客観的な診断を目指す光トポグラフィー検査
  6. ^ 光トポグラフィー(NIRS)専門外来 独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター

関連項目[編集]