MeiPAM

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妖怪美術館受付のある建物。妖怪美術館は、この建物を含めて「迷路のまち」に点在する4棟で構成されている。
「小野川直樹美術館」の外観。「小野川直樹美術館」は元花屋をリノベーションして作られたアートスペース[1]。「妖怪美術館」同様に迷路のまちの中にある。訪問の際には、妖怪美術館受付にて入館手続きを[2]する。

MeiPAM(メイパム)は、瀬戸内海に浮かぶ離島の・小豆島 (香川県小豆郡) にある「迷路のまち」全体をひとつのアートサイトととらえた民間企業による文化事業

香川県小豆郡土庄町の中心地にて空き家になってしまった昔ながらの商家や蔵、古民家などを活用してアートによる地域再生を進めている[3]

小豆島ヘルシーランド株式会社を母体としており、妖怪美術館(ようかいびじゅつかん)や、小野川直樹美術館の企画・運営[4]を中心に、観光・イベントなどの企画、フリーペーパーの制作などを手がけている。また、香川大学と共同で古民家を活用した民泊施設を立ち上げ[5]など多岐にわたって活動している。

Mei→迷路のまち、P→パフォーマンス、A→アート、M→マルシェの略[4]

沿革[編集]

海風の侵入や瀬戸内の海寇の侵入、戦乱に備えて路地を入り組ませた路地が複雑に入り組んだ特徴的な町並みを活かした観光地化事業が地元民間企業を中心に進んでいた[6]ところ、第1回瀬戸内国際芸術祭をきっかけにアートによる地域振興の機運が高まり、小豆島ヘルシーランド株式会社の創業者・柳生好彦が発起人となって2010年にアートによる地域再生事業として小豆島・迷路のまちアートプロジェクト「MeiPAM(メイパム)」の活動がスタート[7]

 

2010 小豆島ヘルシーランド株式会社が母体となり、小豆島・迷路のまちアートプロジェクト「MeiPAM(メイパム)」が立ち上がる[8]
香川県の離島・直島で展開されている「家プロジェクト」をモデルに「迷路のまち」に点在する古い建物をアートスペースとしてリノベーション。完成した現代アートギャラリー「MeiPAM(メイパム)」を通して迷路のまちに観光客を呼び込むことに。
  • 明治時代に建てられた元呉服屋の蔵(現・妖怪美術館1号館)
  • 米や醬油を保管していた土壁の倉庫(現・妖怪美術館2号館)
  • 元小料理屋(現・「迷路のまち〜変幻自在の路地空間〜」 瀬戸内国際芸術祭 2022 sd04)

上記3つ古民家や商家をアートスペースとして改装。それらを巡るかたちで展示をスタート[9]

2013 1号館向いに建つ建物をカフェにリノベーション、「Café de MeiPAM(カフェ・ド・メイパム)」オープン。雑貨店・駄菓子屋もこの建物内にて営業をスタート[10]
7/1  全国から妖怪の造形物を募集することで「世界一妖怪が生まれる島」としてにぎわいを創出することを目的として、「第一回 妖怪造形大賞]」を開催[11]
2014 7/8 「第二回 妖怪造形大賞」を開催[12]
2015 大庄屋の屋敷だった古民家をリノベーションし、「セトノウチ」(現・妖怪美術館受付)として再生。この建物内にはアートスペースのほか、レストラン、土産物、旅のインフォメーションなどをオープン[13]
2016 第3回瀬戸内芸術祭に旧3号館(元小料理屋)を提供。

アートチーム 目[mé]によるインスタレーション「迷路のまち~変幻自在の路地空間~]」公開スタート[14]

3/11 「第三回 妖怪造形大賞」を開催[11]
2017 5/31 「第四回 妖怪造形大賞」を開催[11]
2018 ターゲットを異文化を求めてやってくる欧米人に変更。展示テーマを「現代の妖怪」に設定して、美術館の名称をそれまでの「MeiPAM」から「妖怪美術館」に変更してリニューアル[15]
7/4 「第五回 妖怪造形大賞」を開催[11]
地方創生☆政策アイデアコンテスト]2018 で香川大学経済学部の学生で運営する学生委員会「なえどこ」が提案した「小豆島みんぱくプロジェクト」に協力。古民家をリノベーションして民泊施設「縁川」を立ち上げる[16]
2019 元花屋だった建物をリノベーションし、「小野川直樹美術館」をオープン[17][18]
夜の観光コンテンツとして妖怪美術館にて「夜の妖怪美術館」を開催。

ナイトタイムエコノミーを盛り上げるために期間限定で夜間の入館を受付する。[19][20]

2020 緊急事態宣言の対象が全国に拡大したことで国内各地の観光がストップ状態に。

生き残りを賭けて駄菓子、雑貨店の事業を取りやめ、すべての商品を妖怪美術館のミュージアムショップに集約したり、カフェをレストランに吸収するなど事業をスリム化。しばらくの間、美術館も休館に[21]

「人と繋がる」をテーマにオンラインやSNSを使った活動に注力するよう舵を切る[22]
一般社団法人プラチナ構想ネットワークが選出するプラチナ大賞において「地域再生賞」受賞[23]
2021 妖怪美術館の公式Twitterのフォロワーが1万人を突破[24]
2022 瀬戸内国際芸術祭の夏会期開催に合わせて地元民目線で企画した観光周遊ガイドブック「小豆島ローカルトラベルガイド」冊子(A5版・32ページ)を制作。2022年7月中旬に島内外の観光施設・宿泊施設などへ配布したところ、人気のあまり1ケ月ほどで累計1万部発行[25]
『迷路のまちの小さな美術館の挑戦』を出版(EDIT LOCAL BOOKS 千十一編集室)[26]
2023 3/13 「第六回 妖怪造形大賞」を開催[27]
The NewYork Times』4月16日号にて、妖怪美術館の展示や取り組みが取り上げられ、日本における妖怪文化の現代までの流れについても併せて紹介する「A Japanese Island Where the Wild Things Are」という記事が掲載される[28]
9/24 5月にリリースした4曲目のオリジナルソング『おいでよ小豆島音頭』のミュージックビデオが「eかみしばいコンテスト2023」団体部門最優秀賞を受賞[29]
2024 2/16 総務省が主催する「ふるさとづくり大賞」において「団体表彰」を受賞。10年以上に渡ってアートを主軸とした活動を行っている点や妖怪を題材に地域全体で街を盛り上げている点などを高く評価される[30][31]

脚注[編集]

  1. ^ おうちで楽しもう!妖怪美術館VR”. 妖怪美術館. 2024年4月6日閲覧。
  2. ^ 観光コンテンツ | 小豆島観光協会【公式】”. 小豆島観光協会. 2024年4月6日閲覧。
  3. ^ 『迷路のまちの小さな美術館の挑戦』合同会社千十一編集室、10月20日 2022、27頁。 
  4. ^ a b MeiPAM(メイパム)は小豆島・迷路のまちで妖怪美術館を運営するアートプロジェクト”. MeiPAM. 2024年3月22日閲覧。
  5. ^ 『迷路のまちの小さな美術館の挑戦』合同会社千十一編集室、10月20日 2022、144頁。 
  6. ^ 『迷路のまちの小さな美術館の挑戦』合同会社千十一編集室、10月20日 2022、17-27頁。 
  7. ^ 『迷路のまちの小さな美術館の挑戦』合同会社千十一編集室、10月20日 2022、27頁。 
  8. ^ 『迷路のまちの小さな美術館の挑戦』合同会社千十一編集室、10月20日 2022、26-27頁。 
  9. ^ 『迷路のまちの小さな美術館の挑戦』合同会社千十一編集室、10月20日 2022、28-35頁。 
  10. ^ 『迷路のまちの小さな美術館の挑戦』合同会社千十一編集室、10月20日 2022、43頁。 
  11. ^ a b c d 妖怪造形大賞|受賞作品”. 小豆島 迷路のまち 妖怪プロジェクト事務局. 2024年3月22日閲覧。
  12. ^ 妖怪造形大賞|受賞作品”. 小豆島 迷路のまち 妖怪プロジェクト事務局. 2024年3月22日閲覧。
  13. ^ 『迷路のまちの小さな美術館の挑戦』合同会社千十一編集室、10月20日 2022、78‐83頁。 
  14. ^ 『迷路のまちの小さな美術館の挑戦』合同会社千十一編集室、10月20日 2022、32頁。 
  15. ^ 『迷路のまちの小さな美術館の挑戦』合同会社千十一編集室、10月20日 2022、127-128頁。 
  16. ^ 小豆島 ×迷路民泊×空き家uni_03.pdf”. 内閣府地方創生推進室. 2024年3月22日閲覧。
  17. ^ おうちで楽しもう!妖怪美術館VR”. 妖怪美術館. 2024年3月22日閲覧。
  18. ^ 瀬戸内をイメージした繊細な折り鶴アートの新作を加えた 小野川直樹美術館 Folklore展”. PR TIMES. 2024年3月22日閲覧。
  19. ^ 見えないものが、見えてくる小豆島 “迷路のまち ナイトツーリズム”妖怪美術館・妖怪barをはじめ夜の街を遊びつくす”. PR TIMES. 2024年3月22日閲覧。
  20. ^ 『迷路のまちの小さな美術館の挑戦』合同会社千十一編集室、10月20日 2022、146頁。 
  21. ^ 『迷路のまちの小さな美術館の挑戦』合同会社千十一編集室、10月20日 2022、158-159頁。 
  22. ^ 『迷路のまちの小さな美術館の挑戦』合同会社千十一編集室、10月20日 2022、197頁。 
  23. ^ 『迷路のまちの小さな美術館の挑戦』合同会社千十一編集室、10月20日 2022、151‐152頁。 
  24. ^ 妖怪美術館、開館から「5周年」でアニバーサリーイヤーがスタート!内「開館から5年間の主な取り組み」”. PR TIMES. 2024年3月22日閲覧。
  25. ^ 持続可能な観光を目指す「小豆島ローカルトラベルガイド」、早くも1万部発行。地元民ならではの目線で人気急上昇。”. PR TIMES. 2024年3月22日閲覧。
  26. ^ 妖怪美術館、開館から「5周年」でアニバーサリーイヤーがスタート!内「開館から5年間の主な取り組み」”. PR TIMES. 2024年3月22日閲覧。
  27. ^ 第6回妖怪造形大賞、最終審査会を3月13日小豆島の妖怪美術館で開催します。”. PR TIMES. 2024年3月22日閲覧。
  28. ^ メディア掲載|妖怪美術館note”. 妖怪美術館. 2024年3月22日閲覧。
  29. ^ eかみしばいコンテスト2023の結果について”. はい!チーズ. 2024年3月22日閲覧。
  30. ^ 報道資料| 令和5年度 ふるさとづくり大賞受賞者の決定”. 総務省. 2024年3月22日閲覧。
  31. ^ 妖怪美術館等による地域活性化活動が評価され令和5年度 総務省 ふるさとづくり大賞【団体表彰】受賞”. PR TIMES. 2024年3月22日閲覧。

外部リンク[編集]