ヒトTリンパ好性ウイルス
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ヒトTリンパ好性ウイルス(Human T-lymphotropic Virus:HTLV)は、レトロウイルスの一種。
アジア、南北アメリカを中心にみられるHTLV-Iとアフリカを中心にみられるHTLV-IIがある。特にHTLV-Iは最初に発見された疾患を起こすヒトレトロウイルス。類縁ウイルスにsimian T-lymphotropic virus(=STLV)がある。
HTLV-1は腫瘍ウイルスのひとつでATL(=adult T-cell leukemia, 成人T細胞性白血病)をウイルス保持者(キャリアと呼ぶ)のうち極少数に発症する。
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[編集] 生活史
宿主であるヒトのT細胞内では核内に移行し、RNAからcDNAを逆転写により生成し、cDNAは宿主ゲノムDNAへインテグレーション(integration)する。integration siteは決まってはいない。messenger mRNA(gag mRNA)を生成した後、スプライシング(splicing)を受け、env mRNAとなる。env RNAはさらにスプライシング(secondary splicing)を受けpX mRNAとなる。px mRNAは複製制御を担うp40tax/p27rex 蛋白をコードする。 これらのmRNAはopen reading frameが異なるため、もとのウイルスゲノムRNAが一本であっても、それぞれのmRNAは異なった蛋白をコードする。感染T細胞は必ずしも死滅するわけではない。そのため、T細胞からT細胞へ感染するほかに、感染したT細胞の増殖によるウイルス増殖もみられる。 gagとはgroup specific antigenの略号。 envとはenvelopeの略号。 LTRとはLong terminal repeatの略。
[編集] 感染経路
- 水平(性行為)
- 母児感染(主に母乳を介する)
- 血液曝露 (感染リンパ球を含んだ輸血)
- 血漿成分輸血、血液製剤では感染しない。cell-to-cell infection(細胞から細胞へ感染)のためだといわれている。
- 日本では現在、献血に際して抗体スクリーニングが行われており、感染の危険はない。
[編集] 検査
[編集] 関連病変
HAM/TSP(HTLV-I associated myelopathy, HTLV-I関連脊髄症/tropical spastic paraparesis, 熱帯性痙性対麻痺)、HAB(HTLV-I associated bronchitis),HAU(HTLV-I associated uveitis)などがある。
[編集] 関連事象
文化人類学的に、HTLV-Iの塩基配列を検討することによって、人類の移動を推測する研究もなされている。夫婦・親子と感染するため、ヒト・ゲノムと同様に、一群のヒト集団(血族)の移動を示唆すると考えられる。ティワナクの項に詳しい。
HIVはHTLV同様白血球(CD4 Tリンパ球)に感染するレトロウイルスで発見当初HTLV-IIIと呼ばれていた。
tax遺伝子をT細胞および胸腺細胞で発現させたトランスジェニックマウスではT細胞性白血病 / リンパ腫を発症する。[1]
[編集] 参考文献
- ^ Nature Medicine 2006; 12:466-472

