Ghoti
Ghoti とは、英語の綴りの不規則性を揶揄して用いられるジョーク。同じ英語の fish と同じく /ˈfɪʃ/ と発音される。
[編集] 概要
Ghoti の発音は三つの単語から作られている。
- laugh (ラフ /læf/, /læːf/, /laːf/)
- women (ウィミン /ˈwɪmɪn/, /ˈwɪmən/)
- nation (ネイシャン /ˈne͡ɪʃən/)
以上の三つであり、太字の部分の音価が他の語と大きく食い違う。同じように、colonel (カーネル, /ˈkɝnəl/) の olo を付け加えた ghotiolo は fisher (フィッシャー /ˈfɪʃɚ/) と発音する。これには歴史的な経緯が深く関係している。
英語は本来フリジア語(オランダ北部で話される、ゲルマン語の一つ)の類縁を基層とし、その上にフランス経由でラテン語由来の単語を大量に導入した、複雑な出自を持っていた。これがさらに15世紀から16世紀にかけて大母音推移とよばれる音韻体系の大規模な変化を経験する。たとえば「今」を意味する now という語の発音が /nu:/から/naʊ/ へと変わったような変化が、非常に多くの語について発生したのである。この大母音推移の最中に英語の正書法がある程度定着してしまったため、英語の綴りと発音の不一致は大きなものとなってしまった。こうしてできた近代英語はアメリカをはじめとする広大な地域で話されるようになり、また様々な言語から外来語として単語を導入することで綴りの不規則性はさらなる拡大を遂げた。現代英語では /ʃ/ を表す綴りを含む単語が、shirt, sugar, chute, action, issue, ocean, conscious, mansion, schwa, anxious, special のようになるまでになっている[1]。
こうした現状を打開するため、Ghoti の考案者とも言われる[2]ジョージ・バーナード・ショー(本人は否定[3])に代表されるように英語の正書法改革を望む声も存在するが、未だ実現していない。この要因として、単語の語根を明示することへの要請があげられる。例えば electrician は electricity に由来するが、前者の -cian は口蓋化により /-ʃən/ と発音される。しかし両者を -shun と -sity のように綴り直すことで両者の語源的な繋がりが、さらには electric との関係が失われてしまうのではないか、とするものである。
[編集] その他
同じ論法により、以下の英語の発音を考慮した場合、Ghoti とは発音しない単語であるという見方もできる。
- though (ヅァウ、ヅォウ /ðaʊ/, /ðoʊ/)
- people (ピープル /ˈpiːpəl/, /ˈpipəl/, /ˈpipl̩/)
- ballet (ベレイ /'bæleɪ/)
- business (ビズネス、ビズニス /ˈbɪznəs/, /ˈbɪzˌnɪs/)
[編集] 脚註
- ^ Sadoski, Mark in Erlbaum, Lawrence; Imagery and text: A dual coding theory of reading and writing, 2001
- ^ Holroyd, Michael, Bernard Shaw: Volume III: 1918-1950: The Lure of Fantasy, Random House, 1994, ISBN 0-517-13035-1
- ^ See Jim Scobbie's article at alt-usage-english.org