過酸化ベンゾイル

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過酸化ベンゾイル
C14H10O4
モル質量 242.23 g/mol
密度 1.334 g/cm3
溶解度 0.1g/100ml(26℃)
融点

103–5 °C 分解

識別情報
CAS登録番号 94-36-0
RTECS番号 DM8575000
危険性
EU分類 爆発性 E刺激性 Xi
EU Index 617-008-00-0
主な危険性 爆発性 (E)
刺激性 (Xi)
NFPA 704
NFPA 704.svg
4
1
4
OX
発火点 125°C
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

過酸化ベンゾイル(かさんかベンゾイル、benzoyl peroxide)は示性式が (C6H5CO)2O2消防法による危険物(第5類 自己反応性物質、第1種自己反応性物質)に指定されている有機過酸化物BPO と略称される。

形状と性質[編集]

白色粒状で無臭の固体で、には溶けないが有機溶剤には溶ける。強い酸化作用があり、80℃まで加熱すると発火、さらに100℃を超えると白煙を発生して激しく分解する。加熱や、摩擦、衝撃、光に当たることなどによっても分解し爆発する恐れがある。また、乾燥したり、強酸や有機物に接触することによっても爆発することがあるので保管には注意を要する。市販品は爆発防止のため25%の水で湿らせて純度75%としている。水にはほとんど溶けない(0.1g/100ml(26℃))。

合成[編集]

過酸化ベンゾイルは、塩化ベンゾイル過酸化ナトリウムから合成される。

用途[編集]

加熱により酸素-酸素結合がホモリティックに開裂し、ベンゼンカルボキシルラジカルを与え、そこから二酸化炭素が脱離してフェニルラジカルとなる。この性質を利用し、ラジカル開始剤としてポリマーの合成などに使用される。

BPOの熱分解


ニキビの治療薬としても用いられ、商品名として Basiron®、Stioxyl®、Panoxyl® が知られている。典型的には 10% 以下の濃度のゲルやクリームの形で患部に塗布するが、乾燥や炎症の原因となることもある。過酸化ベンゾイルに対して過敏な人も少数おり、薬傷、かゆみ、剥皮、まれに腫れなどの症状が見られる。まず少量で試してから使用することが勧められる。これらの症状を避けるには、濃度 10% のものとほぼ同等の作用が認められる上、副作用が少ない 2.5% 含有量のものを使うのがよいとされる。ニキビに対する作用機序は明らかになっていないが、皮膚の細孔に入りやすく、酸化によってバクテリアの代謝を阻害すると推定されている。

他の一般的な用途として髪染めの漂白剤が挙げられる。ヨーロッパでは過酸化水素の使用が制限されているため、特に利用される傾向がある。また、小麦粉の製造の際にも使われる。

事故事例[編集]

1990年5月、東京都板橋区の化学工場で大爆発があり、死者8名、負傷者18名を出す大惨事となった[1]。実験室でも金属さじによる取り扱いは避ける。

脚注[編集]

  1. ^ 畑村創造工学研究所(科学技術振興機構). “過酸化ベンゾイルの爆発・火災”. 2011年4月9日閲覧。