群盗

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
『群盗』初版
主人公カールのイメージ画。1859年、Lazarus Gottlieb Sichlingによる。

群盗』(ぐんとう、: Die Räuber)は、フリードリヒ・フォン・シラー戯曲第1作。5幕。当初はレーゼドラマとして書かれたもので、1781年に匿名で自費出版され、その後1782年1月17日にマンハイム劇場にて初演された。シュトゥルム・ウント・ドラングの代表作の一つであり、全体としてシェイクスピア劇のスタイルを応用して書かれている。初演ではとりわけ若者の観客たちによって熱烈に支持され、拍手喝采と歓声が鳴り止まず、女性客は失神に近い状態だったと伝えられる。

舞台は18世紀中葉のドイツ。モール伯爵の息子で熱血漢のカールは、それまでの放蕩生活を悔い父に謝罪の手紙を送るが、家督相続を狙う冷血な弟はこれを握りつぶし、代わりに父からの勘当を報せる偽の手紙を兄に送る。カールは絶望し、仲間のシュピーゲルベルクにかどわかされて盗賊団の結成に加わり、その頭首に選ばれる。カールたちは悪事を犯しつつ義賊的な活動も行う。一方フランツは、カールの恋敵であったヘルマンと共謀して、父に兄が死んだという偽の報告をする。父はフランツの策略に気づくがなすすべなく、塔の中に幽閉される。

その後カールは恋人アマーリエに再会するために帰郷し、変装して父の屋敷を訪れ、アマーリエがまだ自分を愛していると確信する。カールは召使からフランツの悪行を知り、フランツと対面しようとするが、盗賊団に屋敷を囲まれたことを知ったフランツは自死する。しかし助けだされた父も、カールが盗賊に身を落としていたことを知るとショック死してしまう。そして盗賊団との約束からカールが自分といっしょになれないと知ったアマーリエは、カールに自分を刺させる。アマーリエを殺した後、カールは盗賊団を抜けて自首すると宣言する。

日本での初演は1936年、久保栄の訳・演出により新協劇団で行われた。久保はそれに先だつ1933年に、本作を歌舞伎として翻案した『吉野の盗賊』を書いており、この歌舞伎は1955年に同じタイトルで映画化されている。そのほか本作を下敷きにした作品に三好十郎の戯曲『戦国群盗伝』があり、これも1959年に杉江敏男監督で映画化されている。

参考文献[編集]

  • シラー 『群盗』 久保栄訳、岩波文庫、1958年
  • 岩淵達治編 『現代演劇101物語』 新書館、1996年、48-49頁