終端速度

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

終端速度(しゅうたんそくど、: terminal velocity[1]とは、物体が重力または遠心力などの体積力と、速度に依存する抗力を受けるときに、それらの力がつりあって変化しなくなったときの速度である。終末速度[2]終末沈降速度[3]とも呼ばれる。

運動方程式[編集]

球状の物体が重力により落下しながら浮力空気抵抗を受けている場合を考える[注 1]。また仮定として、物体は単独で(他の物体があってもそれらからの影響を受けずに)運動しているとする。

このとき、物体の運動方程式

\rho_\mathrm{s}V \frac{\mathrm{d}u}{\mathrm{d}t} = (\rho_\mathrm{s}-\rho_\mathrm{f})Vg-c_\mathrm{D} S\frac{\rho_\mathrm{f} u^2}{2}

となる。ここで、

  • ρs :物体の密度 [kg/m3]
  • ρf :空気の密度
  • V=\frac{\pi}{6}d^3 :物体の体積 [m3]
  • S=\frac{\pi}{4}d^2 :物体の運動方向への投影面積 [m2]
  • u :物体の速度 [m/s]
  • g重力加速度 [m/s2]
  • cD抗力係数

である。

抗力係数cD

c_\mathrm{D} = \begin{cases}
\dfrac{24}{Re} & (Re<2) \\
\dfrac{10}{\sqrt{Re}} & (2<Re<500) \\
0.44 & (500<Re<10^5)
\end{cases}

と表される。ここで、Re は物体の速度を無次元化したレイノルズ数Re であり、

Re=\frac{du\rho_\mathrm{f}}{\mu_\mathrm{f}}

と定義される。この流れはレイノルズ数Re の範囲で

と呼び分けられる。

[編集]

終端速度ut は、運動方程式において左辺の加速度がゼロになったときの速度である(cD > 0 なら速度ut →∞で収束する)から、この方程式を解けば

u_\mathrm{t} = \begin{cases}
\dfrac{d^2(\rho_\mathrm{s}-\rho_\mathrm{f})g}{18\mu_\mathrm{f}} & (Re<2) \\
\left\{\dfrac{4}{225}\dfrac{(\rho_\mathrm{s}-\rho_\mathrm{f})^2g^2}{\rho_\mathrm{f}\mu_\mathrm{f}}\right\}^\frac{1}
{3}d & (2<Re<500) \\
\left\{\dfrac{4}{3\times 0.44}\dfrac{(\rho_\mathrm{s}-\rho_\mathrm{f})g}{\rho_\mathrm{f}}d\right\}^\frac{1}{2} & (500<Re<10^5)
\end{cases}

と求められる。特にRe < 2 の場合の解はストークスの式と呼ばれる。

脚注[編集]

  1. ^ 重力でなく遠心力場であれば重力加速度の代わりに遠心加速度を、また静止した空気中でなく運動する流体中であれば物体の速度の代わりに相対速度を用いればよい。

参考文献[編集]

  1. ^ 戸田盛和 『力学』 岩波書店、1982年、54頁。ISBN 4-00-007641-8 
  2. ^ 浅野康一 『物質移動の基礎と応用』 丸善、2004年、117頁。ISBN 4-621-07356-7 
  3. ^ 粉体工学会編 『液相中の粒子分散・凝集と分離操作』 日刊工業新聞社、2010年、124頁。ISBN 978-4-526-06391-6 

関連項目[編集]