硫化モリブデン(IV)

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硫化モリブデン(IV)
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識別情報
CAS登録番号 1317-33-5 チェック
ChemSpider 14138 チェック
RTECS番号 QA4697000
特性
化学式 MoS2
モル質量 160.07 g/mol
外観 黒色の固体
密度 5.06 g/cm3
融点

1185 °C(分解)

構造
結晶構造 六方晶系hP6空間群:P63/mmc, No 194
配位構造 三角柱 (MoIV)
角錐 (S2-)
危険性
MSDS External MSDS
EU Index not listed
関連する物質
その他の陰イオン 酸化モリブデン(IV)
その他の陽イオン 硫化タングステン(IV)
関連する潤滑剤 グラファイト
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

硫化モリブデン(IV)(りゅうかモリブデン よん、: molybdenum(IV) sulfide)はモリブデン硫化物で、組成式が MoS2 と表される黒色の固体である。一般的には二硫化モリブデンと呼ばれる。輝水鉛鉱(輝モリブデン鉱)として天然に産出する。固体潤滑剤としてエンジンオイルの添加物等に用いられることがある(ヤマハ2サイクルオイルの場合)。

結晶構造[編集]

硫化モリブデン(IV)は六方晶型の層状結晶構造を持ち、各層はモリブデンの層の両面を硫黄で挟んだ格好になっている。モリブデンと硫黄の結合が強固であるのに対し、層と層を繋ぐ硫黄同士の結合は弱いため、せん断力が加わると容易に層間がすべる。このため摩擦係数が低くなり、潤滑性を発揮する。

製造法[編集]

潤滑剤として用いられる硫化モリブデン(IV)粉末は、天然の輝水鉛鉱を粉砕し、精製して不純物を取り除くことによって製造される。

用途[編集]

潤滑用途では硫化モリブデン(IV)は比較的高い耐熱性と高い耐荷重性を持つため高温・高荷重下で使用されるグリースやオイルなどに添加される事が多い。また似た特性を持つグラフェンと併用して使用される事も多い。油脂への添加以外では硫化モリブデン(IV)を何らかの方法で摩擦面に定着させ乾性皮膜(ドライフィルム)を形成することで素材に潤滑性・耐摩耗性を付加させるという使われ方もされる。

真空中や油脂類を使用できない環境での潤滑も可能なため皮膜などと言った形で宇宙分野でも利用されている。真空中においては大気中よりも摩擦係数が低く耐摩耗性に優れ、酸化しないためさらに高温までの使用も可能となる。その結果、真空中では大気中に比べ耐久性が高く寿命も長い。

自動車用エンジンオイルに添加され使用される事もあるが、固体であるがため分散性の問題や沈殿、オイルラインの詰まりなどの不具合を起こす可能性、オイルの色を変化させてしまうなどの理由から近年では製造時に添加される事は稀となっている。現在では可溶性で少ない添加量でほぼ同様の効果を発揮する有機モリブデンが主流である。ただし量販店やホームセンターなどで見かけるユーザーが投入するタイプの添加剤においては硫化モリブデン(IV)を使用した商品が今なお多く流通している。

また半導体として使用できる可能性が発表されている[1]

脚注[編集]