擬スカラー

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擬スカラー(Pseudo-scalar)は座標の反転にたいして符号が変わるスカラー

二つのベクトルA,Bドット積(内積、スカラー積)を考える(ここでは直交座標系を考える)、

 \mathbf{A} \cdot \mathbf{B} = A_x B_x + A_y B_y + A_z B_z

この内積において、(x,y,z)各軸を(-x,-y,-z)と反転させた時、内積の符号が変わるような場合を擬スカラーと言う。

これは、ベクトルA,B、それぞれが極性であるか軸性であるかによる。極性ベクトルは、通常の速度のようなベクトルであり、軸性ベクトル角速度や力のモーメントのようなベクトルである。極性ベクトルは座標の反転により符号が変わるが、軸性ベクトルは座標の反転により符号は不変である。このため、ベクトルA,Bが共に極性或いは軸性ならば座標の反転に対してその内積の符号は反転しないが、A,Bいずれかが極性で片一方が軸性の時は内積の符号が反転する。この場合が擬スカラーとなる。

軸性ベクトル(Axial vector)のことを、擬ベクトル(Pseudo vector)とも言う。

ベクトルA,Bがいずれも極性ベクトルで、更に第三のベクトルCを考え、これも極性ベクトルの時、次の結果、

 (\mathbf{A} \times \mathbf{B}) \cdot \mathbf{C}

も擬スカラーとなる(×はクロス積(外積、ベクトル積)である)。これは極性ベクトル同士の外積は軸性ベクトルになるためである。

またスカラーポテンシャルφにおける関係、

 \mathbf{F} = - \nabla \phi

において、ベクトルFが軸性ベクトルなら、φは擬スカラーとなる。これはベクトルFが座標の反転に対し符号が不変なので、∇部分(微分の部分)が反転に対し符号を変えるので、スカラーポテンシャルであるφも符号を変える(つまり擬スカラー)ためである。