国民負担率

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国民負担率(こくみんふたんりつ)とは、国民所得に占める租税負担率年金健康保険介護保険など社会保険料(社会保障負担率)の合計の割合[1]

社会保障費の膨張と国民負担率の上昇[編集]

日本では高齢化による社会保障費の継続的膨張に伴って、高齢者向けの医療費や年金などにかかる保険料の負担が増加していき、24.3%(昭和45年)から44.6%(令和2年)へと国民負担率が上昇した[1][2]

2017年度の日本の歳出
日本の社会保障給付費の推移[3][4]
年度 金額 国民所得比
1980年 24兆9290億円 12.23%
1985年 35兆6894億円 13.70%
1990年 47兆4238億円 13.67%
1995年 64兆9918億円 17.10%
2000年 78兆4062億円 20.10%
2005年 88兆8529億円 23.89%
2010年 105兆3647億円 28.89%
2015年 116兆8133億円 29.75%
2019年 123兆9241億円 30.88%
2025年
(2018年の予測[5][注釈 1]
140兆8000億円
2040年
(2018年の予測)
188兆5000億円

日本の国民負担率は韓国やアメリカより高いが、ヨーロッパの先進諸国よりも低い[1][6]。2019年度の日本の国民負担率(44.1%)はOECD加盟36か国中25位であり、日本より国民負担率が低いのは韓国40.1%、オーストラリア37.9%、スイス38.3%、アメリカ合衆国32.4%などである。欧州先進国の国民負担率は軒並み高く、1位のルクセンブルクは93.7%、2位のフランス68.2%[1]、3位デンマーク66.2%、4位オーストリア62.4%、5位ベルギー62.1%などという状況である[2]

国民負担率は社会保障の充実度を示すもので、負担率が高い国は高福祉(相応の福祉を受けられる)、負担率が低い国は低福祉(けがや病気といった緊急時は自己負担)になると考えられるため、必ずしも負担率が低ければ良いとは言えない[1]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 2018年度の医療・介護サービスの足元の年齢階級別の受療率等(入院・外来の受療率、サービスごとの利用率)を基に機械的に将来の患者数や利用者数を計算。また、サービスごとの単価は足元の単価に一定の伸び率を乗じて計算。単価に乗じる伸び率は、医療は、経済成長率 × 1/3 + 1.9% - 0.1%、介護は、賃金上昇率と物価上昇率を65:35で加重平均。(社会保障・税一体改革の試算の仮定をそのまま使用。)

出典[編集]

  1. ^ a b c d e 高すぎる? 国民負担率”. NHK NEWS WEB. 日本放送協会 (2020年3月2日). 2023年2月23日閲覧。
  2. ^ a b 2021年度の租税・社会保障負担率(国民負担率)は48.0%、前年度から0.1ポイント増―財務省”. GemMed (2022年2月18日). 2023年2月23日閲覧。
  3. ^ 厚生労働省, 国立社会保障・人口問題研究所 (2021年8月31日). “令和元年度社会保障費用統計 第8表 社会保障給付費の部門別推移(1950~2019年度)” (Excel,DB). 政府統計の総合窓口(e-Stat). 2021年12月12日閲覧。
  4. ^ 厚生労働省, 国立社会保障・人口問題研究所 (2021年8月31日). “令和元年度社会保障費用統計 第10表 社会保障給付費の部門別推移(対国民所得比)(1951~2019年度)” (Excel,DB). 政府統計の総合窓口(e-Stat). 2021年12月12日閲覧。
  5. ^ 内閣官房; 内閣府; 財務省; 厚生労働省 (21 May 2018). 「2040年を見据えた社会保障の将来見通し(議論の素材)」等について (PDF) (Report). 2019年6月6日閲覧
  6. ^ 国民負担率、23年度は46% 国民所得拡大で2年連続低下”. 日本経済新聞 (2023年2月21日). 2023年2月23日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]