嗅覚受容体

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嗅覚受容体(きゅうかくじゅようたい、Olfactory receptors)は嗅細胞嗅覚受容神経)にあるGタンパク質結合受容体の一種である。脊椎動物ではこのタンパク質嗅上皮に、昆虫では触角に位置する。精子細胞匂い受容体を持ち、卵子を見つけるための走化性に関連すると考えられている。

ほとんどの受容体と同じく、特有のリガンドに結合するというよりも、嗅覚受容体は匂い分子の構造へ結合する。匂い物質が受容体へ結合すると、付いていた細胞内のGタンパク質を活性化する。次に、Gタンパク質がアデニル酸シクラーゼ活性してATP環状AMP(cAMP)へ変換する。cAMPはイオンチャネルを開き、ナトリウムイオンが細胞内へ入る。すると脱分極化が細胞へ起きてその活動電位へと情報を送る。

嗅覚受容体には幅広い違いがあり、哺乳類ゲノムにはそれが1,000ほどもある。嗅覚受容体はそのゲノムの3%を占めているとされる。これらの潜在的な遺伝子のうちのほんのわずかだけが機能する嗅覚受容体を形成する。ヒトゲノム計画での解析によると、ヒトは347の機能する嗅覚受容体の遺伝子を持っている。多くの異なった嗅覚受容体がある理由は可能な限り多くの違った匂いをかぎ分けるためである。またそのように、それぞれの嗅覚受容体はただ一つの匂いに反応するのではなく、多くの類似した構造に反応するようになっている。免疫システムと同様に、それまで遭遇したことのない分子でも特徴をつかむことができる。また、ほとんどの匂いは一つ以上の受容体を刺激する。これによって限りない数の異なった分子を区別することができるのである。

2004年リンダ・B・バックリチャード・アクセルノーベル生理学・医学賞を嗅覚受容体に関する研究で受賞した。