リボルビング払い

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リボルビング払い(リボルビングばらい)とは消費者金融クレジットカードの返済方法の一方式である。「リボ払い」「リボ」などと略され、「フレックス払い」と呼ばれることもある。

最高裁判所判例
事件名 損害賠償等請求事件
事件番号 平成18(受)1887
2007年(平成19年)06月07日
判例集 第61巻4号1537頁
裁判要旨
同一の貸主と借主との間でカードを利用して継続的に金銭の貸付けとその返済が繰り返されることを予定した基本契約が締結されており、同契約には、毎月の返済額は前月における借入金債務の残額の合計を基準とする一定額に定められ、利息は前月の支払日の返済後の残元金の合計に対する当該支払日の翌日から当月の支払日までの期間に応じて計算するなどの条項があって、これに基づく債務の弁済が借入金の全体に対して行われるものと解されるという事情の下においては、上記基本契約は、同契約に基づく借入金債務につき利息制限法1条1項所定の制限を超える利息の弁済により過払金が発生した場合には、弁済当時他の借入金債務が存在しなければ上記過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含んでいるものと解するのが相当である。
第一小法廷
裁判長 甲斐中辰夫
陪席裁判官 横尾和子泉徳治涌井紀夫
意見
多数意見 全員一致
意見 なし
反対意見 なし
参照法条
民法488条、利息制限法1条1項
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概要[編集]

リボ払いは、毎月あらかじめ指定した一定額を返済してゆく方式である。回数指定の分割払いが各々の件に個別に指定するものであるのに対し、リボ払いでは各々の件に対してではなく残高全体について毎月返済することによって合計残高を減らしてゆく。

また、リボルビング払いにおいて毎月支払う最小の返済義務額のことをミニマムペイメントと呼ぶ。ミニマムペイメント自体をリボルビング払いの本質と誤解されがちだが、あくまでも支払い最小額を指す言葉である。また、後述する残高スライド方式のことをミニマムペイメント方式と呼ぶこともある。

問題点[編集]

リボルビング払いの問題点としては、

  • 借入額が増えても毎月の返済額が変わらないため、借金をしているという意識が薄れる。結果、知らず知らずのうちに借入を増やしてしまいがちになる。
  • 借入額が増えると返済期間が長くなり、利息の負担が激増する。
  • 返済総額が分かりにくく、利息の多さが実感できなくなる。

などがあげられる。実際、返済額に対して借入額が多くなると利息ばかり払い続けて元本がほとんど減らないという状況に陥る。消費者金融で多重債務に陥るのは大半がこのケースである。

しかし現実には消費者金融の返済方法の9割はリボルビング払いで占められているともいわれる。リボルビング払いが多重債務者を生む元凶になっているとの批判を受け日本貸金業協会はリボルビング払いの返済期限を30万円以下の場合は原則3年以内、30万円を超える場合は原則5年以内とする自主規制を2007年12月に設けた。2010年6月18日には個人の借入総額が年収の3分の1に制限する貸金業法の改正(いわゆる総量規制)が施行された。これによりリボルビング払いも含めて顧客の返済限度を超える高額の借り入れが法的にも禁止されることとなった。

一方、クレジットカードのショッピング枠は貸金業法の規制を受けないため、前述の総量規制で借り入れができなくなった債務者がクレジットカード会社のリボルビング払いに移行し、返済に耐えられなくなるトラブルが急増している。

もともとクレジットカード業界においては、多額の利息を見込めるリボルビング払いに顧客を誘導する傾向が少なからず見られた。特に、グレーゾーン金利問題で、収益源であったカードローンの金利が引き下げられた影響で、その傾向は顕著になっている。具体的にはリボルビング払いで買い物をすると特典(ポイントなど)を与える、リボルビング払い専用のカードのみ年会費無料にする、他の返済方法からリボルビング払いにいつでも簡単に変更できるがその逆はできない、ネットショップのキャンペーンのページにリボルビング払い専用カードへ変更するボタンを多数・多種類設置する、特定の加盟店による商品値下げ・ポイント倍増・タイムセール・限定品などの特典に応じただけでリボルビング払い専用カードへ変更したものとみなす、などである。2010年代に入ってからは、リボルビング払い専用のカードのラインナップが各社間で増えており、ネット上のバナー広告などを利用して積極的に消費者に売り込みを図っている。だが、たとえショッピング枠であっても破産(いわゆる「カード破産」)の危険があることに変わりはなく、何らかの規制を求める声が根強いが、現状では野放しになっているのが実情である[1]

過払金[編集]

最判平成19年6月7日(民集61巻4号1537頁・判例情報)では、カードローンのリボルビング払い方式について、同一の基本契約の期間において、過払金が生じる借入が別個にあった場合でも一連の取引とみなすとした。

分割払いとの違い[編集]

  • 分割払いは商品の購入など、利用ごとに支払いが分割される。このため、商品ごとに毎月の返済額が計算される。これに対し、リボルビング払いでは毎月の利用総額に対して支払額を分割する。
  • 分割払いは店頭で分割回数を指定するのに対し、リボルビング払いは店頭では一括払いとして扱われる。このため、分割払いに対応していない店舗であっても実質的には分割して支払うことが可能になると言える。

リボルビング払いの種類[編集]

リボルビング払いは大きく分けて定額方式定率方式残高スライド方式に分類される。

定額方式[編集]

元利定額リボルビング方式
毎月、あらかじめ指定した一定額を支払い、その中から利息を差し引いた金額を元金返済に充てる方式。
支払額は毎月一定だが一定額の中に利息の支払いが含まれているため、元金が指定した額ずつ返済されるわけではない。
元金定額リボルビング方式
毎月、あらかじめ指定した一定額に加えて利息を支払う方式。
指定した一定額はすべて元金の返済に充てられ、それとは別に金利を支払うのが特徴。このため同額に設定した場合、元利定額リボルビング方式と比較して早期に返済が終了する。

定率方式[編集]

元利定率リボルビング方式
毎月、〆日における借入残高を確定し、借入残高に利息を加えた額に対して指定した割合(定率)で返済する方式。
元金定率リボルビング方式
毎月、〆日における借入残高を確定し、借入残高に対して指定した割合(定率)で返済する方式で借入残高に定率を乗じた返済額に加えて利息を支払う方式。

定率方式は借入残高に対して常に100%未満の返済を行うため、本方式のみでは理論上返済が終了しない。このため、完全に清算するためには明示的に一括返済を行うなどの手続きが必要である。

残高スライド方式[編集]

毎月、〆日における借入残高を確定し借入残高に応じて段階的に返済定額または定率を変更する方式(スライド制)の総称。残高スライド方式は大別して残高スライド定額方式残高スライド定率方式に分かれ、それぞれが更に元利均等方式および元金均等方式に分類される。

残高スライド定額方式[編集]

残高スライド方式のうち、借入残高に応じて段階的に返済定額を変更する方式。定額リボルビング方式にスライド制を導入したもの。

残高スライド元利定額リボルビング方式
残高スライド定額方式のうち、定額部分から利息を差し引いた金額を元金返済に充てる方式。元利定額リボルビング方式にスライド制を導入したもの。
残高スライド元金定額リボルビング方式
残高スライド定額方式のうち、定額部分に利息を加えて支払う方式。元金定額リボルビング方式にスライド制を導入したもの。

残高スライド定率方式[編集]

残高スライド方式のうち、借入残高に応じて段階的に返済定率を変更する方式。定率リボルビング方式にスライド制を導入したもの。

残高スライド元利定率リボルビング方式
残高スライド定率方式のうち、借入残高に利息を加えた額に定率を乗じた額から利息を差し引いた金額を元金返済に充てる方式。元利定率リボルビング方式にスライド制を導入したもの。
残高スライド元金定率リボルビング方式
残高スライド定率方式のうち、借入残高に定率を乗じた額に利息を加えて支払う方式。元金定率リボルビング方式にスライド制を導入したもの。

各方式の特徴[編集]

定額払いの場合、負債の大小に関わらず返済額が一定(元利定額払いの場合は利息分の変動あり)であるため負債残高が高額になるとなかなか元金が減らず、返済が終了しないという問題がある。

一方で定率方式の場合、前述のように負債残額が小額になっても少ない残額に対する一定割合しか返済できないため元金が減るにつれて返済額が減少するため、なかなか返済が終了しない。

残高スライド方式では定額払いと定率払いの長所を組み合わせることで、両者の欠点をカバーしていると言える。

参考文献[編集]

  1. ^ 金融庁「貸金業制度等に関する懇談会」