マリアへのお告げ

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マリアへのお告げ
L'Annonce faite à Marie
作者 ポール・クローデル
フランス
言語 フランス語
ジャンル 宗教劇
発表年 1912年
初出情報
初出新フランス評論
初演情報
場所 マラコフ座
初演公開日 1912年12月
劇団 制作座
演出 リュニェ・ポー
主演 ルイーズ・ララ
ポータル 文学 ポータル 舞台芸術
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マリアへのお告げ』(マリアへのおつげ、原題:L'Annonce faite à Marie)は、フランスの詩人・劇作家ポール・クローデル作の戯曲。中世末期のフランスの田舎を舞台にして、ハンセン病になった主人公ヴィオレーヌをめぐる話である。クローデルの作品としてもっとも人気のある戯曲で「キリスト教的犠牲の意味を追求し」[1]20世紀における「宗教劇の復興をもたらした」[2]と評される。

成立過程[編集]

クローデルが旧作『乙女ヴィオレーヌ』(La Jeune Fille Violaine) を改作改題して、1912年に文学雑誌『新フランス評論』に連載発表し、同年12月にリュニェ・ポーが主宰する劇団「制作座」がパリのマラコフ座で初演した。その後クローデルが1940年と1948年に改稿している。

舞台・時代設定[編集]

フランスの田舎。中世末期。ジャンヌ・ダルクと同時代。当時はハンセン病に対する有効な治療法がなかった。

登場人物[編集]

ヴィオレーヌ
ハンセン病になり、家を出る。
マラ
ヴィオレーヌの妹。
アンヌ・ヴェルコール
ヴィオレーヌの父。
ジャック・ユリ
ヴィオレーヌの婚約者。
エリザベート
ヴィオレーヌの母。
ピエール・ド・クラオン
ヴィオレーヌの友人。聖堂建築の技師。

あらすじ[編集]

話は主人公のヴィオレーヌが18歳のときに友人で聖堂建築の技師ピエール・ド・クラオンに再会する場面から始まる。ヴィオレーヌはハンセン病になり、家を出る。ヴィオレーヌの婚約者ジャック・ユリはヴィオレーヌの妹マラと結婚する。ジャックとマラの幼い娘が急死する。病で目が見えなくなっているヴィオレーヌがその子を抱くと生き返る。しかしその娘の目の色がマラと同じ黒色からヴィオレーヌと同じ青色に変わっている。ヴィオレーヌはマラに殺される。

初演[編集]

1912年12月にリュニェ・ポーフランス語版主宰の劇団である制作座フランス語版パリマラコフ座フランス語版で初演した[2]。演出は劇団主宰者のリュニェ・ポーが担当した[3]。音楽はヴァンサン・ダンディが作曲し、装置はジャン・ヴァリオが担当した[2]

主人公ヴィオレーヌはルイーズ・ララフランス語版が演じた[2]。もともとヴィオレーヌ役を演じるはずだったマリ・カルフは病気のため、ルイーズ・ララが招聘され代役を務めた[2]。マリ・カルフは夫である劇作家ルノルマンと共に作者クローデルの上演許可を得ていた[2]。ヴィオレーヌの父アンヌ・ヴェルコール役は演出を担当したリュニェ・ポーが演じた[2]

評価[編集]

クローデルの作品としてもっとも人気のある戯曲で「キリスト教的犠牲の意味を追求し」[1]20世紀における「宗教劇の復興をもたらした」[2]と評される。

脚注[編集]

  1. ^ a b 栗村道夫「クローデル」『新カトリック大事典研究社Online Dictionary, 2020年5月5日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h 鈴木力衛、山本功「訳者付記」(『マリヤへのお告げ』)『世界文学大系』51、筑摩書房、1960年、124-125頁。
  3. ^ マリアへのお告げ、デジタル大辞泉小学館コトバンク、2020年5月5日閲覧。

外部リンク[編集]