ヒースキット

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ヒースキット: Heathkits)は、ミシガン州、ベントンのヒース株式会社(: Heath Company)が販売していた製品。ヒース社は、電子テスト装置、ハイファイオーディオ、テレビ受信機、アマチュア無線機、Heath H-8、H-89、H-11という趣味向けのコンピュータを、購入者が組み立てるキットで販売していた。

創業[編集]

ヒース社は元々は航空機メーカーとして1900年代にエドワード・ベイヤード・ヒース(Edward Bayard Heath)によって創業された。1926年から軽飛行機Heath Parasolをキットの形態で売り始めた。1931年、ヒースは試験飛行で亡くなった。1935年、ハワード・アンソニー(Howard Anthony)が破産したヒース社を買収して小型の飛行機のアクセサリーの販売に注力した。第二次世界大戦後、アンソニーは電子産業に参入することを決断して膨大な軍の放出品の電子部品からキットとして販売するという良いアイディアを思いついた。1947年、ヒースは最初の電子キットであるオシロスコープを当時の最安値である50ドルで販売して大きな売り上げを挙げた。

ヒースキットの製品のコンセプト[編集]

オシロスコープのキットの成功の後、ヒース社は多数の製品を送り出した。ヒースキットは二世代にわたり電子趣味人に大きな影響を与えた。ヒースキットを組み立てることにより、工場生産の物よりもはるかに安く入手できた。最も高価なものはトーマス電子オルガンだった。

ヒースキットで一大分野を築いたのがアマチュア無線の分野だった。アマチュア無線の運用者はキットが登場する前は自作していた。キットを購入する事で全ての部品が揃っているので組み立てに専念すればよくなった。多くのヒースキットの無線機は愛好家の間でよく知られたものになった。

組み立てられたヒースキットの工場生産品に対して見劣りしないものだった。技術面において多くのヒースキットは良かった。当時最上級とされていたコリンズ社製のトランシーバーとの極端な類似性が指摘されてはいたが、ユーザーにとってはコリンズ同等品がはるかに安く入手できるとうことであった。

計測器の例ではヒースキットはローエンドニッチの需要を満たした。ヒューレットパッカードテクトロニクスフルークの製品は金属製のダイヤルや10段のデジタル表示だったがヒースキットの場合単純な樹脂製のダイヤルやシルクスクリーン印刷のフロントパネルだった。40ドルのヒースキットのオシロスコープは工場生産品に遠く及ばなかったが、40ドル又は100ドルの工場生産のオシロスコープは存在しなかった。

キット時代の終焉[編集]

1980年代、プリント基板による集積化が進み、海外からの大量生産の電子製品がヒースキットのビジネスモデルを侵食し始めた。キットの組み立てはまだ楽しめたが、費用を節約する事は望めなくなった。表面実装の部品や大規模集積回路(多くは特注品でヒース社のような小規模の顧客には入手できなかった)への切り替えにより工場生産品との競争する家での組み立て者は組み立てることができなくなった。キットの販売は下がり、ヒース社は教材と新分野のホーム・オートメーションと照明器具に軸足を移した。1989年、ゼニス社がZDSをBullグループに売却した時、ヒースキットもその商談に含まれていた。

1992年3月30日、45年に及ぶキットの販売を終了すると発表した。それは多くの人にとって、十分重要なことでありニューヨークタイムズ紙も見出しで取り上げた。

会社は1989年から複数の所有者を経て1995年にBullからHIGと呼ばれる投資家集団に売られ、1998年に他の投資家集団に売られた。その後もキットの販売以外の活動は健在で、ヒースキット社はベントンハーバーで教育分野の事業を営んでいた。回路図やマニュアル等を有償で提供するアフターサービスは続いていたが、それらの知的財産は2008年にData Professionalsが購入し、現在は同サイトで販売されている[1]

2011年に、キット分野への再参入する姿勢を見せ、当初はホームユースの電子機器を発売するとアナウンスした。アマチュア無線機器については開発中としていた[2]が、2012年5月にヒース社は倒産した[3]

関連項目[編集]

脚注[編集]

  • Fisher, Lawrence M. "Plug is Pulled on Heathkits, Ending a Do-It-Yourself Era", The New York Times, 30 March 1992, page A1.
  • Rostky, George. "A Tale Of The Unstoppable Electronic Kit", EE Times, 2 October 2000. reprinted here

外部リンク[編集]