ポリエチレン詰清涼飲料
ポリエチレン詰清涼飲料(ポリエチレンづめせいりょういんりょう)[1][2]は、ポリエチレン製の棒状の容器に清涼飲料を充填したもので、凍結させてアイスキャンディーとしても食べられる商品[3]。棒状の部分の中央にくびれがあって、凍結させた状態でここを容器ごと折ることが出来るようになっている[4]。くびれを入れるようになった理由は「折り易くするため」「凍らせやすくするため」「運搬時の商品保護の為」とメーカーによって様々である[5]。
概要
[編集]1950年代後半にポリエチレンが食品容器として段階的に承認されるようになったが、成形品の容器が登場するのは少し遅れたとされており、ポリエチレン詰清涼飲料の本格的な登場も1960年代以降となる[6][7]。
1953年頃、東京ではじめてポリエチレン詰清涼飲料が発売。当時「ポリジュース」などと呼ばれ、1970年頃には15円程度で販売された[8]。
代表的な商品であった「チューペット」の製造開始は1975年で[9][10][11]、当初は棒状の容器の端を噛み切って中身を吸う形であったが、その後、棒の中程にくびれを入れて折れるようにして、ヒット商品となった[9]。
1979年9月17日には、厚生省が環食第二四二号の「ポリエチレン製容器包装詰清涼飲料水の容器包装の熱封かん強度について」を各都道府県に通知し強度試験をするよう指導した[12]。
現在は、10社弱あまりの中小企業が製造している[13][1]。
多様な呼称
[編集]一般的な呼称
[編集]略して、ポリ飲料と称されることがある[4][13]ほか、ポリ容器入り清涼飲料水[10][11]、ポリ容器清涼飲料水[14]、ポリドリンク[15]、ポリジュース[16][17]、あるいは氷菓用飲料として言及されることもある[18]。「棒ジュース」という呼称での言及もある[2][19]。
各地での呼称
[編集]1975年から2009年まで製造されていた「チューペット」は、代表的な商品であったため、他社が製造するものも含めこの名で言及されることがある[10][11]。
他に、チューチュー[1]、チューチュー棒、ポッキンアイス、パッキンアイス、など様々な各社商品名由来の呼称がある[20]。
- 岐阜県では「カンカン棒」の名で広く知れ渡っており、由来は岐阜の方言の「硬い」という意味の「カンカン」からきている[21]。
- 北海道、東北地方では「ポッキン・ポッキンアイス」の名で広く知れ渡っており、由来はアイスを真ん中で2つに「ポキッ」と折る所からきている[22]。また「ミルちゃん」の名でも知れ渡っており、宮城県に本社がある株式会社アキヤマの「ミルちゃんフルーツ」からきている[23]。
- 九州地方の一部では「パンちゃん」と呼ばれており、由来は九州限定の生活協同組合の商品名からきている[22]。なお、「兄弟ゲンカが起きる」という客の声から、全国初「両凸容器」を製品化したのが「パンちゃん」だった[23]。
- 沖縄では「ミッキー」と一部呼ばれており、由来は石垣島発祥で、当時製造販売していた会社がミッキーマウスを真似てネズミのイラストをパッケージにつけたことが始まり[22]。
- 佐賀新聞が2021年9月に実施した読者アンケート(回答者の8割が佐賀県出身)では、「棒ジュース」、「棒アイス」、「ボンボン」の順に回答数が多く、上位2件で全体の4割を占めた[2]。佐賀県にある当製品のメーカーは、県内の取引先とは「棒ジュース」、県外の取引先とは「ポリドリンク」という名称でやり取りを行い、自社のウェブサイトでは「棒ジュース」と表記している[2]。
脚注
[編集]- ^ a b c みと (2006年3月5日). “大企業はラムネを作れない!?”. エキサイト. 2015年5月20日閲覧。
- ^ a b c d 志垣直哉 (2021年9月12日). “<こちさがアンケート結果>あのアイス、何と呼びますか? 「棒ジュース」「棒アイス」が4割”. 佐賀新聞. 2021年9月15日閲覧。
- ^ “ポリ飲料メーカー名鑑(トップ)”. 全国清涼飲料協同組合. 2015年5月20日閲覧。
- ^ a b デジタル大辞泉プラスの解説『ポリ飲料』 - コトバンク
- ^ 凍らせて2つに折って食べるアレの謎 実はメーカーでも答えが割れる「中央のくびれの存在理由」
- ^ “豆知識 Q ポリエチレン容器の始まりは?”. 全国清涼飲料工業会. 2015年9月16日閲覧。
- ^ “清涼飲料水の歴史について「豆知識(甘味料・歴史などについて)」清涼飲料水Q&A | 知る・学ぶ | 全清飲”. www.j-sda.or.jp. 2024年7月20日閲覧。
- ^ “第3回 坂本香料に、ミキサードリンクの起源を聞きにいく 〈後編〉 5 - ききあるき・東京<酎ハイ>物語|WEB本の雑誌”. WEB本の雑誌. 2024年7月20日閲覧。
- ^ a b “がっちりマンデー 過去の放送内容 2008.6.1 ONAIR 駄菓子(儲)ビジネス”. TBSテレビ. 2015年5月20日閲覧。
- ^ a b c 田之畑仁 (2009年9月9日). “夏のあの味もう二度と… 凍らせ菓子「チューペット」、34年の歴史に幕”. 朝日新聞・朝刊: p. 28 - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
- ^ a b c “「チューペット」34年…夏と共に去る カビで生産中止、再開できず”. 読売新聞・大阪朝刊: p. 28. (2009年9月13日) - ヨミダス歴史館にて閲覧
- ^ “・ポリエチレン製容器包装詰清涼飲料水の容器包装の熱封かん強度について(◆昭和54年09月17日環食第242号)”. www.mhlw.go.jp. 2024年7月20日閲覧。
- ^ a b “ポリ飲料メーカー名鑑(リスト)”. 全国清涼飲料協同組合. 2015年5月20日閲覧。
- ^ “19 清涼飲料水製造業”. 静岡県. 2015年5月20日閲覧。
- ^ “【チューペット?】これを何と呼びますか?【ポッキンアイス?】|高丘真弓”. note(ノート) (2021年8月6日). 2024年7月20日閲覧。
- ^ “商品情報 ポリジュース”. しんこう. 2015年5月20日閲覧。
- ^ “ポリジュース”. 花田食品. 2015年5月20日閲覧。
- ^ “氷菓用飲料「チューペット」を回収 カビ発生の恐れ”. 朝日新聞・朝刊: p. 33. (2009年5月16日) - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
- ^ 中村紘子 (2006年7月28日). “[わが街企業ファイル]マルホ 駄菓子好評、夏休み返上”. 読売新聞・中部朝刊・名市内: p. 27 - ヨミダス歴史館にて閲覧
- ^ “チューチュー?ポッキン? これが地域別「折るアイス」呼び方マップだ”. ジェイ・キャスト (2014年8月 8日). 2015年5月20日閲覧。
- ^ “岐阜県ではなんで「チューペット」を「カンカン棒」って呼ぶの? | at home VOX(アットホームボックス)”. at home VOX (2015年7月11日). 2024年7月20日閲覧。
- ^ a b c “チューペットの正式名称は?呼び方で出身地が分かる!”. るーののブログ (2021年7月12日). 2024年7月20日閲覧。
- ^ a b “全力リサーチ「凍らせて半分に折るあのアイスの名称は?」|2015年7月1日(水)|ドデスカ! - 名古屋テレビ【メ~テレ】”. www.nagoyatv.com (2015年7月1日). 2024年7月20日閲覧。