ナルトビエイ

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ナルトビエイ
保全状況評価
VULNERABLE
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
: 軟骨魚綱 Chondrichthyes
: トビエイ目 Myliobatiformes
: マダラトビエイ科 Aetobatidae
: マダラトビエイ属 Aetobatus
: ナルトビエイ A. narutobiei
学名
Aetobatus narutobiei
White, Yamaguchi, and Furumitsu, 2013
和名
ナルトビエイ
英名
Naru eagle ray

ナルトビエイ(奈留鳶鱏、学名:Aetobatus narutobiei)は、マダラトビエイ属に属するエイの一種[1]。和名は、日本において本種が最初に発見された奈留島に由来する[2]

かつてはAetobatus flagellumと同一視されていたが、大きさ、遺伝/形態的特徴、分布域が異なるため、2013年に別種とされた[2]

形態[編集]

A. flagellum以外のマダラトビエイ属魚類とは、体盤に白色斑点が無いことで区別できる。A. flagellumとは、本種は最大1.5メートルと大型であり、鰭条の数も多いことなどで区別できる[2]

分布・生態[編集]

A. flagellumインド洋から東南アジアに分布するのに対し、本種は南日本の太平洋岸、日本海有明海瀬戸内海東シナ海沿岸、朝鮮半島台湾中国沿岸に分布する[2][3][4]。沿岸域に生息し、河川での観察例もある。水深59メートル程度までの水域に生息するが、常に15℃より暖かい水域で見られる[2]。貝や甲殻類を捕食する[4]

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肉食であるため、養殖の貝類などを捕食してしまい、害魚として扱われることがある。兵庫県では、水質改善のため、アサリトリガイなどによる養殖実験が行われたが、その結果ナルトビエイが神戸運河に侵入し、貝類を食べてしまう被害が出た[5][6]。本種が多く生息する九州の有明海地域では、商業的に価値のある養殖二枚貝を捕食するため、毎年大量に駆除されている[2][7][8]

脚注[編集]

  1. ^ "Aetobatus narutobiei White, Furumitsu & Yamaguchi, 2013". World Register of Marine Species. 2023年3月14日閲覧
  2. ^ a b c d e f White, William T.; Furumitsu, Keisuke; Yamaguchi, Atsuko (2013-12-31). “A New Species of Eagle Ray Aetobatus narutobiei from the Northwest Pacific: An Example of the Critical Role Taxonomy Plays in Fisheries and Ecological Sciences” (英語). PLOS ONE 8 (12): e83785. doi:10.1371/journal.pone.0083785. ISSN 1932-6203. PMC PMC3877081. PMID 24391827. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMCPMC3877081/. 
  3. ^ Aetobatus narutobiei, Naru eagle ray”. www.fishbase.se. 2023年3月14日閲覧。
  4. ^ a b Aetobatus narutobiei | Shark-References”. shark-references.com. 2023年3月14日閲覧。
  5. ^ 【独自取材】川などに「エイ」出没相次ぐ 刺されると“命の危険”…貝類の食害も”. nippon.com. 2023年3月14日閲覧。
  6. ^ 兵庫運河で“ナルトビエイ”目撃相次ぐ 尾に毒針 漁協対策へ”. NHK. 2023年3月14日閲覧。
  7. ^ 吉田幹英、金澤孝弘. “有明海福岡県海域におけるナルトビエイの駆除状況”. 福岡県水産海洋技術センター研究報告. https://www.sea-net.pref.fukuoka.jp/info/kenkyu/upLoad/k19-23.pdf 2023年3月14日閲覧。. 
  8. ^ 佐賀)タイラギの天敵 ナルトビエイの駆除始まる”. 朝日新聞デジタル. 2023年3月14日閲覧。

関連項目[編集]