テオクリトス

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テオクリトス(ΘΕΟΚΡΙΤΟΣ)は、ギリシア文学史の「牧歌」の範疇の創造者にして「小情景詩(ΕΙΔΥΛΛΙΟΝ)」三十編の著者である。

生年は西紀前310~318年と推定され、現在のシチリアに生まれた。同290年~283年頃、プトレマイオス2世の家庭教師ピレタスにコス島で師事。ニキアス、アスクレピアデス、レオニダスともに学ぶ。この頃「牧歌」第1、3、6、8、11及び12歌を創作した。同285年~同275年、現在のシチリアに移り、「牧歌」第4、5、9、10歌を創作。ポエニ戦争のためシラクサの僭主ヒエロン2世が同275年~同278年支配権を有していたと雖も、同僭主への頌歌第16歌を献上すると雖も、ヒエロン2世はテオクリトスを保護しなかった。そのため、同274年~270年にかけて、東方のアレクサンドリアに招聘され、アレキサンドリアの王、プトレマイオス2世の保護下に移り、宮廷詩人として同宮廷に迎えられる。この時期に、カリマコスと非常に親しくなり、詩作もカリマコスの詩法の影響を受ける。同270年頃、コス島に戻り、ミレトゥスの許で過ごす。没年は、同270年以降とされるが不詳。

  • テオクリトスの作品は、愛の詩(第12、28、29、30)、ミーモスと呼ばれる小舞台的な対話と情景と習俗をとりまぜた劇詩(第15)、神話叙事詩(第13、25、27)、仮想的な恋愛詩(第2、3、11)、ヘレネー婚礼歌(第18)、ヒエロン頌歌(第16)、プトレマイオス2世頌歌(第17)を含む、広義の牧歌(Bucolica)群であり、ギリシア文化圏の実在の背景の下に、叙情詩と神話を踏まえて、牧人の生活と、純粋な恋と、自然との調和を描きだし、パストラーレと呼ばれる、「田園詩・牧歌」の文学ジャンルを創造した作品である。
  • ドーリア方言という叙情情景の文学ジャンルの詩形であり、6脚韻の、ヘシオドスの「仕事と日々(ΕΡΓΑ ΚΑΙ ΗΜΕΡΑΙ)」の韻律と同一又は類似する詩形であり、同著作物の影響(第581~596行)を受けている。サッポーの作品からも影響を多分に受けている。

日本語訳[編集]

  • 八木橋正雄により、1981年~1985年にかけて、4部に分けて本邦初の全訳が私家版で刊行された。
  • 『テオクリトス 牧歌』 古澤ゆう子 訳 (2004年) 京都大学出版会