スレイプニル級駆逐艦

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スレイプニル級駆逐艦
1948年、洋上のスレイプニル
概歴
就役開始 1936年
退役完了 1959年
前級 ドラグ級駆逐艦
次級 タウン級駆逐艦[1]
要目
艦種 駆逐艦
排水量 基準排水量 597t
全長 74.3m
全幅 7.8m
吃水 2.1m
機関 ド・ラバルギアードタービン 2基 12,500hp
ヤーロー式ボイラー 3基
2軸推進
速力 30ノット
航続距離 3,500海里(15ノット)、重油100t
乗員 75名
武装 102mm砲(40口径) 3門
ボフォース 40mm機関砲 1門
533mm連装魚雷発射管 1基
コルト 12.7mm機銃 2挺
爆雷投射機 4基
出典 [2]
備考 数値はスレイプニルのものである。

スレイプニル級駆逐艦ノルウェー語: Sleipner klassen jager)は、ノルウェー駆逐艦。6隻が建造され、第二次世界大戦を生き延びた5隻は戦後フリゲートに改造された。駆逐艦としては小型であることから、水雷艇として扱われる場合もあり、大型化したオーディン以降の3隻をオーディン級として扱われることもある[2]

構造[編集]

艦体自体は鋼鉄製であるが、ブリッジ、司令塔、煙突などの上部構造物にアルミニウムを用いたノルウェー最初の艦艇である。

ギーレルのみ魚雷発射管が2基、オーディン以降の3艦は基準排水量が632t、全長が2m程伸ばされ、吃水も3mと深くなっている一方、主砲は1門減じて2門となっている[2]

この他、装備には各艦で差異があったとされる事もあり、スレイプニルの主砲が2門、オーディンの対空機関砲が40mmから20mmに変更されていたとする説が知られている。また、バルドルトールは艤装完了前に捕獲されている[2]

スレイプニルとエーゲルを除くドイツに捕獲された4隻は改修を受け、10.5cm砲2門、4cm対空機関砲、2cm対空機関砲2門、533mm連装魚雷発射管1基、機雷24発を搭載した。後日、レオパルト(バルドル)以外は10.5cm砲を1門減じて2cm対空機関砲を増備している[2][3][4]

第二次世界大戦後の改造でフリゲートに類別されたが、この時点での装備は76mm砲3門、40mm対空機関砲2門、2cm対空機関砲2門となっている[2]

運用[編集]

第二次世界大戦では、ナチス・ドイツのノルウェー侵攻(ヴェーザー演習作戦)によってエーゲルがドイツ軍のJu 88の爆撃を受けて大破し、放棄された。スレイプニルのみがイギリスに逃れて連合国軍の艦として運用され、他の4艦はドイツ海軍の水雷艇となった。大戦終了後5艦全てがノルウェー海軍に復帰し、1953年にはフリゲートに改造されたが[2]、程なく退役している。

一覧[編集]

艦名 進水[2] 退役[2]
スレイプニル
(KNM «Sleipner»)
1936年5月7日 1956年
エーゲル
(KMN «Æger»)
1936年8月25日 1940年4月9日、爆撃により大破し放棄
ギーレル
(KMN «Gyller»)
※ドイツ水雷艇:レーヴェ(Löwe)
1938年7月7日 1959年
オーディン
(KNM «Odin»)
※ドイツ水雷艇:パンター(Panther)
1939年1月17日 1959年
バルドル
(KNM «Balder»)
※ドイツ水雷艇:レオパルト(Leopard)
1939年9月9日 1959年
トール
(KMN «Tor»)
※ドイツ水雷艇:ティーガー(Tiger)
1939年10月11日 1959年

画像[編集]

出典・注[編集]

  1. ^ タウン級は駆逐艦・基地協定英語版によってイギリスに引き渡された、アメリカ合衆国の駆逐艦。
    本級の後に建造が計画されていた1,220tの駆逐艦は初期段階でドイツに接収されZN4級、終戦後にオーレスン級と変遷したが未成に終わった。
    その後の駆逐艦も、イギリスから引き渡されたS級駆逐艦ハント級駆逐艦Cr級駆逐艦であり、本級が2013年の段階でノルウェーで建造された最後の駆逐艦である。
  2. ^ a b c d e f g h i Conway's All the World's Fighting Ships 1922-1946. (1992). p. 379-380 
  3. ^ Michael Emmerich. “Panther”. German Naval History. 2013年3月15日閲覧。
  4. ^ Michael Emmerich. “Leopard”. German Naval History. 2013年3月15日閲覧。