ジプシー (1993年の映画)

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ジプシー
ジャンル
  • 伝記
  • ドラマ
  • ミュージカル
原作 アーサー・ローレンツ
Gypsy: A Musical Fable
1959年のミュージカル
台本 アーサー・ローレンツ英語版
監督 エミール・アルドリーノ
出演者 ベット・ミドラー
ピーター・リーガート
シンシア・ギブ
音楽 ジューリー・スタイン (作曲)
スティーヴン・ソンドハイム (作詞)
国・地域 アメリカ合衆国
言語 英語
各話の長さ 153分[1]
製作
製作総指揮 ボニー・ブラックハイマー英語版
ロバート・ハーミ英語版
ニール・メロン英語版
クレイグ・ゼダン英語版
プロデューサー エミール・アルドリーノ
シンディ・ギルモア
ボブ・ウェバー
撮影地 オルフェウム・シアター
パレス・シアター
ステート・シアター
撮影監督 ラルフ・ボード
編集 ウィリアム・H・レイノルズ
L・ジェイムス・ラングロイス
製作 ストーリーライン・エンタテイメント
オール・ガール・プロダクションズ
RHIエンタテイメント
放送
放送チャンネルCBS
映像形式カラー
音声形式ドルビー
放送期間1993年12月12日 (1993-12-12) - 放送中
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ジプシー』(Gypsy)は、1993年のアメリカ合衆国の伝記ミュージカル・テレビ映画。エミール・アルドリーノが監督、アーサー・ローレンツ英語版が脚本を務めた。1957年のジプシー・ローズ・リーによる自伝『Gypsy: A Memoir』を基にする1959年のミュージカル『ジプシー』のテレビ映画化である[2]

ジプシー・ローズ・リーの息子エリック・リー・プレミンガー英語版は本作の製作に尽力し、調査の中心的人物であった。プレミンガーは10年前よりローズ役を熱望していたベット・ミドラー主演でミュージカル映画を製作しようとしたが、権利を獲得するには5箇所の承認が必要であった[3]。うち1つはリーの自伝を基にしたミュージカルの脚本を執筆したアーサー・ローレンツ英語版自身であった。ローレンツは1962年の映画版を嫌っており、リメイクには反対であった[4]。ローレンツは「世界中から金銭を得ようとも二度と映画版は作らない」と語っていた[2]

1993年12月12日、CBSで初放送され、その後海外の映画館で上映された。以降複数回ホームビデオとしてリリースされている。

初放送より3週間前、アルドリーノ監督はエイズにより亡くなった[5]

あらすじ[編集]

自分勝手で要領が良く傲慢なステージママローズ・ホビック英語版は、若くブロンドで美しい次女ジューンを何が何でもヴォードヴィルの主役にしようと決意する。ローズはジューンと、内気で野暮で才能もない長女ルイーズを連れて売り出すために全米を回り、エージェントのハービー・ソマーズの助けを得て高名なオルフェウム・サーキットでの職を得る。

数年後、娘たちは母親が強制する子供らしさを続けることができなくなってくる。ジューンは反抗し、バックダンサーの1人であるタルサと駆け落ちする。次女の裏切りとも思える行為に落胆し、ローズはルイーズが歌やダンスが得意でないにもかかわらずルイーズに全力を注ぐ。トーキーの人気が高まり、舞台におけるエンタテイメントの需要が降下する。職がなくなり、ローズとルイーズはカンザス州ウィチタに移住し三流バーレスクの職を得る。

ストリッパーの1人が客引きで逮捕され、ルイーズは不本意ながら代役となる。最初こそ声は震え動きもぎこちなかったが、観客の反応により自信を持ち始める。ルイーズはジプシー・ローズ・リーと名乗ってエンタテイナーとして成功し、私生活や仕事に関して常に過干渉である母親にうんざりするようになる。ルイーズは母親と対峙し、自分の元を去ることを要求する。ルイーズは、承認欲求、怒り、悲痛、当惑にさいなまれたローズにより奴隷のような人生を送ってきたことに気付き、ローズは荒廃し誰もいない舞台に立って真実を語り、互いに本音をぶつけ合い親子は和解する。

出演者[編集]

使用楽曲[編集]

  1. "Let Me Entertain You" - 幼少期のジューン、幼少期のルイーズ
  2. "Some People" - ローズ
  3. "Small World" - ローズ、ハービー
  4. "Baby June and Her Newsboys" - 幼少期のジューン、幼少期のルイーズ、コーラス
  5. "Mr. Goldstone" - ローズ、ハービー、コーラス
  6. "Little Lamb" - ルイーズ
  7. "You'll Never Get Away from Me" - ローズ、ハービー
  8. "Dainty June and Her Farmboys" - ジューン、ルイーズ、コーラス
  9. "If Momma Was Married" - ジューン、ルイーズ
  10. "All I Need is the Girl" - タルサ
  11. "Everything's Coming Up Roses" - ローズ
  12. "Together, Wherever We Go" - ローズ、ハービー、ルイーズ
  13. "You Gotta Get a Gimmick" - テシー・トゥラ、ミス・マゼッパ、ミス・エレクトラ
  14. "Small World" (reprise) - ローズ
  15. "Let Me Entertain You" - ルイーズ
  16. "Rose's Turn" - ローズ

サウンドトラック[編集]

ジューリー・スタイン作曲、スティーヴン・ソンドハイム作詞により、シド・ラミン英語版およびロバート・ギンズラー英語版のオリジナルの編曲を再利用している。オリジナル・ブロードウェイ公演の演出および振付を担当したジェローム・ロビンズが本作でも振付を担当した。ボブ・マッキー英語版が衣裳デザインを行なった。

評価[編集]

ニールセン視聴率[編集]

18.6/28世帯視聴率、2620万人が視聴したと見積もられ、この週の90番組中第4位であった[6]

受賞歴[編集]

部門 ノミネート者 結果 脚注
1994
アメリカ映画編集者協会賞 テレビ映画編集賞 ウィリアム・H・レイノルズ ノミネート [7]
Artios Awards テレビ映画週間キャスティング賞 デイヴィッド・ルビン、スチュアート・ハワード、エイミー・シェクター ノミネート [8]
全米監督協会賞 ドラマスペシャル監督功労賞 エミール・アルドリーノ ノミネート [9]
ゴールデングローブ賞 ミニシリーズ・テレビ映画作品賞 ノミネート [10]
ミニシリーズ・テレビ映画主演女優賞 ベット・ミドラー 受賞
ミニシリーズ・テレビ映画助演女優賞 シンシア・ギブ ノミネート
プライムタイム・エミー賞 テレビ映画作品賞 ロバート・ハルミ、クレイグ・ゼダン、ニール・メロン、ボニー・ブラックハイマー、エミール・アルドリーノ、シンディ・ギルモア ノミネート [11]
ミニシリーズ・スペシャル番組主演女優賞 ベット・ミドラー ノミネート
ミニシリーズ・スペシャル番組監督功労賞 エミール・アルドリーノ ノミネート
ミニシリーズ・スペシャル番組芸術監督功労賞 ジャクソン・デ・ゴヴィア、ジョン・R・ジェンセン、K.C.フォックス ノミネート
ミニシリーズ・スペシャル番組撮影功労賞 ラルフ・D・ボード ノミネート
ミニシリーズ・スペシャル番組衣裳デザイン功労賞 ボブ・マッキー英語版 ノミネート
ミニシリーズ・スペシャル番組シングル・カメラ編集功労賞 ウィリアム・レイノルズ ノミネート
ミニシリーズ・スペシャル番組ヘアスタイリング功労賞 キャロル・ミークル、ヘイゼル・カトマル、グロリア・モントマイヤー ノミネート
ミニシリーズ・スペシャル番組メイクアップ功労賞 ヘイリー・ダモア、クリスティ・アン・ニュークイスト、ユージニア・ウェストン ノミネート
音楽監督功労賞 マイケル・ラフター英語版 受賞
ミニシリーズ・スペシャル番組音響功労賞 グレッグ・スカラー、J・マイケル・フーサー、ボブ・コスタンザ、マイク・ディックソン、グレイ・マキール、リチャード・S・スティール、マーク・スティール、リック・クランプトン、デイヴィッド・C・アイヒホーン、ラスティ・ティンスリー、スチュアート・コルドロン、ゲイリー・シャインクル、スコット・グラシン、クリス・レデスマ、サリー・ボールド、ジル・スキャシン、ティム・チルトン、シャロン・マイケルズ、ジョセフ・マローン、ジョー・ベネット、ティム・テルサ ノミネート
ミニシリーズ・スペシャル番組音響賞 ラリー・スタンスヴォルド、ロバート・シェイパー、ギャリー・ボルガ―、デイヴィッド・M・ロン ノミネート
Television Critics Association Awards 年間番組賞 ノミネート [12]
スペシャル番組功労賞 ノミネート

ホームビデオ[編集]

1994年、RHIエンタテイメントによりビデオテープおよびレーザーディスクが、2000年、パイオニア・エンタテイメントより、2005年、ライオンズゲイト・ホーム・エンタテイメントよりDVDがリリースされた。近年、アマゾンやiTunesなどでデジタル配信やストリーミングがリリースされている。2013年3月12日、数年ぶりにミル・クリーク・エンタテイメントは2001年のリメイク番組『南太平洋』と2枚組でDVDを再出版した。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ Gypsy (1993) - IMDb(英語)
  2. ^ a b They're Coming Up Roses: Bette Midler headlines a new movie version of 'Gypsy,' a rare exact replication of a Broadway show. Therein lies a tale of tenacity, good timing and star power that Mama Rose herself would have appreciated”. Los Angeles Times. p. 2 (1993年12月5日). 2012年6月10日閲覧。
  3. ^ "Midler Fulfills Dream of Playing Mama Rose" (December 5, 1993) Altoona Mirror, p. E1
  4. ^ Marilyn Beck (13 Mar 1993) "Preminger Gives Bare Facts for Film on Stripper Mom", Orange County Register, p. K02
  5. ^ "Obituary: Emile Ardolino" (4 Dec 1993) The Independent, London, UK
  6. ^ DeRosa, Robin (1993年12月15日). “Midler's Gypsy coming up roses for CBS”. USA Today: p. 3D 
  7. ^ Nominees/Winners”. IMDb. 2019年4月3日閲覧。
  8. ^ 1994 Artios Awards” (英語). www.castingsociety.com. 2020年6月28日閲覧。
  9. ^ 46th DGA Awards”. Directors Guild of America Awards. 2021年7月5日閲覧。
  10. ^ Gypsy – Golden Globes”. HFPA. 2021年7月5日閲覧。
  11. ^ Gypsy”. Emmys.com. Academy of Television Arts & Sciences. 2021年7月13日閲覧。
  12. ^ TV Critics Single Out 3 Newcomers in Awards”. Deseret News (1994年7月23日). 2013年6月18日閲覧。

外部リンク[編集]