コルトM1877

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
コルトM1877
コルトM1877 "ライトニング"
コルトM1877
種類 回転式拳銃
製造国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
設計・製造 ウィリアム・メイソン
仕様
使用弾薬 .32ロングコルト
.38ロングコルト
.41ロングコルト
装弾数 6発
作動方式 ダブルアクションリボルバー
歴史 
設計年 1877
製造期間 1877-1909
バリエーション レインメーカー(.32)
ライトニング(.38)
サンダラー(.41)
製造数 166,849
テンプレートを表示

コルトM1877は、コルトパテントファイヤーアームズ社で製造されたダブルアクションリボルバー。1877年1月から1909年まで合計166,849挺が製造された。

口径により3つのバリエーションがあり、.32ロングコルト弾を使用するモデルには「レインメーカー」、同様に.38ロングコルト弾では「ライトニング」、.41ロングコルト弾では「サンダラー」という非公式な名称があった[1]

装弾数はいずれも6発で、.32ロングコルト弾を使用する初期モデルは1877年に発売された[2]

概要[編集]

M1877はコルト・シングル・アクション・アーミーの開発者の一人であるウィリアム・メイソンによって設計され、コルトがダブルアクション・リボルバーを製造する最初の試みであった。M1877は、アメリカ製のカートリッジ式ダブルアクションリボルバーの最初の成功作であった[2]

M1877は、基本的にニッケルメッキかガンブルー処理された2つの仕上げで出荷された。銃身長は2.5インチから7.5インチまで、イジェクターロッドとハウジングの有無に関わらず利用可能だった。イジェクターロッドなしの短い銃身のバージョンは、"shopkeeper's specials"として販売された[1]

「ライトニング」も「サンダラー」もコルトがつけた名称ではなく、工場で使用されていたものでもない。これらの名前は、コルトの主要な販売業者の一人であるベンジャミン・キットレッジによって作られた。キットレッジは、シングルアクション・アーミーの「ピースメーカー」、コルトM1878ダブルアクションリボルバーの「オムニポテント[注 1]」など、ニューラインモデルの様々な通称に関わっている[3]

M1877の初期のダブルアクション機構は、複雑で繊細なために壊れやすいことが判明した。このデザインは故障に定評があり[2]、「ガンスミスのお気に入り」というニックネームを得た。その複雑なデザインと修理の難しさから、現在でもガンスミスには嫌われている[2]。Gun Digest誌では「史上最悪のダブルアクション・トリガー機構」と評された[4]。一般的に、トリガースプリングが故障すると、リボルバーは単発のみになってしまう。M1877は、外見的にはシングルアクション・アーミーによく似ているが、寸法はわずかに短く、厚みは薄くなっている。グリップは、初期のものはチェッカリングの入ったローズウッド、後のものは硬質ラバーとなった[4]

「ライトニング」は、ヴィクトリア朝時代のイギリスマンチェスターの有名な探偵であり、当時のCIDのトップであったジェローム・カミナーダが個人的に愛用していた。西部開拓時代無法者ジョン・ウェズリー・ハーディンは、M1877の「ライトニング」と「サンダラー」の両方を頻繁に使用していた[2]。同様に「サンダラー」はビリー・ザ・キッドが愛用していた銃で、1881年にパット・ギャレットに殺された時にも使用していた[5][6][7]。また、ドク・ホリデイはニッケルメッキのサンダラーをニッケルメッキのコルトM1873と共に腰に挿していたことでも知られる。どちらもアイヴォリーまたはパールのグリップを持っていた。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 「フロンティア」モデルとしてよく知られる。

出典[編集]

  1. ^ a b Flayderman, Norm (2001). Flayderman's Guide to Antique American Firearms... and their values. Iola, WI: Krause Publications. p. 669. ISBN 0-87349-313-3 
  2. ^ a b c d e Herring, Hal (2008). Famous Firearms of the Old West: From Wild Bill Hickok's Colt Revolvers to Geronimo's Winchester, Twelve Guns That Shaped Our History. TwoDot. pp. 224. ISBN 0-7627-4508-8 
  3. ^ Gurr, Ted Robert (1979). Violence in America: The History of Crime. SAGE. p. 145. ISBN 978-0-8039-3228-9. https://books.google.com/books?id=9GF6nJuW5XcC&pg=PA145 2012年7月13日閲覧。 
  4. ^ a b Wood, JB (2001). The Gun Digest Book of Firearms Assembly/Disassembly: Revolvers. Iola, WI: Krause Publications. p. 576. ISBN 978-0-87341-923-9 
  5. ^ Boorman, Dean K. (2004). Guns of the Old West: An Illustrated History. Lyons Press. p. 128. ISBN 978-1-59228-638-6 
  6. ^ Wilson, RL (1992). Peacemakers: Arms and Adventure in the American West. Edison, New Jersey: Chartwell Publications. p. 392. ISBN 978-0-7858-1892-2 
  7. ^ Kinard, Jeff (2004). “The Metallic Cartridge and the Modern Revolver”. Pistols: An Illustrated History of Their Impact. Weapons and warfare series. ABC-CLIO. p. 163. ISBN 978-1-85109-470-7 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]