キムラグモ

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キムラグモ
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: クモ綱 Arachnida
: クモ目 Araneae
亜目 : ハラフシグモ亜目 Mesothelae
: ハラフシグモ科 Liphistiidae
: キムラグモ属 Heptathela
学名
Heptathela kimurai
(Kishida, 1920)

本文参照

キムラグモとは、狭義には節足動物門クモ綱クモ目ハラフシグモ亜目ハラフシグモ科に属するクモの一種Heptathela kimuraiの和名、また広義にはハラフシグモ科キムラグモ属Heptathelaに属するクモの総称である。腹部に節があり、最も原始的なクモの一つとして有名である。この特徴を持つハラフシグモ科の現生種として、日本で初めて発見、記載された。

目次

特徴 [編集]

キムラグモは、ややずんぐりとした褐色のクモで、体長は約1.5cmになる。

キムラグモの体は、頭胸部と腹部からなる。頭胸部には、一見すると5対の歩脚があるように見える。これは、触肢が歩脚と同じ形に発達するためである(普通のクモ類では、触肢は歩脚状だがはるかに小さい)。また、鋏角は大きく発達し、これは穴掘りに使用される。

キムラグモの腹部には、はっきりとした体節があり、背面には体節ごとにやや硬化した背板がならぶ。一方、クモ亜目に属する一般的なクモ類では、腹部には外見上は体節が見られない。それが見られることが、腹節グモの名称の由来であり、原始的性質である。腹面前方には、二対のがある。また、腹面中央には、四対の出糸突起があるが、長い紡錘形で、他のクモより大きく、付属肢に起源することが分かりやすい作りになっている。

生活 [編集]

巣の入り口、扉の下にクモの脚が見える
(ヤンバルキムラグモ)

キムラグモは、地下に穴を掘って暮らしている。切り通しなど、裸の地面が急斜面になったところに多い。斜め下向きに穴を掘り、深さは20cmに達する。巣穴の入り口には糸で作った幕によって蓋をしてある。蓋は入り口の上側で蝶番のように取り付けられ、開け閉めできる。ふたの外側には土や泥がついて、周囲と区別がつきにくくなっている。このような巣は、トタテグモ類と共通である。ただし、トタテグモ類の場合、巣穴の内側すべてに糸で裏打ちしてあるのに対し、キムラグモの場合は、扉と入り口付近だけが糸で裏打ちされている。これは、キムラグモが原始的なクモで、糸を出す能力が十分でないためとも言われる。

クモは巣穴の入り口で待機し、近くを昆虫などが通りかかると、飛びかかって捕らえ、巣に持ち込んで食べる。 東南アジアの近縁属では、穴の入り口から受信糸という糸を地表に放射状に張り、そこに接触した餌に飛びかかって食べるものがいるが、キムラグモはこれを作らない。

成熟した雄は巣穴から出て、雌の巣穴入り口で、雌の巣穴の戸を一定のリズムで触肢を使って叩く。これによって雌の同意が確認できれば、交接が行われる。

キムラグモの幼虫は、他のクモ類の幼虫が行なうバルーニングをしないことが知られており、これが多くの固有種を生む原因の一つとも考えられている。

名前の由来 [編集]

この名前は発見者にちなむものである。当時まだ高校生(旧制)だった木村有香(きむらありか)が1920年鹿児島県で発見し、標本を送られた岸田久吉1923年に記載、木村に学名和名献名した。木村は後に植物学者として名をなし、東北大学を舞台にヤナギの分類で大きな業績を挙げている。当時ハラフシグモ科のクモは東南アジアから4種発見されていただけで、どれも採集困難なものばかりであったので、クモの系統の研究上大きな意味のある発見となった。東亜蜘蛛学会(現・日本蜘蛛学会)はシンボルマ-クにこの蜘蛛を使っている。

その後九州以南の各地で分布が確認されたのではあるが、すべて同一種と考えられていた。ところが。キムラグモの配偶行動を研究していたドイツのハウプトが沖縄産のものの行動が全く異なることを発見し、研究の結果、これを別種オキナワキムラグモ H. nishihirai として発表した。この学名は標本を提供した沖縄出身の生態学者である西平守孝に献名したものである。これを契機に研究が進んだ結果、以下の述べるように各地で種分化が進んでいることが判明した。

分類 [編集]

キムラグモは日本では九州南部から南西諸島にかけて分布するとされたが、上述のように複数属種が含まれていることが判明した。沖縄本島以南のものは別属のオキナワキムラグモ属としている。

それ以北、九州までのキムラグモ属は9種に分けられている。それについては属の項を参照されたい。現在の範囲でのキムラグモは、熊本県東部と南部、大分県西部、熊本県西部に棲息するものである。他の種とは形態的には大差がなく、雄の触手器官と雌の生殖器の違いで分類されている。


参考文献 [編集]

  • 小野展嗣編著、『日本産クモ類』、(2009)、東海大学出版会