カニグモ科
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カニグモの一種 Xysticus sp. |
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ヒメハナグモ Misumena vatia
獲物を待つワカバグモ(♂) Oxytate striatipes
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カニグモ科(学名 Thomisidae)は、クモ類の一群である。待ち伏せで獲物を捕らえる。
目次 |
[編集] 特徴
カニグモ科は、クモ綱クモ目に含まれる一群である。網を張らない徘徊性のクモで、主として待ち伏せで獲物を捕らえる。前足が長く、それを左右に張った姿が、カニを思わせることから、その名がある。
体はやや平らで、腹部は幅広い。眼は8眼2列で、個々の眼は、頭部の盛り上がった台の上にある。外見上、はっきりした特徴は、足の配置である。4対の足は、前3対が前を向き、後ろ1対のみが後ろを向く。特に前2対が長く太く発達し、その2対は左右に大きく張り出して、それから抱え込むように曲げる。その形が、カニを思わせる訳である。ただ、そうでない姿勢をとっていないことも少なくなく、体色が褐色の種の場合アシダカグモの幼体にやや似る。脚をよく自切するのもアシダカグモと同様である。
動作はゆっくりとしていて、走ることはほとんどない。地上や低い草の上、樹皮上などに生活する種があり、それぞれの場所で、じっとしていて、獲物が通りかかるのを待つ。
[編集] 各種概説
カニグモ類は、主として地上または草の上に生息する。
キハダカニグモやコカニグモ類は、特に体が偏平で、よく樹皮の隙間などから発見される。キハダカニグモは越冬中のハエトリグモを捕食するようだ。同様に同じ環境でムナボシヒメグモが他のクモを襲うのも見られる。キハダカニグモが見られるとこにはまたキハダエビグモが見られることが多く、これらが見られる環境のなかでも長期的に安定して湿度の保たれる照葉樹林では、冬季にドウシグモが見られ、(樹皮を剥くことが許されるならば)皇居内でも発見される可能性が高い。
樹皮下で活動するクモも越冬するクモも主要な天敵は小型の冬鳥と思われる。主のいなくなった越冬シェルターをよく見かける。
ガザミグモ、ワカバグモなどは草や木の葉に住む。ハナグモやアズチグモは、よく草の花に止まっている。チョウなどが餌食になっているのがよく見受けられる。
白色系のクモは人間の目には比較的めだって見えるものの、おそらく紫外線の帯域での隠蔽色となっているのだろう。 ガザミグモ、シロスジグモ、アズチグモなどは発達した前脚に比べ後脚が短く、待ち伏せの傾向が強いようで、逃げる敵を追いかける能力は低いが、代わりに発達した前足と強い脚刺はトラバサミのように、ある程度の飛翔能力をもった獲物でも捕らえて離さない。前脚を閉じる動作だけはとても速い。ヤミイロカニグモでは脚の先端の爪がクシのような構造をしているが、これも確保能力に役立っているのだろう。
一方、各足が満遍なく発達しているワカバグモなどは、シャコグモなどとともに地表を徘徊している様子も時折見られる。またアマギエビスグモなどは、ハエトリグモのように地上でジャンプしているのを見ることもある。
カニグモ科に近縁のエビグモ科は動きがすばやく、同じ待ち伏せ戦略でも葉の裏に潜み、葉の表に休憩しに来た虫を確認するとすばやく表に回って捕獲するなどの行動が見られる。
アズチグモは雌雄差が大きいことでも知られる。 また、ツケオグモ類は、全身に突起や刺があり、黒っぽい部分と白い部分が交じった色彩で草の葉にとまる。その姿は鳥の糞に似て見え、間違えてやってくる昆虫を捕らえるための攻撃型擬態と考えられている。
アシナガカニグモは草地で見られるものの、毛の生えた植物上にいると動かない限りはなかなか見つけづらい。 脚の長さよりむしろ毛の長さが印象的で、見つけにくいこの種の存在は良好な自然環境を示しているとはあながち言えないような気がするが、おそらく草地環境が維持されているような、ちょっとした空き地などでも見つかるものなのかもしれない。マスカット味の駄菓子のようなこのクモの幸せは、目立たないので自然保護のシンボルとして利用されることもないことだろうか。
クマダハナグモはヤミイロカニグモの個体差や成長過程のように見えることも多く、都市部では落ち葉の積もる地表にヤミイロカニグモ類、樹木を含め植物上にクマダハナグモが見られることが多い。
セマルトラフカニグモも都市部の緑地の樹木上などで見られるクモで、民家の庭木などにもいるようだ。 暗色の個体は一見すると、樹皮を生息圏とするキハダエビグモの雄のように見えることもあるが、動きは比較的緩慢。 近縁のヤギヌマノセマルトラフカニグモというのもあるが、見分けがたい。
トラフカニグモは山野において非常に多く見られるところもあり、また目の錯覚か、トランプのダイヤを2つ繋げたような印象の個体も見られる。トラフカニグモ類はアリを捕食することで知られるが、~カニグモとつくものは概ねアリには強い印象がある。
シロスジグモは南方系のクモで、冗談ながらハマボウ線またはハマユウ線というのを提案してみたい。 三浦半島や房総半島の最南地域などでは、海岸の草地でハナグモ、アズチグモ、Xyticus に混じって活動するのが見られるかもしれない。
配偶行動においては、雄が雌を糸でしばりつける行動を取るものがあることが知られている。
カニグモの中でも Xyticus は識別が難しいことで知られ、背甲の色彩が異なるオビボソカニグモなどを除くとほとんどの同定は生殖器を検鏡することによってなされ、またそれもあまり容易ではない作業のようだ。比較的食欲旺盛で、さまざまな甲虫を捕食している場面がよく目撃される。
オビボソカニグモやヤミイロカニグモのようにリター(※)間で見られるものの中に、Xyticus よりさらに小さな同型のクモが見られるが、これらが土壌性のオチバカニグモ属で、これから地域により細かく種類が分けられてゆくようだ。都市部のちょっとした緑地の土壌などでも見られる。また Xyticus の幼体と同時に見られることも多い。
※リター層:土壌中、O層の最上位(分解の過程が粗い)層。L層とも呼ばれる。
エビグモ科の中では冬季、ヤドカリグモ類の擬死が見られることがある。この擬死は長時間解かないもので、触っても弾いても何の反応もなく、何かの種子のように見える。他の季節ではあまり印象もないが、膨大にやってくる小型の冬鳥への学習的な対応なのだろうか?脅威が去ったと見ると、その後の動きはとても素早い。
- → この項目ハモンエビグモ♂亜成体の誤りでした。
- 12月 多摩川河川敷 枯れたツルヨシ上にて。 体長 6mm。
この時期、植物体上にいるイオウイロハシリグモ幼体なども時々擬死を行い、これも他の時季ではあまり見られないように感じる。
夏季などは空間は閉鎖的になり隠れる場所も増え、小型の鳥の生息密度は減るようだ。夏季は食虫の程度の高い鳥がわたってくるが比較的単独行動に近いものが多く、捕食圧は冬よりも低いように見える。また、他の虫の羽化、活動が始まるのでクモにとっては捕食される危険性が若干低下するのかもしれない。比較的多産なことや食べ物への選好性が比較的低いこと、拡散能力の高さなどで捕食圧から逃れているのだろう。
ヤドカリグモ類は地上を徘徊していると、どういった種類のクモだかわからないこともあるが、カニグモ類と共通の静止姿勢をとることで、他の遠縁の徘徊種とは容易に区別できる。
シャコグモは地上でも草の上でも見られるクモで、シャコシャコ走り回っていることも多い。 よく言われるのがコガネグモダマシと姿が似ていることで、待機中のものはよく似た雰囲気を持つ。 クモの研究者の命名のセンスは、時としてよくわからないところがある。 前者はクモの中でも比較的動きが素早い部類に入るので、動き出せば容易に見分けられる。 適度な生息密度を保っているのか、群生は見かけない。
エビグモ科でもヤドカリグモ・シャコグモ属は地表の歩行にも適した体型をしている。 クモの中でも動作が緩慢なものが多いカニグモ科と、もっとも素早い部類に入るエビグモ科は対照的である。 待ち伏せ型の場合は、動かないことにより捕食者に対しても被食者に対しても見つかりにくい利点を持ち、素早く動き回るものは素早く捕獲し素早く隠れることで、対等の生態的地位を得ているのかもしれない。その関係は同所的なキハダエビグモ、キハダカニグモで顕著になる。この2種はお互いにあまり争わないようで、飼育環境下では相手の背中に乗ったりしている様子をよく見られる。
コガネエビグモは、平地でよく見られるキンイロエビグモやアサヒエビグモと比べると、標高をあげてゆきブナがぽつぽつ現れる辺りから見られ始める、山地系のクモの印象がある。体色の雰囲気は、同じような環境に生息するある種のフクログモに共通する。見た目の色はあまり安定しないが、腹部上面後端の両脇に一対のやや細い白と黒からなる目立たない斑紋があり、ここで識別しやすい。
飼育環境下では、ケースの中に不規則網を張り巡らせて、網をつくろったり、引っかかった獲物を食べたりする様子が観察される。また、日もあたらない氷点下の空気の中で他のクモが樹皮下でほとんど仮死状態のようになる中、ゴソゴソと動いていることもあり、地味ながら時々意外性を見せるクモでもある。
キエビグモは渓谷の低木などの葉上に多く住むアサヒエビグモに混ざっていることがあるが、脚にはっきりとした縦の筋が見えることで見分けられる。エビグモ類は斑紋を浮かび上がらせたり、消失させたりする行動が見られるので意外と判りにくく、図鑑と絵合わせをすると見間違いやすい。
ハモンエビグモは周辺のエビグモとは動きが異なり、後眼列の後曲は弱く、腹部下面は白っぽい毛が多い。この点では水辺で生活する徘徊種の雰囲気がある。 周辺ではアズマキシダグモとウヅキコモリグモがよく見られた。河川水辺の国勢調査で各地で記録されるかもしれない。
川ではツチフキが見られたが、こちらも地域的には記録が少ないようだ。腹部に独特の斑があるが、肉眼ではわかりにくかった。見た目は灰色っぽいまたは砂漠色っぽい。体表の毛は水を完全に弾くようで、また跗節と蹠節前方下面に黒い毛束があり、ひょっとすると水面を容易に走れるのかもしれない。 飼育環境下では常に物陰に隠れ不活性だった。物陰に隠れて生活する種の特徴だろうか。 脚を広げて待機するのがエビグモ特有の姿勢だと思っていたが、この種はヤドカリグモ風の待機をしている。探索像が確定するまでは、見落としやすい種類なのだろう。環境に適応した形態や行動からすると、偶産種ではなさそうだ。 Webで見られるヤマトヤドカリグモの写真に酷似する。雌は斑紋が少し違っており、脚はとても長い。 背甲、眼域などはヤドカリグモの仲間とは異なる。 ペットボトル内で攪拌したりして水攻めにしたところ、脚を縮めて水中を漂っていたが、縮めた脚と体全体の周りを空気の層が包んでいた。自然環境では恐らく魚に食べられそうだ。その後、不器用に歩いたり背泳ぎをしたりして接岸した。 水を張ったバケツに落とすと、そこそこの速度で水面を歩いた。 1月に日当たりのよい石下を素早く逃げた雌と、石の下で擬死をした雄の幼体を見つける。ヤドカリグモよりも素早く動くかもしれない。 この種は今のところ低水敷で低頻度で見られるが、ヤマトヤドカリグモとヤドカリグモは主に高水敷の地上や草上でまとまって見られた。ある区域では周辺の優占種はキシベコモリグモ、ついでエビチャコモリグモで、そのほかウヅキコモリグモ、ノコギリヒザグモ、テナガグモほか数種のコサラグモなどが見られた。 同じくらい低い頻度でカワベコモリグモも見られるが、こちらも短毛が体を覆う。 刺激に反応してすぐ脚を縮めるが、他のエビグモではあまり同様の仕草は見られない。この種が、ヤドカリグモとエビグモの中間の属だと想像すると面白い。
[編集] 名称
カニグモの和名は、日本のクモ学の草分け、岸田久吉によってつけられた。岸田はカニグモ科のクモにエビ・カニ・ガザミ・ヤドカリ・シャコといった甲殻類の名を冠した。そのうちの一部が後にエビグモ科として独立した。
[編集] 分類
- カニグモ科 Thomisidae
- カニグモ属 Xyticus
- ヤミイロカニグモ・クロボシカニグモ・他
- コカニグモ属 Coriarachne
- コカニグモ
- フノジグモ属 Synaema
- フノジグモ・アマギエビスグモ・他
- ハナグモ属 Misumenops
- ハナグモ・コハナグモ・他
- ヒメハナグモ属 Misumena
- ヒメハナグモ
- ワカバグモ属 Oxylate
- ワカバグモ
- トラフカニグモ属 Tmarus
- トラフカニグモ・セマルトラフカニグモ・他
- ツケオグモ属 hrynarachne
- カトウツケオグモ
- アズチグモ属 Thomisus
- アズチグモ
- ガザミグモ属 Pistus
- ガザミグモ
- カニグモ属 Xyticus
- エビグモ科 Philodromidae
- ヤドカリグモ属 Tanatus
- ヤドカリグモ
- シャコグモ属 Tibellus
- シャコグモ・スジシャコグモ
- エビグモ属 Philodromus
- コガネエビグモ・アサヒエビグモ・キハダエビグモ・他
- ヤドカリグモ属 Tanatus

