オルガン2/ASLSP

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ドイツハルバーシュタットの聖ブキャルディ教会

Organ²/ASLSP (:As Slow as Possible) は、ジョン・ケージが作曲した楽曲(オルガン曲またはピアノ曲)であり、最も長い、永続的な演奏がまだ行われている曲である。

この曲は、1985年の作品『ASLSP』を改作する形で、1987年にオルガンのために書かれた。

ピアノ版の代表的な演奏時間は、20分から70分である[1]

ドイツハルバーシュタットのブキャルディ廃教会でのオルガン版の演奏が2001年に始まった。この演奏は、639年以上の期間をかけるよう設定され、2640年に演奏終了予定である。

歴史[編集]

この作品は「創造と舞台芸術のためのメリーランド夏期講習会」主催のピアノコンクールの、現代曲部門課題曲として作曲された。

ケージは、殆どの楽曲の単調さからの脱却を審査員に提供し、二つとして同じ演奏にならない事を保証するために、主に「開かれた形式」を採用した。

楽譜は8ページで構成されている。

演奏[編集]

2009年2月5日の8時45分から23時41分にかけて、タウソン大学ハロルド・J・カプランホールにおいて、ダイアン・ルチェスによりこの作品が演奏された。この、14時間56分に渡る演奏は、スコアの時間的な割合を厳守し、一人の奏者によって行われた最も長い記録的な演奏であるとされていた[2]

しかし、2008年のARTSaha!Festivalにおいて、ジョー・ドルーによって、24時間に渡るこの作品の演奏が既に行われていた。このときドルーは既に9時間、12時間の演奏を行っており、48時間に渡る演奏も計画している[3]

2012年9月5日には、アデレード大学にて行われた「ジョン・ケージ・デー」において、Stephen Whittingtonにより、この作品の8時間版が演奏された。作品は、8つのセクションに1時間ずつ配分され、それぞれのイベント(出来事)の正確なタイミングは自由なまま、1分間のセグメントに分割された。この演奏では8つのうち、7つのセクションが演奏され、1つのセクションが省略されて、その代わりに1つのセクションが繰り返された。オルガンのレジストレーション変更は「チャンス・オペレーション」により決定された[4][5][6][7]

ハルバーシュタットでの演奏[編集]

楽器を動かすふいご
オルガン本体

背景[編集]

1997年に、ドイツのトロッシンゲン音楽大学でオルガン科教授のクリストフ・ボッセルトなどの音楽家や哲学者の会議によって、ケージのこの作品の演奏指示の意味が議論され、オルガンは、事実上時間無制限で演奏できるとされた。

そして、639年に渡って作品を演奏するプロジェクトが浮上した。

適切に維持されているパイプオルガンの寿命は有限ではないことから、演奏期間は、文書に記録されている限り、最初に、ハルバーシュタットの教会に常設のオルガンが設置された1361年から、この企画が提案された2000年までに相当する「639年」とされた[8]

楽器[編集]

この作品の演奏のために特別に制作されたオルガンは、(最終的に)2009年に完成した。ブキャルディ教会の右側廊にあり、左に蛇腹(ふいご)を持っている。

2005年1月から5月の間、6本のパイプを持っていた。

楽器の音が絶えず聴こえているので、音量を減らすためにアクリルガラスの箱に納められている。

演奏[編集]

演奏は、2001年9月5日に開始された。2003年2月5日までは、持続的な休符のため無音であり、最初の和音は、その後2005年7月5日まで演奏された。

その響きは、専用ウェブサイトで生中継され、リアルタイムで聴く事が出来た[9]が、2013年12月現在、リアルタイム中継は行われていない模様。

最新の響きの和音は、ハ音変イ音である。2008年7月5日に、オルガンのペダルを押す錘が移動され、音が変更された。

ふいごが、パイプが音を発し続けるために一定の空気を供給し続けており、演奏終了は2640年9月5日を予定している。

The note change of January 5, 2006 takes place at 8:36 in this audio clip.

この音声や映像がうまく視聴できない場合は、Help:音声・動画の再生をご覧ください。

音の変更[編集]

この作品は、ケージの89歳の誕生日である2001年9月5日に演奏が開始され、最初の17ヶ月間は休符であり、最初の音が鳴らされたのは2003年2月5日である。音の追加や変更は以下の日程で行われる。

  • 2004年7月5日
  • 2005年7月5日
  • 2006年1月5日
  • 2006年5月5日[10]
  • 2008年7月5日
  • 2008年11月5日
  • 2009年2月5日
  • 2010年7月5日
  • 2011年2月5日
  • 2011年8月5日
  • 2012年7月5日
  • 2013年10月5日[11]
  • 2020年9月5日

脚注[編集]

  1. ^ 'World's longest concert' resumes, Steve Rosenberg, BBC News (2008-07-05). Accessed 2008-07-05.
  2. ^ The Towerlight, Fifteen hours at the organ”. Media.www.thetowerlight.com. 2011年8月30日閲覧。
  3. ^ Joe Drew's Bio”. Analogarts.org. 2011年8月30日閲覧。
  4. ^ Stephen Whittington: Musical Renewal”. RealTime. 2012年9月27日閲覧。
  5. ^ News and Events”. J.M. Coetzee Centre for Creative Practice. 2012年9月27日閲覧。
  6. ^ John Cage Day, Wednesday 5th September 2012”. 2012年9月27日閲覧。
  7. ^ John Cage Day Celebrated in Adelaide with Free Concert in Elder Hall”. Herald Sun Newspaper. 2012年9月27日閲覧。
  8. ^ First notes for 639-year composition, BBC News (2003-02-05). Accessed 2008-07-05.
  9. ^ the Halberstadt event website”. John-cage.halberstadt.de (2004年11月19日). 2011年8月30日閲覧。
  10. ^ Wakin, Daniel J. (2006年5月6日). “John Cage's Long Music Composition in Germany Changes a Note”. The New York Times. http://www.nytimes.com/2006/05/06/arts/music/06chor.html 2011年6月25日閲覧。 
  11. ^ So Begins the Hiatus (Organ2/ASLSP in Halberstadt)”. John Cage Trust (2013年10月18日). 2013年11月11日閲覧。 “I'm just back from Halberstadt (a 20+ hour journey), having attended the ceremonious 13th note change in the hyperdurational sounding of John Cage's Organ2/ASLSP. This is the last note change to occur for seven long years, so it was particularly well attended.”

関連リンク[編集]