ウミミドリ

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ウミミドリ
青森県種差海岸 2019年6月下旬
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Agiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : キク上類 Superasterids
階級なし : キク類 Asterids
: ツツジ目 Ericales
: サクラソウ科 Primulaceae
: オカトラノオ属 Lysimachia
: L. maritima
変種 : ウミミドリ
L. m var. obtusifolia
学名
Lysimachia maritima (L.) Galasso,Banfi et Soldano var. obtusifolia (Fernald) Yonek.[1]
シノニム
  • Glaux maritima L. var. obtusifolia Fernald[2]
和名
ウミミドリ(海緑)[3][4][5]

ウミミドリ(海緑、学名:Lysimachia maritima var. obtusifolia)は、サクラソウ科オカトラノオ属多年草。別名、シオマツバ。ヨーロッパに分布する Lysimachia maritima を基本種とする変種[6]

従来は、サクラソウ科の独立したウミミドリ属 Glaux L. に属していた[3][4][5][7]。現在は、同科のツマトリソウ属 Trientalis L. とともに同科オカトラノオ属に移されている[6]

特徴[編集]

地下茎は太く、横に這って広がる。は円く、直立して高さは5-20cmになる。はやや密に対生まれに3輪生し、無毛で光沢があり、質は多肉質、表面は濃緑色で裏面はやや淡い色になる。葉身は広披針形または倒卵状長楕円形で、長さ6-15mm、幅3-6mm、先端は円形または鈍形で、基部はやや細まり葉柄はない[6][3][4][5][7]

花期は7-8月。は白色または淡紅色で、茎上部の葉腋に1個ずつつける。花柄はほとんどない。花に花冠はなく、花冠に見えるのは裂片で、萼が深く5裂し、裂片は長楕円形になり先端は鈍く、5萼裂片は径6-7mmの広鐘形の花冠様となる。雄蕊は5個あり、萼筒と離生して萼裂片と互生して、子房の基部につく。花柱は1個ある。果実蒴果で径3-4mmの卵球形となり、下半分は残存する萼に覆われて縦に5裂し、先端に花柱が残存する。種子は少数で、背面には突出したへそがあり、裏面は平らになり、褐色の網目模様のある薄い種皮に包まれる[6][3][4][5][7]

分布と生育環境[編集]

日本では、南千島、北海道、本州の中部地方以北に分布し、海岸の湿地に生育する。国外では、サハリンの海岸のほか、アジア、北アメリカの北部に広く分布する。基本種はヨーロッパに分布する[6]

名前の由来[編集]

和名 ウミミドリは「海緑」の意で、海岸に生え、葉が濃緑色であることによる[5]

種小名(種形容語)maritima は、「海の、海浜生の」の意味。変種obtusifolia は、「鈍頭の葉をもった」の意味[8]

ギャラリー[編集]

基本種[編集]

  • Lysimachia maritima (L.) Galasso, Banfi et Soldano - ウミミドリの基本種で、ヨーロッパに分布する。ウミミドリ var. obtusifolia と比べ、全体に小型である[6][7]

脚注[編集]

  1. ^ ウミミドリ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  2. ^ ウミミドリ(シノニム) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  3. ^ a b c d 『山溪カラー名鑑 日本の野草』p.269
  4. ^ a b c d 『山溪ハンディ図鑑1 野に咲く花』p.200
  5. ^ a b c d e 『生育環境別 日本野生植物館』p.201
  6. ^ a b c d e f 『改訂新版 日本の野生植物 4』p.195
  7. ^ a b c d 『日本の野生植物 草本III合弁花類』pp.19-20
  8. ^ 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1501, p.1505

参考文献[編集]