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酸化インジウムスズ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
酸化インジウムスズ
識別情報
CAS登録番号 50926-11-9
特性
外観 淡黄色~黄緑色(固体、組成により変化)
密度 7120-7160 kg/m3 (293 K)
融点

1800-2200 K

特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。
ITO薄膜によりコーティングされた旅客機の窓。窓の一部分だけではなく、全域を熱することにより霜取りし、良好な視界を確保することができる。

酸化インジウムスズ(さんかインジウムスズ、: Indium Tin OxideITO)は酸化インジウム(III) (In2O3) と酸化スズ(IV) (SnO2) の無機混合物である。粉末は黄色~灰色であるが、可視光領域の透過率が高いため、薄膜ではほぼ無色透明であり[1]、主に透明電極として用いられる[2]

概要

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透明導電膜ITOの特徴は電気伝導性と透明性である[1]蒸着成膜することで電荷密度が向上し導電性も向上する傾向にあるが、その一方で透明性が低下してしまう。ITOの薄膜は主に電子ビーム蒸着法物理気相成長法、スパッタ蒸着法などを用いて製造されている[2]。実用上、重量比9:1程度で用いられることが多い。

利用

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液晶ディスプレイ薄型テレビプラズマディスプレイタッチパネル電子インク有機EL太陽電池帯電防止剤電磁波シールド材料などで幅広く応用されている[2]

また光学コーティング剤としても用いられることがある。特筆すべきは赤外線反射材としての利用であり、建築物や自動車、ナトリウムランプのガラスなどに応用されることがある。このほかにもガスセンサー反射防止膜表面処理剤半導体レーザーへ応用されている。

代替物

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インジウムは高価であり安定供給に限界がある。また脆弱であり曲げ耐性もなく、薄膜作製には真空過程を必要とするためコストがかさむことから、代替物質の研究が進んでいる。代替物質として銀ナノワイヤー、ガリウム/アルミニウムドープ酸化亜鉛カーボンナノチューブが挙げられており、Cambrios、CanatuやEikos、Unidym社などで研究が行われている。

またポリチオフェン系のPEDOT[3]ポリアニリンといった導電性高分子も(電気導電性が未だ半導体レベルであるものの:有機半導体)資源的豊富さや曲げやすさから研究されており、銀行ATMなどの導電性より耐曲げ疲労が求められる用途では実用化している。一般的に導電性高分子は無機導電材料と比較して導電性が劣るものの、高い曲げ耐性を有しており、かつ安価で製造プロセスが環境にも優しいとされている。

出典

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  1. ^ a b 原納猛、高木悟「透明電極膜ITOの基本物性」『表面技術』第40巻第5号、表面技術協会、1989年、666-670頁、doi:10.4139/sfj.40.666 
  2. ^ a b c 新井真「透明導電膜(ITO)のプロセスと膜特性」『表面技術』第64巻第7号、表面技術協会、2013年、396-399頁、doi:10.4139/sfj.64.396 
  3. ^ 導電性4倍のタッチパネル向け有機透明材、ITOの代替狙う”. 日刊工業新聞 (2019年1月2日). 2019年1月4日閲覧。

外部リンク

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