コンテンツにスキップ

近思録

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
国会図書館デジタルコレクション
朱子学入門書である『近思録』の和刻本。これは寛永年間の古活字版。随所に日本語の大量の書き入れが見受けられる。

近思録』(きんしろく)は、朱熹呂祖謙周濂渓張横渠程明道程伊川の著作から編纂した、淳熙3年(1176年)に刊行された朱子学の入門書である。4人は北宋時代の学者で、宋学を始めた人物とされる。内容は、14章に分かれている。

日本では江戸時代後期に各地の儒学塾で講義された。豊後日田広瀬淡窓の咸宜園では、『伝習録』とともに学業の最後の段階に位置づけられていた。

構成

[編集]
  • 朱熹のまえがき  
  • 1章、道体 宇宙や世界の捉え方
  • 2章、為学大要 学び方
  • 3章、格物窮理 物事の道理を極めること
  • 4章、存養 心の根本を養い育てること
  • 5章、改過遷善克己復礼 過ちを改め、善をめざし、人欲を去り、天理に則ること
  • 6章、斉家之道 家庭の有り様
  • 7章、出所進退辞受之義 正しい出処進退の有り様
  • 8章、治国平天下之道 国を治め、天下を太平にする方法
  • 9章、制度 社会制度の整備
  • 10章、君子処事之方 君子としての対応の仕方
  • 11章、教学之道 教育のあり方
  • 12章、改過及人心疵病 過ちを見つけ、心の悪い点を改めること
  • 13章、異端之学 異端の教学とは何か
  • 14章、聖賢気象 先人の聖人や賢人
  • 呂祖謙のあとがき

著訳書

[編集]
  • 湯浅幸孫訳著『近思録』 たちばな出版〈タチバナ教養文庫〉上中下、1996年
    • 元版:朝日新聞社〈中国文明選4・5〉、1972-1974年、再版1977年
  • 市川安司訳著『近思録 新釈漢文大系37』 明治書院、初版1975年。度々再版
  • 鈴木由次郎ほか訳注 『近思録 朱子学大系9』明徳出版社、1974年
  • 『近思録欄外書類 佐藤一斎全集4』 岡田武彦ほか監修 明徳出版社、1992年
  • 『基礎からよく分かる「近思録」 朱子学の入門書』福田晃市訳解、明窓出版、1998年。改訂版2009年
  • 『近思録』 山崎道夫〈中国古典新書〉明徳出版社、1983年ほか。抜粋版
  • 『近思録』秋月胤継訳註 岩波文庫 初版1940年。秋月悌次郎の婿養子
  • 『楚辞 近思録』 井上哲次郎ほか校訂、冨山房〈漢文大系22〉、増補版1984年。初刊は大正初期

関連項目

[編集]