「構成主義 (数学)」の版間の差分

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[[数学の哲学]]において、'''構成主義'''(こうせいしゅぎ、{{lang-en-short|constructivism}})とは、「ある数学的対象が存在することを証明するためには、それを実際に見つけたり構成したりしなければならない」という考えのことである。標準的な数学においてはそうではなく、具体的に見つけることなしに[[背理法]]によって存在を示す、すなわち存在しないことを仮定して矛盾を導くことがよくある。この背理法というものは構成的に見ると十分ではない。構成的な見地は、古典的な解釈をもって中途半端なままである、[[存在記号]]の意味を確かめることを含む。
[[数学の哲学]]において、'''構成主義'''(こうせいしゅぎ、{{lang-en-short|constructivism}})とは、「ある数学的対象が存在することを証明するためには、それを実際に見つけたり構成したりしなければならない」という考えのことである。標準的な数学においてはそうではなく、具体的に見つけることなしに[[背理法]]によって存在を示す、すなわち存在しないことを仮定して矛盾を導くことがよくある。この背理法というものは構成的に見ると十分ではない。構成的な見地は、古典的な解釈をもって中途半端なままである、[[存在記号]]の意味を確かめることを含む。


多くの形の構成主義がある {{harv|Troelstra|1977a}}。これらは[[ライツェン・エヒベルトゥス・ヤン・ブラウワー|ブラウワー]]によって創始された[[数学直観主義]]のプログラム、[[ダフィット・ヒルベルト|ヒルベルト]]ならびに[[パウル・ベルナイス|ベルナイス]]の{{仮リンク|有限の立場|en|Finitism|label =有限主義}}、{{仮リンク|Nikolai Aleksandrovich Shanin|en|Nikolai Aleksandrovich Shanin |label =Shamin}}ならびに{{仮リンク|Andrey Markov Jr.|en|Andrey Markov Jr.|label =Markov}}の構成的で再帰的な数学、そして{{仮リンク|構成的解析学|en|constructive analysis}}である{{仮リンク|Errett Bishop|en|Errett Bishop|label =''Bishop''}}のプログラムを含む。構成主義は{{仮リンク|CZF|en|constructive set theory#Aczel's constructive Zermelo-Flankel}}や[[トポス (数学) |トポス論]]の研究のような{{仮リンク|構成的集合論|en|constructive set theory }}の研究もまた含む。
多くの形の構成主義がある {{harv|Troelstra|1977a}}。これらは[[ライツェン・エヒベルトゥス・ヤン・ブラウワー|ブラウワー]]によって創始された[[直観主義 (数学の哲学)|直観主義]]のプログラム、[[ダフィット・ヒルベルト|ヒルベルト]]ならびに[[パウル・ベルナイス|ベルナイス]]の{{仮リンク|有限の立場|en|Finitism|label =有限主義}}、{{仮リンク|Nikolai Aleksandrovich Shanin|en|Nikolai Aleksandrovich Shanin |label =Shamin}}ならびに{{仮リンク|Andrey Markov Jr.|en|Andrey Markov Jr.|label =Markov}}の構成的で再帰的な数学、そして{{仮リンク|構成的解析学|en|constructive analysis}}である{{仮リンク|Errett Bishop|en|Errett Bishop|label =''Bishop''}}のプログラムを含む。構成主義は{{仮リンク|CZF|en|constructive set theory#Aczel's constructive Zermelo-Flankel}}や[[トポス (数学) |トポス論]]の研究のような{{仮リンク|構成的集合論|en|constructive set theory }}の研究もまた含む。


構成主義はしばしば直観主義と同一視される、しかしながら直観主義は構成主義者のプログラムのひとつでしかない。個人的な数学者の直観のなかに数学の基礎がおかれるところの直観主義数学は、それによってひとつの内在的で主観的な活動のなかへと数学をさせている {{harv|Troelstra|1977b}}。他の形の構成主義は直観のこの見地において基礎をもたない、そして数学において客観的な見地をもって両立できる。
構成主義はしばしば直観主義と同一視される、しかしながら直観主義は構成主義者のプログラムのひとつでしかない。個人的な数学者の直観のなかに数学の基礎がおかれるところの直観主義数学は、それによってひとつの内在的で主観的な活動のなかへと数学をさせている {{harv|Troelstra|1977b}}。他の形の構成主義は直観のこの見地において基礎をもたない、そして数学において客観的な見地をもって両立できる。
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2021年9月15日 (水) 14:13時点における版

数学の哲学において、構成主義(こうせいしゅぎ、: constructivism)とは、「ある数学的対象が存在することを証明するためには、それを実際に見つけたり構成したりしなければならない」という考えのことである。標準的な数学においてはそうではなく、具体的に見つけることなしに背理法によって存在を示す、すなわち存在しないことを仮定して矛盾を導くことがよくある。この背理法というものは構成的に見ると十分ではない。構成的な見地は、古典的な解釈をもって中途半端なままである、存在記号の意味を確かめることを含む。

多くの形の構成主義がある (Troelstra 1977a)。これらはブラウワーによって創始された直観主義のプログラム、ヒルベルトならびにベルナイス有限主義英語版Shamin英語版ならびにMarkov英語版の構成的で再帰的な数学、そして構成的解析学英語版であるBishop英語版のプログラムを含む。構成主義はCZF英語版トポス論の研究のような構成的集合論英語版の研究もまた含む。

構成主義はしばしば直観主義と同一視される、しかしながら直観主義は構成主義者のプログラムのひとつでしかない。個人的な数学者の直観のなかに数学の基礎がおかれるところの直観主義数学は、それによってひとつの内在的で主観的な活動のなかへと数学をさせている (Troelstra 1977b)。他の形の構成主義は直観のこの見地において基礎をもたない、そして数学において客観的な見地をもって両立できる。

引用もしくは参考文献

  • Troelstra, A. S. (1977a). “Aspects of constructive mathematics”. Handbook of Mathematical Logic. pp. 973-1052 
  • Troelstra, A. S. (1977b). “Choice sequences”. Oxford Logic Guides. ISBN 0-19-853163-X 

関連項目