「アニパロコミックス」の版間の差分

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==概要==
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[[パロディ]]をその元とした作品とは完全に独立したジャンル及び作品と位置づけ、[[アニメ]]雑誌や[[コミカライズ]]とは異なりライセンス許諾を得ないスタイルで、主にアニメ作品のパロディ物の[[漫画]]作品を中心に掲載した雑誌である。
[[パロディ]]をその元ネタとした作品とは完全に独立したジャンル及び作品と位置づけ、[[アニメ]]雑誌や[[コミカライズ]]とは異なりライセンス許諾を得ないスタイルで、主にアニメ作品のパロディ物の[[漫画]]作品を中心に掲載した雑誌である。


掲載作品の大半はパロディ漫画であったが、[[巣田祐里子]]の『Go! WEST』など一部にはオリジナル性の比較的高い作品も存在した(ただし、様な作品も作中に多少のパロディ要素は取り込んでいる)。その他の企画としては「あなたもマンガ家になれるかな?」、「あなたもアニパロ作家・脚本家になれるかな?」、「手紙の書き方教室」などがあった。また、読者からの投書コーナーも存在した。
掲載作品の大半は当時人気となっていたアニメ・漫画のパロディ漫画であったが、[[巣田祐里子]]の『Go! WEST』など一部にはオリジナル性の比較的高い作品も存在した(ただし、の作品自体も『[[西遊記]]』のパロディをベースとしており、他にも作中に多少のパロディ要素は取り込んでいる)。その他の企画としては「あなたもマンガ家になれるかな?」、「あなたもアニパロ作家・脚本家になれるかな?」、「手紙の書き方教室」などがあった。また、読者からの投書コーナーも存在した。


当初はアニメ情報誌[[月刊OUT]]の臨時増刊号(1982年7月号臨時増刊号)「'''アニメ・パロディ・コミックス'''」として発行された。その後OUTの増刊号、別冊を経て創刊5年目の1987年7月号にて独立したアニパロコミックスとして発行された。
当初はアニメ情報誌[[月刊OUT]]の臨時増刊号(1982年7月号臨時増刊号)「'''アニメ・パロディ・コミックス'''」として発行された。その後OUTの増刊号、別冊を経て創刊5年目の1987年7月号にて独立したアニパロコミックスとして発行された。
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いずれも最終となった号に掲載された作品は[[打ち切り]]最終回の体裁を取っているものはまったく見られず、掲載作品の締め切り後、あるいは発売直前にこの号での休刊が急遽決定した事を伺わせる。
いずれも最終となった号に掲載された作品は[[打ち切り]]最終回の体裁を取っているものはまったく見られず、掲載作品の締め切り後、あるいは発売直前にこの号での休刊が急遽決定した事を伺わせる。


この背景にはみのり書房の経営状態問題や、出版社と編集者の対立、パロディと元ネタとした作品の2次著作権の関係で大手のアニメ[[制作プロダクション]]とトラブルが発生した([[#※アニメ制作プロダクションの姿勢について|※参照]])など、複数の説が語られている。ただし、この件については当事者たちの口が非常に重く、また出版元であみのり書房がその後倒産している事もあり、その真相は現在も定かではない。ただし、末期には内容がマンネリ化した事から発行部数が低迷して採算割れ状態が続き、みのり書房の経営にとって足枷になっていたとも言われる。
この背景にはみのり書房の経営状態にまつわる問題や、出版社と編集者の対立、パロディと元ネタとした作品の2次著作権の関係で大手のアニメ[[制作プロダクション]]とトラブルが発生した([[#※アニメ制作プロダクションの姿勢について|※参照]])など、複数の説が語られている。ただし、この件については当事者たちの口が非常に重く、また出版元であったみのり書房がその後倒産している事もあり、その真相は現在も定かではない。ただし、末期には内容がマンネリ化した事から発行部数が低迷して採算割れ状態が続き、みのり書房の経営にとって足枷になっていたとも言われる。


アニパロコミックス休刊後、同誌や関連誌に連載されていた作品の続きなどを集めた'''and NOW'''が元編集長による個人編集・個人出版の形態で発行された。1993年10月に「創刊準備号の・ようなもの」が、その後は数ヶ月おきに「創刊準備号○」が発行されたが、2002年2月の創刊準備号26で休刊。
アニパロコミックス休刊後、同誌や関連誌に連載されていた作品の続きなどを集めた'''and NOW'''が元編集長による個人編集・個人出版の形態で発行された。1993年10月に「創刊準備号の・ようなもの」が、その後は数ヶ月おきに「創刊準備号○」が発行されたが、2002年2月の創刊準備号26で休刊。


;※アニメ制作プロダクションの姿勢について
;※アニメ制作プロダクションの姿勢について
この当時、ブームとなっていた美少年アニメ作品に関する[[同人誌]]や同人[[アンソロジー]]本の内容面の問題に端を発して、[[サンライズ (アニメ制作会社)|サンライズ]]など複数のアニメ制作プロダクションが、パロディの商業作品を含む2次創作に対する姿勢について大幅な変更を行い、キャラクターの2次使用の制限などについても明文化を行った。詳細は『[[鎧伝サムライトルーパー#同人誌バブル|鎧伝サムライトルーパー]]』の項目を参照のこと。
この当時、ブームとなっていた美少年アニメ作品に関する[[同人誌]]や同人[[アンソロジー]]本の内容面の問題に端を発して、[[サンライズ (アニメ制作会社)|サンライズ]]など複数のアニメ制作プロダクションが、パロディの商業作品を含む著作物の2次創作に対する姿勢について大幅な変更を行い、キャラクターの2次使用の制限などについても明文化を行った。詳細は『[[鎧伝サムライトルーパー#同人誌バブル|鎧伝サムライトルーパー]]』の項目を参照のこと。


これにより、この時期以降、アニパロコミックスの様なノーライセンスのパロディ作品を利用した商業出版活動や、同じくノーライセンスでの同人アンソロジー集の商業ベースでの制作が、急激に困難になっていった。
これにより、この時期以降、アニパロコミックスの様なノーライセンスのパロディ作品を利用した商業出版活動や、同じくノーライセンスでの同人アンソロジー集の商業ベースでの制作が、急激に困難になっていった。

2006年10月19日 (木) 15:29時点における版

アニパロコミックス(あにぱろこみっくす、略称APC)は1982年から1993年にかけてみのり書房より発行されていた隔月の雑誌。

概要

パロディをその元ネタとした作品とは完全に独立したジャンル及び作品と位置づけ、アニメ雑誌やコミカライズとは異なりライセンス許諾を得ないスタイルで、主にアニメ作品のパロディ物の漫画作品を中心に掲載した雑誌である。

掲載作品の大半は当時人気となっていたアニメ・漫画のパロディ漫画であったが、巣田祐里子の『Go! WEST』など一部にはオリジナル性の比較的高い作品も存在した(ただし、この作品自体も『西遊記』のパロディをベースとしており、他にも作中に多少のパロディ要素は取り込んでいる)。その他の企画としては「あなたもマンガ家になれるかな?」、「あなたもアニパロ作家・脚本家になれるかな?」、「手紙の書き方教室」などがあった。また、読者からの投書コーナーも存在した。

当初はアニメ情報誌月刊OUTの臨時増刊号(1982年7月号臨時増刊号)「アニメ・パロディ・コミックス」として発行された。その後OUTの増刊号、別冊を経て創刊5年目の1987年7月号にて独立したアニパロコミックスとして発行された。

他方、1988年には4月臨時増刊号としてアニパロコミックスJuniorが発行される。その他、アニパロコミックスアンド・ナウ(アニパロコミックス and NOW)、PALLEなどのスピンオフ誌が発行された。後者はオリジナル作品のみを掲載していた。

アニパロコミックスJuniorについてはアニパロコミックス1988年6月増刊号として発行された後、1988年10月号から独立したアニパロコミックスJuniorとして1990年10月号まで隔月発行された。1991年より再びアニパロコミックス増刊号として発行されるようになり1993年2月アニパロコミックス増刊号をもって休刊。そしてアニパロコミックスも1993年3月号をもって休刊。

いずれも最終となった号に掲載された作品は打ち切り最終回の体裁を取っているものはまったく見られず、掲載作品の締め切り後、あるいは発売直前にこの号での休刊が急遽決定した事を伺わせる。

この背景にはみのり書房の経営状態にまつわる問題や、出版社と編集者の対立、パロディと元ネタとした作品の2次著作権の関係で大手のアニメ制作プロダクションとトラブルが発生した(※参照)など、複数の説が語られている。ただし、この件については当事者たちの口が非常に重く、また出版元であったみのり書房がその後倒産している事もあり、その真相は現在も定かではない。ただし、末期には内容がマンネリ化した事から発行部数が低迷して採算割れの状態が続き、みのり書房の経営にとって足枷になっていたとも言われる。

アニパロコミックス休刊後、同誌や関連誌に連載されていた作品の続きなどを集めたand NOWが元編集長による個人編集・個人出版の形態で発行された。1993年10月に「創刊準備号の・ようなもの」が、その後は数ヶ月おきに「創刊準備号○」が発行されたが、2002年2月の創刊準備号26で休刊。

※アニメ制作プロダクションの姿勢について

この当時、大ブームとなっていた美少年アニメ作品に関する同人誌や同人アンソロジー本の内容面の問題に端を発して、サンライズなど複数のアニメ制作プロダクションが、パロディの商業作品を含む著作物の2次創作に対する姿勢について大幅な変更を行い、キャラクターの2次使用の制限などについても明文化を行った。詳細は『鎧伝サムライトルーパー』の項目を参照のこと。

これにより、この時期以降、アニパロコミックスの様なノーライセンスのパロディ作品を利用した商業出版活動や、同じくノーライセンスでの同人アンソロジー集の商業ベースでの制作が、急激に困難になっていった。

関連項目