「株式会社大山田出版仮編集部員山下たろーくん」の版間の差分

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: 『株式会社大山田出版仮編集部員山下たろーくん』、『山下たろーくん -うみとそらの物語-』はかつて[[週刊少年ジャンプ]]で連載されていた『[[県立海空高校野球部員山下たろーくん]]』の続編で、主人公である'''山下たろー'''のその後の姿を描いている。
: 『株式会社大山田出版仮編集部員山下たろーくん』、『山下たろーくん -うみとそらの物語-』はかつて[[週刊少年ジャンプ]]で連載されていた『[[県立海空高校野球部員山下たろーくん]]』の続編で、主人公である'''山下たろー'''のその後の姿を描いている。


: 『株式会社大山田出版仮編集部員山下たろーくん』は連載時に主人公の境遇の変化に伴いタイトルが変更されており、第1~3話までは『'''現在大無職再就職活動中山下たろーくん'''』、第106話~最終回は『'''発展途上編集部員山下たろー'''』となるが、コミックスのタイトルは『株式会社大山田出版仮編集部員山下たろーくん』で統一されている。本項では当作を「仮編集部員編」(「うみとそらの物語」では「前作」)と表記する。
: 『株式会社大山田出版仮編集部員山下たろーくん』は連載時に主人公の境遇の変化に伴いタイトルが変更されており、第1~3話までは『'''現在大無職再就職活動中山下たろーくん'''』、第106話~最終回は『'''発展途上編集部員山下たろー'''』となるが、コミックスのタイトルは『株式会社大山田出版仮編集部員山下たろーくん』で統一されている。本項では当作を「仮編集部員編」「うみとそらの物語」では「前作」と表記する。
<!-- 「発展途上編集部員 山下たろー」には「くん」は付きません。 -->
<!-- 「発展途上編集部員 山下たろー」には「くん」は付きません。 -->


: 『うみとそらの物語』は仮編集部員編の後半の話中で使われた漫画作品のタイトルが流用されている。連載時は途中でのタイトル変更はなく、青年誌連載作品としては珍しくセリフに[[ルビ]](振り仮名)が振られている<ref>コミックバンチ誌連載作品で同様にルビが振られた作品は[[次原隆二]]の『少年リーダム~友情・努力・勝利の詩 』などがある。</ref>。
: 『うみとそらの物語』は仮編集部員編の後半の話中で使われた漫画作品のタイトルが流用されている。連載時は途中でのタイトル変更はなく、青年誌連載作品としては珍しくセリフに[[ルビ]](振り仮名)が振られている<ref>コミックバンチ誌連載作品で同様にルビが振られた作品は[[次原隆二]]の『少年リーダム~友情・努力・勝利の詩 』などがある。</ref>。


== 作品解説 ==
== 作品解説 ==
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==== 村立海空小学校 ====
==== 村立海空小学校 ====
山の上にある木造の小学校。かつては違う名前の小学校だったが現在は廃校に近く、取り壊しを防ぐため東村が一人で暮らしていた。当初の生徒は全員3年生の5人だが、後にとめや才蔵も加わり7人となる。旧校名は明らかになってないため<ref>旧校名の表札の上に「海空」の文字が貼り付けられてあった</ref>、本項では旧校時代も「海空小学校」で統一する。
山の上にある木造の小学校。かつては違う名前の小学校だったが現在は廃校に近く、取り壊しを防ぐため東村が一人で暮らしていた。当初の生徒は全員3年生の5人だが、後にとめや才蔵も加わり7人となる。旧校名は明らかになってないため<ref>旧校名の表札の上に「海空」の文字が貼り付けられてあった</ref>、本項では旧校時代も「海空小学校」で統一する。
; フータロー
; フータロー
: クラスのリーダー的存在で学級委員を務める少年。野球の試合では9番で一塁手を守る。面倒見がよく仲間から信頼を得ていた。如月小を追われたたろーに「もっといろんなこと、この瞬間楽しいことが無尽蔵にあること、海と空がたくさんあることをもっと教えてほしい」と叫んで呼び止めたのも彼である。その後、本土からやってきた母親に東京へ連れて帰ると言われるが、たろー達の必死の説得で島に残ることとなった。龍之介にはたろーから「この瞬間の大切さをこの瞬間にも教えてもらっている」<ref>ただしたろー自身はそのことに理解できないでいた。</ref>と教えている。
: クラスのリーダー的存在で学級委員を務める少年。野球の試合では9番で一塁手を守る。面倒見がよく仲間から信頼を得ていた。如月小を追われたたろーに「もっといろんなこと、この瞬間楽しいことが無尽蔵にあること、海と空がたくさんあることをもっと教えてほしい」と叫んで呼び止めたのも彼である。その後、本土からやってきた母親に東京へ連れて帰ると言われるが、たろー達の必死の説得で島に残ることとなった。龍之介にはたろーから「この瞬間の大切さをこの瞬間にも教えてもらっている」<ref>ただしたろー自身はそのことに理解できないでいた。</ref>と教えている。
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: 前作にも登場した須永を彷彿とさせるクールな少年。如月小に通っていた時にいつも一人でいるところをフータローが声をかけ仲間にした。帽子を被っていて脱いだ姿は描かれていなく、家族構成も不明。何かあることに一句を詠んでいて、野球の試合では2番で二塁手を守る。将来の夢を持たず運命に逆らわず流れのままに生きることを信条とし、現実よりも文章の中で自由に会話ができていた。須永の書いた小説<ref>出版社はかつてたろーが務めていた大山田出版</ref>を愛読書にしている。
: 前作にも登場した須永を彷彿とさせるクールな少年。如月小に通っていた時にいつも一人でいるところをフータローが声をかけ仲間にした。帽子を被っていて脱いだ姿は描かれていなく、家族構成も不明。何かあることに一句を詠んでいて、野球の試合では2番で二塁手を守る。将来の夢を持たず運命に逆らわず流れのままに生きることを信条とし、現実よりも文章の中で自由に会話ができていた。須永の書いた小説<ref>出版社はかつてたろーが務めていた大山田出版</ref>を愛読書にしている。
: 如月小学校時代では小説を書いており、最初に読ませてもらったフータローは続きを楽しみにしていたが、その小説を当時の担任が心無い酷評をした上に没収されたことが深い心の傷となってしまったため小説を書くことをやめていた。その後海空小学校を訪れた須永がその小説を読み<ref>詠み人は担任に没収された小説を取りには行かず、フータローから話を聞いたたろーが取りに行ってその小説を読み感涙にむせび泣くも、「終わったこと」と言って破り捨てたため、たろーとフータローがセロテープで修繕した。</ref>、「たろーの魂の反応を信じること」「続きを待ちわびる人がいる限り完成させるべき」とアドバイスを送られ、再び小説を書くことを始めた。なお、このエピソードは書籍版単行本では収録されていない。
: 如月小学校時代では小説を書いており、最初に読ませてもらったフータローは続きを楽しみにしていたが、その小説を当時の担任が心無い酷評をした上に没収されたことが深い心の傷となってしまったため小説を書くことをやめていた。その後海空小学校を訪れた須永がその小説を読み<ref>詠み人は担任に没収された小説を取りには行かず、フータローから話を聞いたたろーが取りに行ってその小説を読み感涙にむせび泣くも、「終わったこと」と言って破り捨てたため、たろーとフータローがセロテープで修繕した。</ref>、「たろーの魂の反応を信じること」「続きを待ちわびる人がいる限り完成させるべき」とアドバイスを送られ、再び小説を書くことを始めた。なお、このエピソードは書籍版単行本では収録されていない。
: 5時間目で頭の上に芽が追加され、ドデスカはどう育つのかを楽しみにしていることを語っている<ref>ただしまだ小説を書いていた如月小時代の回想でも芽が出ている描写がある。</ref>。後半から終盤にかけては名前の表記が片仮名の「ヨミビト」にわる。
: 5時間目で頭の上に芽が追加され、ドデスカはどう育つのかを楽しみにしていることを語っている<ref>ただしまだ小説を書いていた如月小時代の回想でも芽が出ている描写がある。</ref>。後半から終盤にかけては名前の表記が片仮名の「ヨミビト」にわる。


; 白倉 とめ(しらくら -)
; 白倉 とめ(しらくら -)
: 海空小学校の6人目の生徒でクラス唯一の女の子。ツインテールの髪型でワンピースのやフリルの入った服を着ることが多く、ドデスカの次に背が高い。野球の試合では1番で遊撃手を守る。
: 海空小学校の6人目の生徒でクラス唯一の女の子。ツインテールの髪型でワンピースのやフリルの入った服を着ることが多く、ドデスカの次に背が高い。野球の試合では1番で遊撃手を守る。
: 島の7割の土地を所有する資産家の娘で、東京から帰ってきて如月小学校に転校する予定だったが、東京にいた時に極度の人間不信に陥り、「学校はただ傷つきに行く場所」<ref>東京では誰もがとめのことを心から付き合おうとせず、「白倉」と言う名前だけでしか付きあっていないことを感じ取っていた。そのためほとんど通学していなかった。</ref>と転校することを拒否していた。しかしたろー達の暖かい心に触れ<ref>辰己がとめを迎い入れるために最高級の待遇でもてなすものの、とめは「自分を利用しようと考えているだけで誰も歓迎していない」と見透かしていた。しかしたろーらが校舎裏に作ったとめの誕生日を祝う雪像(誕生日はびちびちの勘違いによるもので、実際のとめの誕生日は半袖の季節だった)を見て次第にたろーやクラスの仲間に心を開くようになっていった。</ref>、自分の心の中にあった深い闇から救い出してくれたこと、それと過去に自分の誕生日を祝い「アリス」と名付けてくれた少女(おねえさん)との約束<ref>4歳の頃、親のいない誕生日に嫌気が差し家を抜け出して途方に暮れていたところ、たまたま訪れた海空小学校で生徒であるおねえさんに声をかけられ誕生日を祝ってもらう。その時に持ってたうさぎのぬいぐるみを見て「不思議な世界から来た女の子」の意味で「アリス」と名付けてもらい、それがきっかけで自分のことを「有栖」と名乗るようになった。おねえさんから「もう少し大きくなったらこの小学校に入って一緒に勉強しよう」と約束していた。そのため、東京から戻ってきたときも家を抜け出して海空小に足を運んでいた。</ref>のために海空小学校に転校する。
: 島の7割の土地を所有する資産家の娘で、東京から帰ってきて如月小学校に転校する予定だったが、東京にいた時に極度の人間不信に陥り、「学校はただ傷つきに行く場所」<ref>東京では誰もがとめのことを心から付き合おうとせず、「白倉」と言う名前だけでしか付きあっていないことを感じ取っていた。そのためほとんど通学していなかった。</ref>と転校することを拒否していた。しかしたろー達の暖かい心に触れ<ref>辰己がとめを迎い入れるために最高級の待遇でもてなすものの、とめは「自分を利用しようと考えているだけで誰も歓迎していない」と見透かしていた。しかしたろーらが校舎裏に作ったとめの誕生日を祝う雪像(誕生日はびちびちの勘違いによるもので、実際のとめの誕生日は半袖の季節だった)を見て次第にたろーやクラスの仲間に心を開くようになっていった。</ref>、自分の心の中にあった深い闇から救い出してくれたこと、それと過去に自分の誕生日を祝い「アリス」と名付けてくれた少女(おねえさん)との約束<ref>4歳の頃、親のいない誕生日に嫌気が差し家を抜け出して途方に暮れていたところ、たまたま訪れた海空小学校で生徒であるおねえさんに声をかけられ誕生日を祝ってもらう。その時に持ってたうさぎのぬいぐるみを見て「不思議な世界から来た女の子」の意味で「アリス」と名付けてもらい、それがきっかけで自分のことを「有栖」と名乗るようになった。おねえさんから「もう少し大きくなったらこの小学校に入って一緒に勉強しよう」と約束していた。そのため、東京から戻ってきたときも家を抜け出して海空小に足を運んでいた。</ref>のために海空小学校に転校する。
: 自分のことを「とめ」と呼ばれることを頑なに拒絶し<ref>「とめ」と呼ばれると非常に不機嫌になり、実際に呼んだ太郎一に対しては「二度と教師として働けないようにする」と脅しをかけるほどだった。</ref>、皆には「有栖」と呼ぶように言い聞かせている。一方、たろーやクラスの仲間が「とめの有栖」と呼んでいることについては拒絶する反応は見せていない。おねえさんから誕生日プレゼントとして貰ったクマのぬいぐるみ(いがぐりまろんぶらうん)<ref>とめの手のひらより少し大きく、胸元のハートのアップリケに「ぼく3さい」と書かれている。</ref> を「親友」としていつも肌身離さず持っている<ref>とめの着るユニフォームにはこのぬいぐるみが入るポケットが設けられている。</ref>。このぬいぐるみを使った腹話術で自分の気持ちを語ることもある。たろーのことは「ぽち」<ref>とめが昔飼っていたとされる犬の名前、ただし実際に飼ってたかどうかは不明。</ref>と呼ぶが、表には出さないものの信頼を寄せている<ref>龍之介が足の怪我をしたときにたろーが庇っていた時は「忠犬ぽち」とたろーの無実を信じていたり、最終話でたろーが海空小を辞めるかもしれないという話になった時に、それ自体がデマだったことで「甲斐性なし」と言いながらも真っ先に飛びついてきたり等。</ref>。絵が上手で、図工の授業で描いた絵はクラスの仲間を描いた優しい雰囲気の絵を皆に見せた。ただし、東京にいた時に絵画教室で描いてた絵は暗くて闇の深い物ばかりで母親と思われる人物も頭を悩ませていた。たろーらと出会った当初こそはひねていた部分もあったが<ref>この時はフータローらを「わたしの僕(しもべ)にしてあげる」と言っていたが、とめ自身は心の中ではSOSを発していた。</ref>、海空小学校に転校してからは皆と仲良く接している。ただし目的のため(神社の霊の正体(=由紀恵)を探るときやわび助の恋の行方の観察等)なら手段を選ばない黒い部分もあり、クラスの仲間を仕切ることもある。
: 自分のことを「とめ」と呼ばれることを頑なに拒絶し<ref>「とめ」と呼ばれると非常に不機嫌になり、実際に呼んだ太郎一に対しては「二度と教師として働けないようにする」と脅しをかけるほどだった。</ref>、皆には「有栖」と呼ぶように言い聞かせている。一方、たろーやクラスの仲間が「とめの有栖」と呼んでいることについては拒絶する反応は見せていない。おねえさんから誕生日プレゼントとして貰ったクマのぬいぐるみ(いがぐりまろんぶらうん<ref>とめの手のひらより少し大きく、胸元のハートのアップリケに「ぼく3さい」と書かれている。</ref>を「親友」としていつも肌身離さず持っている<ref>とめの着るユニフォームにはこのぬいぐるみが入るポケットが設けられている。</ref>。このぬいぐるみを使った腹話術で自分の気持ちを語ることもある。たろーのことは「ぽち」<ref>とめが昔飼っていたとされる犬の名前、ただし実際に飼ってたかどうかは不明。</ref>と呼ぶが、表には出さないものの信頼を寄せている<ref>龍之介が足の怪我をしたときにたろーが庇っていた時は「忠犬ぽち」とたろーの無実を信じていたり、最終話でたろーが海空小を辞めるかもしれないという話になった時に、それ自体がデマだったことで「甲斐性なし」と言いながらも真っ先に飛びついてきたり等。</ref>。絵が上手で、図工の授業で描いた絵はクラスの仲間を描いた優しい雰囲気の絵を皆に見せた。ただし、東京にいた時に絵画教室で描いてた絵は暗くて闇の深い物ばかりで母親と思われる人物も頭を悩ませていた。たろーらと出会った当初こそはひねていた部分もあったが<ref>この時はフータローらを「わたしの僕しもべにしてあげる」と言っていたが、とめ自身は心の中ではSOSを発していた。</ref>、海空小学校に転校してからは皆と仲良く接している。ただし目的のため神社の霊の正体=由紀恵を探るときやわび助の恋の行方の観察等なら手段を選ばない黒い部分もあり、クラスの仲間を仕切ることもある。
: 35時間目の途中から目のタッチが変更された。
: 35時間目の途中から目のタッチが変更された。


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嶋之島に出来た私立小学校。寮を備え最高級の設備を備えている。
嶋之島に出来た私立小学校。寮を備え最高級の設備を備えている。
; 三島 龍之介(みしま りゅうのすけ)
; 三島 龍之介(みしま りゅうのすけ)
: 私立如月小学校に通う生徒。前作の早乙女龍之介を彷彿させる姿で、常に何かしらの本を読んでいる。成績優秀で将来有望な生徒だが、海空小学校が出来てからは時々学校を抜け出して陰でたろーの授業を覗いている。当初はたろーを疎ましく思い、たろーの授業を「未来の役にも立たない」と言っていたが、ある一件<ref>たろーの授業内容が気になって、学校の規則を破って夜の海に足を運んだ際に滑り落ちて怪我をしたところを夜回りをしていたたろーに助けられるが、その一件をたろーが頑なに口を閉ざして庇ったことによってたろーが教師を辞めされられる危機に陥る。反対に真実を打ち明けると今度は自分が学校を辞めざるを得なくなり、親の期待を背負って入学したこともあり葛藤していたが、辰己のアドバイスを聞いた龍之介はたろーの進退を決める場で自分が勝手に怪我をしてたろーに助けてもらったことを打ち明け、自分が学校を辞めると言い出した。学校としては龍之介に辞められると大きな痛手になるため、結果的には二人とも辞めずに済む。みに怪我をした龍之介が島に戻ってきたときに迎えに来たのは如月小のクラスメイトではなく海空小の面々だった。</ref>でたろーに助けてもらったことをきっかけにして「この瞬間の大切さ」のためにたろーの授業も必要としていることを伝えた。野球の試合では海空小学校のチームの一員として8番左翼手として参戦している。
: 私立如月小学校に通う生徒。前作の早乙女龍之介を彷彿させる姿で、常に何かしらの本を読んでいる。成績優秀で将来有望な生徒だが、海空小学校が出来てからは時々学校を抜け出して陰でたろーの授業を覗いている。当初はたろーを疎ましく思い、たろーの授業を「未来の役にも立たない」と言っていたが、ある一件<ref>たろーの授業内容が気になって、学校の規則を破って夜の海に足を運んだ際に滑り落ちて怪我をしたところを夜回りをしていたたろーに助けられるが、その一件をたろーが頑なに口を閉ざして庇ったことによってたろーが教師を辞めされられる危機に陥る。反対に真実を打ち明けると今度は自分が学校を辞めざるを得なくなり、親の期待を背負って入学したこともあり葛藤していたが、辰己のアドバイスを聞いた龍之介はたろーの進退を決める場で自分が勝手に怪我をしてたろーに助けてもらったことを打ち明け、自分が学校を辞めると言い出した。学校としては龍之介に辞められると大きな痛手になるため、結果的には二人とも辞めずに済む。なお、怪我をした龍之介が島に戻ってきたときに迎えに来たのは如月小のクラスメイトではなく海空小の面々だった。</ref>でたろーに助けてもらったことをきっかけにして「この瞬間の大切さ」のためにたろーの授業も必要としていることを伝えた。野球の試合では海空小学校のチームの一員として8番左翼手として参戦している。
; 山下 太郎一(やました たろういち)
; 山下 太郎一(やました たろういち)
: ハーバード大学卒業の如月小学校の本来の新任教師で、村の助役である大倉が見つけて招いた。授業内容は家庭教師並みに激しいが、細かいところまでは教えていない<ref>作家の代表作の名前を憶えてもその本まで読む必要はないと教えたり、龍之介がたろーの授業で気になってた海藻海草の違いを「未来には関係ないし役に立たない」と言ったこと等。</ref>。
: ハーバード大学卒業の如月小学校の本来の新任教師で、村の助役である大倉が見つけて招いた。授業内容は家庭教師並みに激しいが、細かいところまでは教えていない<ref>作家の代表作の名前を憶えてもその本まで読む必要はないと教えたり、龍之介がたろーの授業で気になってた海藻海草の違いを「未来には関係ないし役に立たない」と言ったこと等。</ref>。
: 運動会ではダメな人間を作り出す温床と言いながら、心躍る懐かしい響きと本音を漏らしている。過去の苦い記憶<ref>小学生時代、足の遅い同級生から速く走る方法を教えてくれるよう頼まれるが相手にしなかった。その結果太郎一は1位、その子は最下位となり、悔しさで涙を浮かべる姿がずっと記憶に残っていた。</ref>から「イダテンマン」となり、一番足の遅いびちびちに早く走るためのコツを伝授した。
: 運動会ではダメな人間を作り出す温床と言いながら、心躍る懐かしい響きと本音を漏らしている。過去の苦い記憶<ref>小学生時代、足の遅い同級生から速く走る方法を教えてくれるよう頼まれるが相手にしなかった。その結果太郎一は1位、その子は最下位となり、悔しさで涙を浮かべる姿がずっと記憶に残っていた。</ref>から「イダテンマン」となり、一番足の遅いびちびちに早く走るためのコツを伝授した。
; 校長
; 校長
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; 小近衛 十四郎(ここのえ じゅうしろう)
; 小近衛 十四郎(ここのえ じゅうしろう)
: 如月小学校の教師。幼き頃の若山さんを知っていて執念に近い好意を寄せていた。若山さんのことを「若山佳代子」と旧姓のフルネームで呼び、若山さんのために強くなったと思い込んでいた。若山さんを賭けたたろーとの剣道の決闘で終始たろーを圧倒するものの、自分が原因で木菜子が海に落ちた時は助けに飛び込んだたろーと違い何もできず自分の弱さに気づく。たろーに負けて以降も若山さんに未練を持っている模様で、若山さんの名前を出しただけでパニック状態になる。
: 如月小学校の教師。幼き頃の若山さんを知っていて執念に近い好意を寄せていた。若山さんのことを「若山佳代子」と旧姓のフルネームで呼び、若山さんのために強くなったと思い込んでいた。若山さんを賭けたたろーとの剣道の決闘で終始たろーを圧倒するものの、自分が原因で木菜子が海に落ちた時は助けに飛び込んだたろーと違い何もできず自分の弱さに気づく。たろーに負けて以降も若山さんに未練を持っている模様で、若山さんの名前を出しただけでパニック状態になる。
: 才蔵が教科書を無断で借りたことに絡んでたろーにあらぬ疑いをかけられて駐在に捕まったときは、とめの手を握りながら「薔薇も色あせるような手で泥棒ができるわけがない」と言い、たろーは(盗みを)やってないと主張するフータローらの言い分を信じようと太郎一に話してたろーを開放している。
: 才蔵が教科書を無断で借りたことに絡んでたろーにあらぬ疑いをかけられて駐在に捕まったときは、とめの手を握りながら「薔薇も色あせるような手で泥棒ができるわけがない」と言い、たろーは盗みをやってないと主張するフータローらの言い分を信じようと太郎一に話してたろーを開放している。
; 木菜子(きなこ)
; 木菜子(きなこ)
: 十四郎を心酔する少女。たろーと十四郎の決闘の際に過剰に攻撃をする十四郎を止めようとした龍之介を突き飛ばした時に巻き込まれて海に落ちる。
: 十四郎を心酔する少女。たろーと十四郎の決闘の際に過剰に攻撃をする十四郎を止めようとした龍之介を突き飛ばした時に巻き込まれて海に落ちる。
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; 須永(すなが)
; 須永(すなが)
: たろーと辰己の高校時代のチームメイトで、賭博師や漫画原作者の顔を持ち、詠み人が大事にしている小説の作者。たろーのいる島を流浪してた時に辰己からたろーがいることを聞き海空小学校に訪れた。たろーから読むよう頼まれた詠み人の小説を読み、読んでる姿を見た詠み人に「たろーの魂を信じることだ」とアドバイスを送っている。そして詠み人が大事にしていた自身の小説に「山下たろーの"たまじい"に偽りなし<ref>「たまじい」の「ま」にも濁音がつく。</ref>」というメッセージを自身のサインと共に書き記している。単行本(書籍版)には登場していない。
: たろーと辰己の高校時代のチームメイトで、賭博師や漫画原作者の顔を持ち、詠み人が大事にしている小説の作者。たろーのいる島を流浪してた時に辰己からたろーがいることを聞き海空小学校に訪れた。たろーから読むよう頼まれた詠み人の小説を読み、読んでる姿を見た詠み人に「たろーの魂を信じることだ」とアドバイスを送っている。そして詠み人が大事にしていた自身の小説に「山下たろーの"たまじい"に偽りなし<ref>「たまじい」の「ま」にも濁音がつく。</ref>」というメッセージを自身のサインと共に書き記している。単行本書籍版には登場していない。


; 大沢 然二(おおさわ ねんじ)
; 大沢 然二(おおさわ ねんじ)
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=== 山下たろーくん-うみとそらの物語- ===
=== 山下たろーくん-うみとそらの物語- ===
: 書籍版の6巻は53~77話の24話<ref>水無月小編のあと~須永登場回までの野球回ではない話。</ref>が未収録のダイジェスト版となっていることを目次に記されている。
: 書籍版の6巻は53~77話の24話<ref>水無月小編のあと~須永登場回までの野球回ではない話。</ref>が未収録のダイジェスト版となっていることを目次に記されている。
: 本来の78話が53話に置き換えられ、全61話
: 本来の78話が53話に置き換えられ、全61話
# 1巻(ISBN 978-4-10-771202-8)発売:2005年3月9日
# 1巻(ISBN 978-4-10-771202-8)発売:2005年3月9日
# 2巻(ISBN 978-4-10-771212-7)発売:2005年5月9日
# 2巻(ISBN 978-4-10-771212-7)発売:2005年5月9日

2019年7月22日 (月) 00:53時点における版

漫画:株式会社大山田出版仮編集部員山下たろーくん
作者 こせきこうじ
出版社 新潮社
掲載誌 週刊コミックバンチ
レーベル バンチコミックス
発表期間 2001年2号 - 2004年20号
巻数 全12巻
話数 129話
漫画:山下たろーくん ‐うみとそらの物語‐
作者 こせきこうじ
出版社 新潮社
掲載誌 週刊コミックバンチ
レーベル バンチコミックス
発表期間 2004年39号 - 2006年35号
巻数 全9巻(書籍版全6巻)
話数 85話
テンプレート - ノート
プロジェクト 漫画
ポータル 漫画

株式会社大山田出版仮編集部員山下たろーくん』(かぶしきかいしゃだいやまだしゅっぱんかりへんしゅうぶいん やましたたろーくん)は、『週刊コミックバンチ』で連載されていたこせきこうじ原作の漫画作品。実質的な続編にあたる『山下たろーくん ‐うみとそらの物語‐』(やましたたろーくん うみとそらのものがたり)についても取り上げる。

概要

『株式会社大山田出版仮編集部員山下たろーくん』、『山下たろーくん -うみとそらの物語-』はかつて週刊少年ジャンプで連載されていた『県立海空高校野球部員山下たろーくん』の続編で、主人公である山下たろーのその後の姿を描いている。
『株式会社大山田出版仮編集部員山下たろーくん』は連載時に主人公の境遇の変化に伴いタイトルが変更されており、第1~3話までは『現在大無職再就職活動中山下たろーくん』、第106話~最終回は『発展途上編集部員山下たろー』となるが、コミックスのタイトルは『株式会社大山田出版仮編集部員山下たろーくん』で統一されている。本項では当作を「仮編集部員編」(「うみとそらの物語」では「前作」)と表記する。
『うみとそらの物語』は仮編集部員編の後半の話中で使われた漫画作品のタイトルが流用されている。連載時は途中でのタイトル変更はなく、青年誌連載作品としては珍しくセリフにルビ(振り仮名)が振られている[1]

作品解説

株式会社大山田出版仮編集部員山下たろーくん
前作の約11年後、現在無職で就職活動中の山下たろー。ハローワーク帰りのある日、河川敷の球場で草野球の試合に目をとめる。その一方のチームを率いるのは、下手くそなくせに勝利に固執するおっさんだった。このド下手なおっさんが株式会社大山田出版の社長だったことから、山下たろーは漫画週刊誌の編集に携わることとなり、「史上最高の編集部員」を目指すなかで様々な人々と出会い、自分自身の、そして出会った人々の運命を変えていくことになる。
山下たろーくん-うみとそらの物語-
前作から更に数年後[2]、山下たろーは若山さんと結婚し、3歳になる息子の総一郎と共に嶋之島[3]の私立小学校教師として赴任する。ところがその小学校では似た名前の教師を赴任させる予定で、しかもたろーの授業は校風に合わない破天荒な内容だったこともあり、たったの数時間でその私立小学校を追われる身となった。翌日、島を離れるたろーの元に授業に共鳴した5人の小学生が追いかけ、かつて存在していた学校で先生になってほしいと頼まれる。そして紆余曲折の末に正式に「村立海空小学校」教員に採用されることとなり、前作同様たろー自身や出会った人々の運命を変えていく。
両作とも前作を髣髴とさせる野球の試合を行うシーンはあるものの[4]、あくまでメインは編集部員及び教師としてのたろーの奮闘を描いている。

主な登場人物

仮編集部員編の登場人物

山下 たろー(やました -)
株式会社大山田出版第4編集部仮編集部員の28歳、後に正編集部員。10年前、春の選抜甲子園大会で全国制覇を成し遂げたが、酷使に次ぐ酷使で利き腕の右肩はおろか左肩まで故障してしまい、その後野球から遠ざかってしまった。10年後、勤めていた会社を解雇されハローワーク通いをするものの、27社連続で不採用となってしまう(たろー曰く「27連敗」)。しかし偶然から大山田出版の山田社長と知り合い、またその第4編集部に辰巳が在籍していた経緯から、仮編集部員として採用された。野球だけが取り柄だったが、それも10年の間にグローブのはめ方やバットの持ち方まで忘れてしまっていたほど逃げていた。しかし、草野球で「27連敗」という同じ境遇の山田社長と出会ったことにより、一念発起し絶対にあきらめない精神を持った本来の自分を取り戻して様々な困難に立ち向かい、出会った人々の心をゆさぶっていく。
単行本4巻カバー裏の社員証(仮のハンコが押されている)では「山下たろう」と表記されていた。

株式会社 大山田出版

山田 大蔵(やまだ たいぞう)
株式会社大山田出版取締役社長。病気で早世した息子・六郎とキャッチボールをして遊んでやらなかったことを悔いており、現在も野球を趣味としている。身体の弱かった六郎が漫画雑誌から様々なことを学んでいたことから、売り上げ不調といえども、自社の出版物から漫画雑誌を外すことはできないと思っている。たろーやコミックショーネンを社内抗争に利用しようとする者達に激しい怒りを覚え、たろー達を守ろうと決意した。
若山さん(わかやまさん)
社長秘書。当初はたろーと出会って興奮気味の社長を理解できないような描写があったが、次第にたろーに惹かれていく。

「週刊コミックショーネン」編集部(第4編集部)

「週刊コミックショーネン」
創刊以来売り上げが伸びず、大山田出版の大荷物、日本一活気のない編集部と言われ、15時を過ぎても誰一人出勤してこないありさまだった。しかしたろーが関わったことで、編集部員や作家達の意識が変わり急激に発展、連載開始当初は発行部数10万部程度だったものが、後に100万部を超えることとなった。
辰巳 亮介(たつみ りょうすけ)
主任。かつて3番、サードでたろーとともに甲子園で全国制覇。小野田部長の娘・由紀恵と婚約したことで出世コースに乗れるはずだったが、仕事そのものにはやる気がなかった。しかしたろーと10年ぶりに再会し、「本性が出て」昔の自分を取り戻していく。たろーといるときが自分らしくいられる時らしい。実は総資産10兆円の辰巳財閥の御曹司で、30歳になったら後を継ぐことになっていたのだが、敷かれたレールをただ進むだけの人生に疑問を感じていた。その後、由紀恵との婚約を解消し、改めて自分の意志で彼女にプロポーズしている。
村西 忠男(むらにし ただお)
編集長。かつては凄腕の編集者として有名だったが、今はすっかりやる気を失い、昼間仕事中でも酒をかっくらってだらだらと過ごしていた。しかし良い作品や作家の力量などを見抜く目は健在であり、たろーとの出会い後は本腰を入れ、コミックショーネンのため様々な手を打っていく。
モデルは元『週刊少年ジャンプ』編集長の西村繁男[要出典]
山崎(やまざき)
副編集長。ひどくあたりまえの、まったく正しい、反論できないような、しかし全然面白くないことしか言わないと言われている。
藤井(ふじい)
相談役派の編集部員で、スパイのようなことをしている。いかにもやる気がなさそうな、ヘラついた男。後に相談役派から栄転を打診されるが、第4編集部の環境に居心地の良さを感じていたため、「俺みたいなのがまだ必要ですから」と理由を付けて固辞した。
古池(こいけ)
編集部員。たろーに影響され、仕事に力が入るようになった。
ミノムシ長谷川(ミノムシ)
編集部員。寝袋に入って机の下で寝ていることから、この名で呼ばれているらしい。
大塚(おおつか)
アルバイト。編集志望で、「もんもんモンスターの大冒険」外伝のストーリーを趣味で書いている。
折原 未緒 (おりはら みお)
コミックショーネンの増刊号を出す際に配置されたアルバイト。少々動作がとろい。犬井のたろーに対する行動に嫉妬するような描写があった。

その他

相談役(そうだんやく)
大山田出版の相談役だが、山田社長を解任し、自派の佐藤常務を社長にしようと考えているらしい。たろーに「困ったら相談にのってくれる人」と誤解されてしまう。
小野田部長(おのだぶちょう)
第1編集部々長。娘が辰巳の婚約者であることから、辰巳に目をかけていた。
本山(もとやま)
販売部員。元高校空手チャンピオン。コミックショーネンの販売部数増加に驚愕する。

株式会社 戯画出版

間野(まの)
株式会社戯画出版取締役社長。仕事に感傷を持ち込むことが、虫ずがはしるほど嫌いだという。

「週刊少年ギーガ」編集部

「週刊少年ギーガ」
発行部数600万部を誇る。もうこれ以上の本は二度と現れないだろうと言われるほどの怪物雑誌。
五島(ごとう)
編集長。かつては村西の下で「大冒険ブック」の編集をしていた。会社が倒産し、ともにコミックショーネンに移るはずだったが、種々の事情でギーガへ。その際大冒険ブックの作家を強引に引き抜き、編集に村西のノウハウを使ったため、後ろめたい気持ちを抱いていた。
モデルは西村の次に『週刊少年ジャンプ』編集長となった後藤広喜[要出典]
間野 総太郎(まの そうたろう)
副編集長。社長の息子。600万部の王者は常に王者でなければならないと言い、コミックショーネンとの草野球試合に勝つために、ボーナスで釣ろうとするなどした。血を見ただけで気を失いそうになる。けっこうおっちょこちょい。
山田 健太(やまだ けんた)
かつて甲子園でたろーと戦った「鉄腕」。早乙女に連れてこられた「究極の未完璧編集部員」。
早乙女 龍之介(さおとめ りゅうのすけ)
新編集長。完璧を目指し、また何事も完璧だと称しているが、常にどこか間違えている。金さえあればなんでもできるという考え方を地で行く男で、間野総太郎でさえもうんざりさせるほどだった。

漫画家・原作者

須永(すなが)
かつての海空高校1番打者。人呼んで「さすらいの賭博師」。少年ギーガにて、「巨大な流星」「Tomorrow is another day」という同誌の中でも飛び抜けて人気が高く、アニメ化までされている作品の原作者。後にギーガを離れ、たろーに漫画の原作を託すことになる。のちに付けられたタイトルである「うみとそらの物語~Legend of Seasky~」は、前者は後作(教師編)のタイトルに、後者は後作に登場する人物の愛読書である自身作の小説のタイトルに使われた。
中津川 誠(なかつがわ まこと)
コミックショーネンにて「遙かなる幻愛」を連載していたが、だんだん魂のこもっていない、絶妙に手を抜いた作品しか書かなくなり、打ち切りリストの第1位に挙げられていた。しかしたろーと出会ったことで、昔の自分を取り戻し復活した。
もりかわはじめ
「改造ねずみハムちゅー仮面」作者。以前から漫画の持ち込みをしていたのだが、辰巳に酷評され追い返されていた。たまたまたろーが初めて大山田出版に来た際に出会い、編集者と勘違いし原稿を見せたことで、運命が激変した。後にハムちゅー仮面はアニメ化されることになる。
犬井 圭子(いぬい けいこ)/ 犬井 わん(いぬい -)
「もんもんモンスターの大冒険」の作者である女性漫画家。コミックショーネン誌では人気1位の作品だったが、次々と新しいモンスターを登場させろという編集の要望に応えた結果であって自分の書きたいものとかけ離れたものになったことに疲れはて、一度は逃亡する。たろーと出会って、逃げてはいけないと気づかされる。たろーに次第に好意を抱くようになる。
「もんもんモンスターの大冒険」は後にアニメ映画化され脚本も手掛けている。登場したうさぎ耳のキャラクターは犬井自身を、モンスターはたろーをモデルにしている。
小松崎 たかし(こまつざき -)
村西によって発掘され育てあげられた漫画家だが、村西と袂を分かって後、坂道を転がり落ちるように人気が落ちてしまい、もはや終わった漫画家と言われていた。しかしたろーとの出会いで昔を取り戻し、「素浪人スペースゴクドー」を描き上げた。

アニメーション関係

川柳 比呂志(かわやなぎ ひろし)
シースカイアニメーション社長。かつて勤めていた会社が倒産し途方にくれていたときに、たまたま海空と山沼の地区大会決勝を観戦し、海空の強烈な粘りに感動。以後海空を見続け、海空高校野球部員にもらった感動・勇気・希望を多くの子供達につたえようとアニメーション会社を興した。息子の「海」という名前は海空高校にちなんでいる。息子ともども川柳をひねる。ハムちゅー仮面のアニメ化を企画する。
熊田 猪一郎(くまだ いのいちろう)
かつての海空高校野球部員。「スタジオがぶり」にて宮畑監督のもとで助監督をしていたが、ハムちゅー仮面の監督に抜擢される。あいかわらず少々気が弱く、泣き虫。
虹野 響子(にじの きょうこ)
ハムちゅー仮面にキャスティングされた、七色の声を持つベテラン声優。しかしたろーは納得せず、結局は敵キャラのネコにゃー魔人を演じることとなる。
上川 美英(かみかわ みえ)
声優になるために北海道からでてきたばかり。たろーと同じアパートに住み、近所の公園で子供達相手に紙芝居を見せていた。たろーによってハムちゅー仮面の声優に抜擢された。たろーの頼みならばなんでも聞くと言っていた。

その他

新開(しんかい)
高校時代、たろー・辰巳と共に甲子園で活躍した元チームメイト。作内では某スポーツの編集部員となっていた。プロローグの1ページしか登場しない。たろーと同じ28歳だと語り、故障をした たろーのその後の進路を心配している。
花田 佐智枝(はなだ さちえ)
クレーター化粧品会長。夫の訃報ニュースの放送中に乱入したたろーのおかげで生きる力を取り戻したと言い、ハムちゅー仮面アニメ化のスポンサーを買って出る。視聴者層と業種の接点がないかと思われたが、ハムちゅー仮面石けんやハムちゅー仮面ハムなどを発売し、確実に商売に結びつけていく。
反省堂書店々主(はんせいどうしょてん てんしゅ)
「海よりも深く反省だ」が口癖の、町の書店経営者。
小野田 由紀恵(おのだ ゆきえ)
辰巳の婚約者。いったんは婚約解消となるが、後にプロポーズされることとなる。自分は辰巳が好きだが、辰巳はそうは思ってくれていないと、長いこと悩んでいた。
近藤(こんどう)
かつての山沼高校野球部員。今はあすなろ園の園長代理をしているが、経営は苦しく、苦労している。たろーと辰巳が黙って援助してくれたことに感謝し恩義を感じており、たろーへの協力を惜しまない。
残場組長(ざんばくみちょう)
留置所内にいたやくざの親分。たろーは同じ留置所で会ったことで、漫画作品「もんもんモンスターの大冒険」を更に面白くするためのキャラクター「史上最高のモンスター」を創るきっかけを掴んだ。たろーは自分との出会いが為になったと考えており、釈放の際にそんなたろーを激励する。

うみとそらの物語編の登場人物

※一部登場人物については「仮編集部員編の登場人物紹介」も参照。話数表記は「〇〇時間目」。

主要人物

山下 たろー(やました-)
前作から引き続き主人公を務める。当初は如月小学校に赴任する予定だったが事の成り行きで村立海空小学校で教鞭をとることとなった。
海空小の野球チームの監督も務め、水無月小との試合では水無月小の大補欠と言われ海空小のメンバーとして参加した下山田ろくろーと同じく水無月小のエースピッチャーである村田の隠れた才能を開花させる。ただし小学校の野球は7回までというルールを知らなかった。
物語終盤でかつての師だった横山と再会、横山が監督を務める天上高校の臨時コーチを頼まれるが、横山が怪我を負ったため一時的に代理監督を務めることとなる。
32時間目から髪型が若干変更された。
山下 佳代子(やました かよこ)/ 若山さん(わかやま-)
前作で出版会社の社長秘書をしていた女性。下の名前は本作で初めて明らかにされた。前作でもたろーに惹かれており、本作ではたろーと結婚して一男を儲けている。結婚後もたろーをはじめとしたほとんどの人が旧姓の「若山さん」と呼んでいるため、本項でも「若山さん」と記述する。
たろーのことが好きで、ただならない信頼を寄せている。結婚する前はたろーが教師になるための支援と面倒を見ており、駆け落ち同然でたろーと結婚している。夜にたろーを求めるときは「ご慈愛を頂戴します」と一礼をする。最終回で第二子をお腹に宿していることを打ち明けた。
裁縫は苦手だが、野球の試合のためにユニフォームを作っている。総一郎曰く泳げない。
山下 総一郎(やました そういちろう)
たろーの息子。3歳だが大人顔負けの賢さを持っていて、野球の試合では右翼手を守る。たろーや若山さんのことを「父上、母上」と呼んでいる。結婚する前の二人の行動について理解できていない描写があり、若山さんの言う「ご慈愛」についても薄々気づいている模様。
辰巳 亮介(たつみ りょうすけ)
辰巳コンツェルンのリゾート開発責任者で次期社長。村立海空小学校の場所を近未来リゾート地にするために嶋之島に訪れ、たろーと再会する、しかし本来の目的は婚約を解消して行方不明になった由紀恵がこの島にいることを聞き探しにやってきた。たろーとは当初こそはプロジェクト達成のために仲違いしていたが、たろーに庇ってもらったことで葛藤する龍之介に(たろーのことは)心配するなと声をかけたり、後に野球の練習に付き合うなど関係そのものは悪いわけではない。ただしたろーを殴る癖は相変わらず。
水無月小の合宿では野球部監督と如月小校長から臨時コーチを頼まれたろー率いる海空小と対戦することとなり、監督や野球部員に海空小との試合が全国制覇のためには必要であることを教えた。

村立海空小学校

山の上にある木造の小学校。かつては違う名前の小学校だったが現在は廃校に近く、取り壊しを防ぐため東村が一人で暮らしていた。当初の生徒は全員3年生の5人だが、後にとめや才蔵も加わり7人となる。旧校名は明らかになってないため[5]、本項では旧校時代も「海空小学校」で統一する。

フータロー
クラスのリーダー的存在で学級委員を務める少年。野球の試合では9番で一塁手を守る。面倒見がよく仲間から信頼を得ていた。如月小を追われたたろーに「もっといろんなこと、この瞬間楽しいことが無尽蔵にあること、海と空がたくさんあることをもっと教えてほしい」と叫んで呼び止めたのも彼である。その後、本土からやってきた母親に東京へ連れて帰ると言われるが、たろー達の必死の説得で島に残ることとなった。龍之介にはたろーから「この瞬間の大切さをこの瞬間にも教えてもらっている」[6]と教えている。
ドデスカ
クラスの中では一番体格はいい少年。しかし父親に似て臆病者で大袈裟。弟がいる。一番の苦手は母親。野球の試合では投手を務める。当初はたろーの授業には否定的だったが、「バカもここまで来れば清々しい」と考えるようになり、フータローらとともにたろーを呼び止めることとなった。
わび助(わびすけ)
将来は父の跡を継いで大工になりたいと考えている少年。野球の試合では捕手を務める。如月小学校に通うさくらに好意を寄せていた。算数が苦手で、如月小時代にフータローの答案用紙を覗かせてもらっていたが、間違えてフータローの名前で書いてしまったため先生に怒られる過去を持つ。
びちびち
心優しいが気が小さく腹が弱く、いつもお腹を壊している少年。野球の試合では7番で中堅手を守る。
如月小時代は精神的ストレスにより常にお腹を壊している状態だったが、たろーの授業を受けた時はお腹を壊さなかった。
詠み人(よみびと)
前作にも登場した須永を彷彿とさせるクールな少年。如月小に通っていた時にいつも一人でいるところをフータローが声をかけ仲間にした。帽子を被っていて脱いだ姿は描かれていなく、家族構成も不明。何かあることに一句を詠んでいて、野球の試合では2番で二塁手を守る。将来の夢を持たず運命に逆らわず流れのままに生きることを信条とし、現実よりも文章の中で自由に会話ができていた。須永の書いた小説[7]を愛読書にしている。
如月小学校時代では小説を書いており、最初に読ませてもらったフータローは続きを楽しみにしていたが、その小説を当時の担任が心無い酷評をした上に没収されたことが深い心の傷となってしまったため小説を書くことをやめていた。その後海空小学校を訪れた須永がその小説を読み[8]、「たろーの魂の反応を信じること」「続きを待ちわびる人がいる限り完成させるべき」とアドバイスを送られ、再び小説を書くことを始めた。なお、このエピソードは書籍版単行本では収録されていない。
5時間目で頭の上に芽が追加され、ドデスカはどう育つのかを楽しみにしていることを語っている[9]。後半から終盤にかけては名前の表記が片仮名の「ヨミビト」に変わる。
白倉 とめ(しらくら -)
海空小学校の6人目の生徒でクラス唯一の女の子。ツインテールの髪型でワンピースのやフリルの入った服を着ることが多く、ドデスカの次に背が高い。野球の試合では1番で遊撃手を守る。
島の7割の土地を所有する資産家の娘で、東京から帰ってきて如月小学校に転校する予定だったが、東京にいた時に極度の人間不信に陥り、「学校はただ傷つきに行く場所」[10]と転校することを拒否していた。しかしたろー達の暖かい心に触れ[11]、自分の心の中にあった深い闇から救い出してくれたこと、それと過去に自分の誕生日を祝い「アリス」と名付けてくれた少女(おねえさん)との約束[12]のために海空小学校に転校する。
自分のことを「とめ」と呼ばれることを頑なに拒絶し[13]、皆には「有栖」と呼ぶように言い聞かせている。一方、たろーやクラスの仲間が「とめの有栖」と呼んでいることについては拒絶する反応は見せていない。おねえさんから誕生日プレゼントとして貰ったクマのぬいぐるみ(いがぐりまろんぶらうん)[14]を「親友」としていつも肌身離さず持っている[15]。このぬいぐるみを使った腹話術で自分の気持ちを語ることもある。たろーのことは「ぽち」[16]と呼ぶが、表には出さないものの信頼を寄せている[17]。絵が上手で、図工の授業で描いた絵はクラスの仲間を描いた優しい雰囲気の絵を皆に見せた。ただし、東京にいた時に絵画教室で描いてた絵は暗くて闇の深い物ばかりで母親と思われる人物も頭を悩ませていた。たろーらと出会った当初こそはひねていた部分もあったが[18]、海空小学校に転校してからは皆と仲良く接している。ただし目的のため(神社の霊の正体〈=由紀恵〉を探るときやわび助の恋の行方の観察等)なら手段を選ばない黒い部分もあり、クラスの仲間を仕切ることもある。
35時間目の途中から目のタッチが変更された。
才蔵(さいぞう)
海空小学校の7人目の生徒で、嶋之島から三里離れている儀右衛門島(ギエモンとう)に祖父と住む少年。「漁師に学校は必要ない」と考える祖父をたろーの体を張った必死の説得によって海空小学校に編入する。室町時代から続く「儀右衛門」の十四代目にするべく祖父から漁師として育てられていて学校には通っていなかった。漁師として一番大切な「生命を感じる力、命のある場所」を嗅ぎ分ける能力を持っている。
漁の最中に海空小と水無月小の試合を見たことがきっかけで学校と野球に興味を持ち、深夜の海空小や如月小に侵入してこっそり教科書を借りて独学で勉強していた。頭は良くない上に字も下手[19]だが運動神経は抜群で、ボールを投げた際も非常に威力があり皆を驚かせた。
単行本(書籍版)では才蔵のエピソードは収録されておらず「うみぞら新聞 号外」として1ページにまとめられている。
東村 勘太郎(ひがしむら かんたろう)
村立海空小学校の卒業生でもあり校長。前作の村西を彷彿とさせる外見の男性。たろーらが来る前は取り壊しを防ぐために廃校同然の小学校の宿直室に寝泊まりをして昼間から酒を飲む生活をしていた。小学生時代は庄田と共に常に運動会のかけっこで1位を争っており、運動会の二人三脚でも「長々組」としてコンビを組む。頼子の生前時、さくらからは「かたぎの人じゃない」と怖がられた。
東村 頼子(ひがしむら よりこ)
東村の妻。東村と村長の庄田と共に海空小学校に通っていた。もともと体が弱く5年前に亡くなっている。庄田もかつては好意を寄せていて、空気のように必要な人だったと東村に話している。人見知りが極めて激しかったさくらも懐いていた。晩年は桜の木のある場所で体を休めていて「死ぬなら学校で、最後の一瞬まで"先生"でいたい」と貫き通したが、さくらからは「悲しみを与えたまま死なせてしまった」と深い心の傷になっている。

村立海空小学校の関係者

フータローの両親
父親は風みたくふらふらと落ち着かなく、一度狩りに出ると何日も帰ってこない。運動会の時は鯛飯と生き作りを作って皆に振舞った。
母親は東京で会社を興しており、フータローを連れて帰ろうとしたが、たろーたちの熱意に負けて島に残すことを決意した。
ドデスカの両親
父親はよく母親に追いかけられ大袈裟で臆病者。ドデスカも影響を受けてしまっている。
母親は体格が良く声も大きい。止められるのは元相撲選手の駐在員くらいである。
わび助の父親
大工の棟梁でわび助の目標となっていた。当初はたろーのことをインチキ教師と言ってたが、わび助の作文を聞いて考えを改め、まだ住処のなかったたろー一家の住居を用意した。
びちびちの両親
農家を営んでおり、父母共にびちびちに顔が似ている。
とめの執事
とめから「じい」と呼ばれている眼鏡をかけ髭を生やした老年の男性。多忙で家にいないとめの両親の親代わりとなっている。とめの回想で母親と思われる人物(シルエットでの登場)にとめの暗く闇の深い絵を見せて、とめの心はガラス細工でできていると言ったうえで「この絵を変えてくれる人との出会いが必要」と進言している。
才蔵の祖父
十三代目「儀右衛門」の名を持つ漁師。息子が漁師を継がなかったため孫である才蔵に儀右衛門の名を継がせようとしている。そのため学校の勉強は必要ないと言い聞かせていた。

私立如月小学校

嶋之島に出来た私立小学校。寮を備え最高級の設備を備えている。

三島 龍之介(みしま りゅうのすけ)
私立如月小学校に通う生徒。前作の早乙女龍之介を彷彿させる姿で、常に何かしらの本を読んでいる。成績優秀で将来有望な生徒だが、海空小学校が出来てからは時々学校を抜け出して陰でたろーの授業を覗いている。当初はたろーを疎ましく思い、たろーの授業を「未来の役にも立たない」と言っていたが、ある一件[20]でたろーに助けてもらったことをきっかけにして「この瞬間の大切さ」のためにたろーの授業も必要としていることを伝えた。野球の試合では海空小学校のチームの一員として8番左翼手として参戦している。
山下 太郎一(やました たろういち)
ハーバード大学卒業の如月小学校の本来の新任教師で、村の助役である大倉が見つけて招いた。授業内容は家庭教師並みに激しいが、細かいところまでは教えていない[21]
運動会ではダメな人間を作り出す温床と言いながら、心躍る懐かしい響きと本音を漏らしている。過去の苦い記憶[22]から「イダテンマン」となり、一番足の遅いびちびちに早く走るためのコツを伝授した。
校長
半月目で唇が太く、スキンヘッドで常に葉巻を吸っている。たろーのことを快くは思っておらず、常に粗探しをして海空小学校を潰し、たろーを島から追い出すことを考えてた(結果的にはとめが海空小に転校したことで学校を潰すことはできなくなったが、龍之介に怪我を負わせた疑いをかけてたろーを島から追放しようと考えるものの失敗に終わった)。緊張状態になると大量の汗をかく。
小近衛 十四郎(ここのえ じゅうしろう)
如月小学校の教師。幼き頃の若山さんを知っていて執念に近い好意を寄せていた。若山さんのことを「若山佳代子」と旧姓のフルネームで呼び、若山さんのために強くなったと思い込んでいた。若山さんを賭けたたろーとの剣道の決闘で終始たろーを圧倒するものの、自分が原因で木菜子が海に落ちた時は助けに飛び込んだたろーと違い何もできず自分の弱さに気づく。たろーに負けて以降も若山さんに未練を持っている模様で、若山さんの名前を出しただけでパニック状態になる。
才蔵が教科書を無断で借りたことに絡んでたろーにあらぬ疑いをかけられて駐在に捕まったときは、とめの手を握りながら「薔薇も色あせるような手で泥棒ができるわけがない」と言い、たろーは(盗みを)やってないと主張するフータローらの言い分を信じようと太郎一に話してたろーを開放している。
木菜子(きなこ)
十四郎を心酔する少女。たろーと十四郎の決闘の際に過剰に攻撃をする十四郎を止めようとした龍之介を突き飛ばした時に巻き込まれて海に落ちる。
さくら
元海空小の生徒で現在は如月小に通っている6年生の少女。
幼いころは人と接することが苦手でわずかな刺激に敏感に反応する心を持っていて、初見の東村ですら極度に怖がっていた。しかし頼子にだけは懐き好いていた。
わび助が水の溜まった田んぼに落とした500円硬貨を拾ってあげたことでわび助からは「泥だらけの天使」と呼ばれていたが、わび助が帰り際に落とした河童キャラのキーホルダーを返しに行ったときにわび助が海空小学校の人間だと知ると急にを冷たい態度を取るようになった[23]
わび助から事情を聞いた東村の過去の写真から5年前に埋めたタイムカプセルを埋める写真があり、たろー達によって校庭を掘り返してタイムカプセルを見つけ出す。見つけ出した時は「あの頃に戻りたくない」と逃げるが、自分の袋の中に入ってた大人になったさくらへ宛てた頼子からの手紙(さくら自身は入ってたことを知らなかった)を見てそれまでの気持ちを改め直した。
毎年桜の時期になると頼子の墓に花を供えていた。
ぶっくれ宗吾(-そうご)
ドデスカの弟で如月小に通っている。兄とは似ていない。公式大会に出場した海空小の試合を見て冷静に分析している。

嶋之島の住民

庄田 長吉(しょうだ ちょうきち)
東村の同級生で村の村長。東京の立派な大学を出て国家の官僚に登り詰めたが行き詰って島に帰ってきた。帰島後、頼子の勧めで村長に立候補し現在に至る。教室の柱の東村夫妻の相合傘は彼が彫ったものである。
当初はたろーが教師になることに難色を示していたが(教員免許を持っているが教育委員会の採用試験に合格していないため)、自治体が独自に採用する事例を利用してたろーを海空小学校の教員として採用した。
てんぷくじーさん
たろー一家が島訪れた時に船頭をしていた老人。船はわび助の父親によるもので、何度も船をひっくり返しているが一度も死人を出したことがない。運動会では弁当も転覆させている。島へ来た当初住む場所のないたろーに息子の船(クルーザー)を貸したり、フータローを東京に連れていかせないために故意に船を転覆させたりしていた。たろーと小近衛十四郎との決闘で海に落ちた木菜子と助けに行ったたろーと若山さんを助け出した。
小野田 由紀恵(おのだ ゆきえ)
前作にも登場した辰巳の元婚約者。髪が長く全体的に白くなってる等、雰囲気が大幅に変わっている。たろーや若山さんの知らないところで辰己との婚約を一方的に解消していた。
最初は神社で見かけ、ふっと現れふっと消えることから「神社の妖精」と呼ばれ生徒らからは幽霊と思われていたが、実は神社脇の森の奥にある小さな一軒家に老婆と一緒に住んでいた。若山さんとの会話で小さいころから気管が弱く、そのせいで肺気腫になってしまい、空気のきれいな嶋之島でを療養していることを明かし、辰己との別れを告げたのも将来がある辰己のことを思い、自分の病気で重荷になってはいけないということからと話している。それでも辰己に対する気持ちは変わりなく、毎日神社に足を運んで祈願していた。その後たろーが「誘拐」して辰己らを呼び寄せた時にいづみが辰己との婚約解消を宣言したことで病を治すことを決意する。
たろーに誘拐された時に、「もし誘拐犯人さん(たろー)のせいで若山さんが不幸になっても一緒にいることができるか」との問いにたろーが「いなくなったら困る」と返した時は若山さんのことを羨ましがっていた。
大倉(おおくら)
県から派遣された村の助役。たろーを教員として採用することを反対としていた。運動会の二人三脚ではたろーと組むこととなり、自分も生まれついての最下位であることを明かした。その結果最下位同士の力が共鳴し、東村・庄田組を押さえてトップでゴールした。
切り身おばさん(きりみ-)
「魚群のまき」とも呼ばれている、若山さんに島で暮らすための術を教えた魚屋の女主人。病気で起きることのできなくなった主人に代わり店を切り盛りしている。更に息子が如月小学校に通い初めてからなおのこと無理して働くようになった。一度切り身にされた魚をくっつけて海に話したら何事もなかったかのように元気に泳いでいくという「奇跡の腕」を持っていると言われている。しかもその姿はだれにも見せたことがない。たろー一家が島で暮らし始めた時、生の魚を触ることのできなかった若山さんをはじめは頼りなく見て冷たい態度で接していたが、働き過ぎて腰を痛めて動けなくなったときに若山さんが代わりに魚を全部売り切ったのを見て見方を変え、伝説の包丁捌きを見せた。後にたろー宅に訪れて若山さんの作った野菜を味見し「完全無欠の味」と褒めた。

私立水無月小学校

下山田 ろくろー(しもやまだ ろくろー)
私立水無月小の野球部に所属する少年。前作の大山田出版の社長の息子、山田六郎を彷彿とさせる姿で、かつてのたろーと同じ練習にも入れさせてもらえない大補欠だったが、大正選手になるために海空小学校のチームから水無月小との試合に3番三塁手として出場。たろーの「萬金丹打法」をマスターし、チームメイトである村田から満塁ホームランを打つまでに成長した。同じく試合中に成長を遂げた村田との決定的な違いは「直接たろーから指導してもらってる」ということを辰己が水無月小の監督に伝えている。
下山田・兄(しもやまだ あに)
ろくろーの兄。かつては水無月小の主将で4番のエースだったが、試合前日の弟との練習中に濁流に飲み込まれた弟を助けるために怪我を負い野球のできる体ではなくなり、自分の夢を弟に託した。
村田(むらた)
水無月小のエース。ろくろ―の兄を尊敬し憧れを持ち、フォームを真似て正選手の座を掴み取った。ろくろーのことは当初は卑下し、海空小との練習試合は時間の無駄だと言っていたが、試合ではろくろーからボールをバットに捉えられるようになってからは見方を変え、更には自身もこれまでにないボールを投げるまでに成長することとなった。
野球部監督
氏名は不明。辰己に臨時コーチを頼む。ろくろ―のことを長年何を教えても身につかず当初は才能のかけらも見当たらないと冷たい反応を見せていたが、たろーの指導で短い期間で見違えるほどに成長したことに驚き、さらにはたろーが指導していない村田やチームメイトまでもがさらなる成長を遂げたことに驚きを隠せずにいた。

その他

北原 いづみ(きたはら いづみ)
辰己の秘書であり婚約者。婚約者ではあるが辰己の気持ちが分からず不安になっていた。たろーにはたろーの言う本物の辰己の、若山さんには由紀恵のことを聞きに行く。
横山先生(よこやませんせい)
たろーの小学校の時の担任。たろーを野球の道に引き込み、教師の道に進むきっかけを作った恩人。現在は県立天上高校の野球部監督を勤めているが、たろーが臨時コーチとして招かれた際の練習中にファウルボールが顔に直撃し大怪我をする。
須永(すなが)
たろーと辰己の高校時代のチームメイトで、賭博師や漫画原作者の顔を持ち、詠み人が大事にしている小説の作者。たろーのいる島を流浪してた時に辰己からたろーがいることを聞き海空小学校に訪れた。たろーから読むよう頼まれた詠み人の小説を読み、読んでる姿を見た詠み人に「たろーの魂を信じることだ」とアドバイスを送っている。そして詠み人が大事にしていた自身の小説に「山下たろーの"たまじい"に偽りなし[24]」というメッセージを自身のサインと共に書き記している。単行本(書籍版)には登場していない。
大沢 然二(おおさわ ねんじ)
東村夫妻や庄田の小学生時代の担任で生物学者。東村の回想に登場し、嶋之島の生態系の研究をして本を出していた。天皇陛下から勲章まで貰っていたがそれでも島から離れず研究を続けていた。姿は違うがたろーに雰囲気が似ていて、それを見た庄田が(大沢が)たろーを呼び寄せたのではないかと呟いている。

単行本

※両シリーズとも書籍版はバンチコミックス(新潮社)から、電子書籍版はコアミックスから発刊されている。

株式会社大山田出版仮編集部員山下たろーくん

単行本5巻までは背表紙寄りに「BUNCH COMICS」のロゴ(初期発刊作品のフォーマット)が入れられていた。
12巻は通常よりは増ページである。
1巻・11巻・12巻は目次に本来のタイトルと異なる旨の注記が書かれていた。
  1. 1巻(ISBN 978-4-10-771006-2)発売:2001年11月9日
  2. 2巻(ISBN 978-4-10-771022-2)発売:2002年2月9日
  3. 3巻(ISBN 978-4-10-771037-6)発売:2002年5月9日
  4. 4巻(ISBN 978-4-10-771046-8)発売:2002年7月9日
  5. 5巻(ISBN 978-4-10-771062-8)発売:2002年10月9日
  6. 6巻(ISBN 978-4-10-771076-5)発売:2003年2月8日
  7. 7巻(ISBN 978-4-10-771091-8)発売:2003年5月9日
  8. 8巻(ISBN 978-4-10-771109-0)発売:2003年8月9日
  9. 9巻(ISBN 978-4-10-771118-2)発売:2003年10月9日
  10. 10巻(ISBN 978-4-10-771131-1)発売:2004年1月9日
  11. 11巻(ISBN 978-4-10-771145-8)発売:2004年4月9日
  12. 12巻(ISBN 978-4-10-771156-4)発売:2004年6月9日

山下たろーくん-うみとそらの物語-

書籍版の6巻は53~77話の24話[25]が未収録のダイジェスト版となっていることを目次に記されている。
本来の78話が53話に置き換えられ、全61話。
  1. 1巻(ISBN 978-4-10-771202-8)発売:2005年3月9日
  2. 2巻(ISBN 978-4-10-771212-7)発売:2005年5月9日
  3. 3巻(ISBN 978-4-10-771222-6)発売:2005年7月8日
  4. 4巻(ISBN 978-4-10-771238-7)発売:2005年10月8日
  5. 5巻(ISBN 978-4-10-771248-6)発売:2005年12月9日
  6. 6巻(ISBN 978-4-10-771292-9)発売:2006年9月9日

脚注

  1. ^ 『コミックバンチ』誌連載作品で同様にルビが振られた作品は次原隆二の『少年リーダム~友情・努力・勝利の詩 』などがある。
  2. ^ 具体的な年数は書かれていない。
  3. ^ 8話までは島の名前は未定の状態だったが、9話で初めて明らかになった。
  4. ^ たろーの立場は「仮編集部員編」は編集部の草野球チーム選手、「うみとそらの物語」は小学校のチームの監督としてという違いがある。
  5. ^ 旧校名の表札の上に「海空」の文字が貼り付けられてあった。
  6. ^ ただしたろー自身はそのことに理解できないでいた。
  7. ^ 出版社はかつてたろーが務めていた大山田出版
  8. ^ 詠み人は担任に没収された小説を取りには行かず、フータローから話を聞いたたろーが取りに行ってその小説を読み感涙にむせび泣くも、「終わったこと」と言って破り捨てたため、たろーとフータローがセロテープで修繕した。
  9. ^ ただしまだ小説を書いていた如月小時代の回想でも芽が出ている描写がある。
  10. ^ 東京では誰もがとめのことを心から付き合おうとせず、「白倉」と言う名前だけでしか付きあっていないことを感じ取っていた。そのためほとんど通学していなかった。
  11. ^ 辰己がとめを迎い入れるために最高級の待遇でもてなすものの、とめは「自分を利用しようと考えているだけで誰も歓迎していない」と見透かしていた。しかしたろーらが校舎裏に作ったとめの誕生日を祝う雪像(誕生日はびちびちの勘違いによるもので、実際のとめの誕生日は半袖の季節だった)を見て次第にたろーやクラスの仲間に心を開くようになっていった。
  12. ^ 4歳の頃、親のいない誕生日に嫌気が差し家を抜け出して途方に暮れていたところ、たまたま訪れた海空小学校で生徒であるおねえさんに声をかけられ誕生日を祝ってもらう。その時に持ってたうさぎのぬいぐるみを見て「不思議な世界から来た女の子」の意味で「アリス」と名付けてもらい、それがきっかけで自分のことを「有栖」と名乗るようになった。おねえさんから「もう少し大きくなったらこの小学校に入って一緒に勉強しよう」と約束していた。そのため、東京から戻ってきたときも家を抜け出して海空小に足を運んでいた。
  13. ^ 「とめ」と呼ばれると非常に不機嫌になり、実際に呼んだ太郎一に対しては「二度と教師として働けないようにする」と脅しをかけるほどだった。
  14. ^ とめの手のひらより少し大きく、胸元のハートのアップリケに「ぼく3さい」と書かれている。
  15. ^ とめの着るユニフォームにはこのぬいぐるみが入るポケットが設けられている。
  16. ^ とめが昔飼っていたとされる犬の名前、ただし実際に飼ってたかどうかは不明。
  17. ^ 龍之介が足の怪我をしたときにたろーが庇っていた時は「忠犬ぽち」とたろーの無実を信じていたり、最終話でたろーが海空小を辞めるかもしれないという話になった時に、それ自体がデマだったことで「甲斐性なし」と言いながらも真っ先に飛びついてきたり等。
  18. ^ この時はフータローらを「わたしの僕(しもべ)にしてあげる」と言っていたが、とめ自身は心の中ではSOSを発していた。
  19. ^ それでもたろーとは違い漢字は書ける。
  20. ^ たろーの授業内容が気になって、学校の規則を破って夜の海に足を運んだ際に滑り落ちて怪我をしたところを夜回りをしていたたろーに助けられるが、その一件をたろーが頑なに口を閉ざして庇ったことによってたろーが教師を辞めされられる危機に陥る。反対に真実を打ち明けると今度は自分が学校を辞めざるを得なくなり、親の期待を背負って入学したこともあり葛藤していたが、辰己のアドバイスを聞いた龍之介はたろーの進退を決める場で自分が勝手に怪我をしてたろーに助けてもらったことを打ち明け、自分が学校を辞めると言い出した。学校としては龍之介に辞められると大きな痛手になるため、結果的には二人とも辞めずに済む。なお、怪我をした龍之介が島に戻ってきたときに迎えに来たのは如月小のクラスメイトではなく海空小の面々だった。
  21. ^ 作家の代表作の名前を憶えてもその本まで読む必要はないと教えたり、龍之介がたろーの授業で気になってた「海藻」と「海草」の違いを「未来には関係ないし役に立たない」と言ったこと等。
  22. ^ 小学生時代、足の遅い同級生から速く走る方法を教えてくれるよう頼まれるが相手にしなかった。その結果太郎一は1位、その子は最下位となり、悔しさで涙を浮かべる姿がずっと記憶に残っていた。
  23. ^ 実は5年前に頼子に桜の枝をあげようとしたときにその桜が枝を折った桜だったことに注意され、そのショックから思わず怒ってしまった直後に頼子が倒れてしまいそのまま帰らぬ人となり、頼子に悲しみを与えたまま死なせてしまったことに苦しんでいた。程なくして学校は廃校になり如月小学校に編入したことから海空小学校には悲しい思い出しか残っていない。
  24. ^ 「たまじい」の「ま」にも濁音がつく。
  25. ^ 水無月小編のあと~須永登場回までの野球回ではない話。

関連項目