「パスワード (コンピュータゲーム)」の版間の差分
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他に、ゲーム中特定の場所で入力すると貴重なアイテム等を得られるパスワードもある。これらは雑誌や周辺商品と連動して展開されるゲームによく見られる。 |
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2006年3月19日 (日) 23:33時点における版
コンピュータゲームにおけるパスワードとは、ゲームを途中で中断する際にゲームプログラムによって発行され、ゲームを再開するときに入力する文字列などのことである。日常でセキュリティの目的で使用される「パスワード」とは用途が異なる。
かつて、1日のプレイだけでクリアすることが困難なゲームにおいて、このようなパスワードが使用されることが多かった。特に、ロールプレイングゲームやアドベンチャーゲームなどで多く使用されたが、ステージの多いアクションゲームなどでも使用されることがあった。しかし今日では、バッテリーバックアップやメモリーカードの出現により、パスワードはほとんど使用されなくなった。
パスワード誕生の歴史的背景
パスワードを最初に採用したのは1985年8月に発売されたアクションロールプレイングゲームの原典である『ハイドライド』(T&E SOFT)MSX版のROMカセットからであり、「パスワード」という名称も本作で初めて名付けられたものである。
当初、1985年3月に、あまり普及していなかったカセットテープ(データレコーダ)用でMSX版の『ハイドライド』を発売していた。当時カセットテープ(データレコーダ)用のソフトを動かすにはメインメモリが64KB(キロバイト)必要だったのだが、最も普及していたMSXのメインメモリは8KBしかなく、ROMカセット用のソフトしか動かすことができなかった。ROMカセットではSRAMを使ったバッテリーバックアップしか方法が無かったのだが、当時は高価すぎてとても搭載できなかった。
しかし、当時のユーザーにはそのような専門的知識は無く、誕生したばかりのアクションロールプレイングゲームを遊んでみたい思いから、T&E SOFTにはROMカセット版の『ハイドライド』を発売してほしいという投書が毎日のように送られていたので、それまで他のゲームメーカーが行わなかった、「バッテリーバックアップを使わない新しい記録方法を発明する」ことに挑戦した。そうしてできたのがパスワードである。
『ハイドライド』のパスワードは、0~9までの数字とA~Zまでのアルファベットと.と,のみを使いながら最大11文字(ファミコン版はMPと魔法があるため最大14文字)だけで現在のレベル・現在の体力の状態・現在までに集めたアイテム・現在の位置情報などを完全に記録するもので、当初のものとしてかなり完成度の高いものであった。
技術的には「コロンブスの卵」的な物だったらしく、翌年にはエニックス(当時)のファミリーコンピュータ(ファミコン)用ソフト『ドラゴンクエスト』でも使われている。同作より前に発売されていたエニックスのファミコンソフトで、鳥山明やすぎやまこういち以外はほとんど同じ開発スタッフの『ポートピア連続殺人事件』では、パスワードどころか記録方法自体が無かったため、『ドラゴンクエスト』ではゲームの途中から続きができるようにするべく、パスワードが採用された。
以後も多くのゲームがパスワードを採用したが、中にはプレイ内容に一部記録できないものがあったり、非常にストレスを感じるほど長かったり、少々間違えていてもパスワードを受け付けるがプレイ内容の異常により後で取り返しのつかないことになることがあるなど、開発者やメーカーによってその完成度はかなり異なった。
パスワードの使い方
プレイヤーは中断時に、ゲーム画面に表示されるパスワードをメモ帳などに書きとめておく。そして次回のゲーム開始時に、書き留めておいたパスワードを正確にゲーム画面に入力すれば、前回中断したときと同じ状態で、あるいは同じ場所から再開することができる。
しかし、入力したパスワードが1箇所でも間違っていると、エラーとなり、ゲームを再開することができない。メモしたパスワードが書き写し間違いでないのであれば、メモしたものと画面に入力したものとをもう一度照合・確認して入力しなおすことで再開可能だが、書き写し間違いの場合はゲームを続行することが不可能となり、それ以前のデータから再開せざるをえなくなる。そのときのプレイ内容によってはかなりの精神的ダメージを負い、場合によってはそのゲームを続行できなくなる場合もあるため、書き写しの際には細心の注意を払って正しいかどうかをチェックする必要がある。
どうしても書き間違いが嫌な人の中には、画面をビデオに録画する、写真に撮影するなどして間違いを回避する者もいた。
パスワードの仕組み
生成されるパスワードは、パスワード発行時のプレイヤーキャラクターの状態や場所、所持しているアイテムなどのデータを、ゲームプログラム内で独自に定められた法則で暗号化(エンコード)し、文字列などにしたものである。そしてゲーム再開時にパスワードが入力されると、そのパスワードがプログラムによって再びゲーム内のデータに変換(デコード)される仕組みとなっている。このときに、プログラムがパスワードを正常にデコードできない場合は、入力したパスワードが誤っているということになり、エラーメッセージを画面に表示させ、プレイヤーに再入力を促す。
しかし、ゲーム途中のパスワードをメモしていなくても、適当な文字列を入力することによって、偶然、デコードに成功し、ゲームを途中から始めることができてしまう場合もある。また、開発者が故意に仕込んだ、文章として読むことの可能なパスワードが存在することもある。このようなパスワードはゲーム雑誌に裏技として紹介されることもあった。
多種多様なパスワード
パスワードはゲームによって独特の呼称が付けられていることがある。例えばドラゴンクエストシリーズでは「復活の呪文」という呼称が付けられている。パスワードの文字列の長さ、使用できる文字の種類などもゲームによって異なり、また、常に一定の長さではなく、中断時の状態によってパスワードの長さが異なるゲームもある。中には、『悪魔城伝説』のように、文字の代わりに記号を入力する方式になっているものもある。また、ロックマンシリーズでは格子状の座標の上に玉を置く形式のものが採用されていた。
ゲーム継続以外の目的を持つパスワード
以前は通信機能、メモリーカード等の外部記録媒体の使用が難しかったため、ソフトにバッテリーバックアップ機能が内蔵されているものであっても、ユーザー間でデータのやりとりをするためにパスワードが使用されることがあった。
最初にゲーム継続以外の目的でパスワードを使用したのは、パスワードの発明者でもあるT&E SOFTが1986年から1988年にかけて発売した『DAIVA(ディーヴァ)』シリーズである。『DAIVA(ディーヴァ)』では、7つの異なるストーリーが6つのパーソナルコンピュータとファミリーコンピュータで発売され、各々のストーリーが相互に関連性を持つため、例えば、1つの機種をクリアした時に手に入るパスワードを他の機種へ入力すると今まで使っていた艦隊を援軍として送り込むことが出来る。
現在でも、『実況パワフルプロ野球』シリーズなどでは携帯機から据え置き機へのデータ移行がパスワードで行われる。
また、スコアやタイムアタック等の全国ランキングが行われる場合、パスワードを介して記録が集計されることもある。
他に、ゲーム中特定の場所で入力すると貴重なアイテム等を得られるパスワードもある。これらは雑誌や周辺商品と連動して展開されるゲームによく見られる。