「インディオ」の版間の差分
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'''インディオ'''は[[ラテンアメリカ]]の[[先住民族]]の[[総称]]の一つ。[[スペイン語]]・[[ポルトガル語]]の''indio''は、[[アメリカ州の先住民族]]のうち[[エスキモー]]や[[アレウト族]]などを除いた民族を総称することが多いが、日本語では[[北米]]と[[中南米]]の先住民族を区別して後者のみをインディオと呼ぶことが多い。[[インディアン]](またはその言い換え)も同様の意味であるが、日本語では前者の総称として扱われることが多い。 |
'''インディオ'''は[[ラテンアメリカ]]の[[先住民族]]の[[総称]]の一つ。[[スペイン語]]・[[ポルトガル語]]の''indio''は、[[アメリカ州の先住民族]]のうち[[エスキモー]]や[[アレウト族]]などを除いた民族を総称することが多いが、日本語では[[北米]]と[[中南米]]の先住民族を区別して後者のみをインディオと呼ぶことが多い。[[インディアン]](またはその言い換え)も同様の意味であるが、日本語では前者の総称として扱われることが多い。 |
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インディオは、スペイン語 |
インディオは、スペイン語(ポルトガル語ではインジオ)で[[インド]]人を指す言葉であり、[[クリストファー・コロンブス]]が[[アメリカ大陸]]に到着したときに、その地をインド(当時は[[東アジア]]全体を指した)と誤解したことに由来する。 |
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スペイン人の誤解がそのまま英語のインディアンに引継がれた。 |
スペイン人の誤解がそのまま英語のインディアンに引継がれた。 |
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インド人と区別するためにスペイン語では''アメリンディオ''(''[[:es:Amerindio|amerindio]]'')と呼ぶこともあるが、逆にインド人を''インドゥ'' (''hindu'')と呼ぶことで区別することが多い。 |
インド人と区別するためにスペイン語では''アメリンディオ''(''[[:es:Amerindio|amerindio]]'')と呼ぶこともあるが、逆にインド人を''インドゥ'' (''hindu'')と呼ぶことで区別することが多い。 |
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インディオという言葉に侮蔑的な響きがあることから、現在は[[先住民]]のことを''ナティーボ'' (''nativo'',旧来の住人の意)や''プレイスパニコ'' (''prehispanico'', スペイン以前の意)などということが多くなってきている。 |
インディオという言葉に侮蔑的な響きがあることから、現在は[[先住民]]のことを''ナティーボ'' (''nativo'',旧来の住人の意)や''プレイスパニコ'' (''prehispanico'', スペイン以前の意)などということが多くなってきている。 |
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また、''カンペシーノ'' (''campesino'', 都市に住んでいない人)や''アンテセデンテス'' (''antecedentes'', 先祖)という表現をすることもある。 |
また、''カンペシーノ'' (''campesino'', 都市に住んでいない人)や''アンテセデンテス'' (''antecedentes'', 先祖)という表現をすることもある(いずれもスペイン語。ポルトガル語では、例えばナチーボなど)。 |
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呼称と差別に関する問題については、[[ノート:アメリカ・インディアン]]も参照されたい。 |
呼称と差別に関する問題については、[[ノート:アメリカ・インディアン]]も参照されたい。 |
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[[1920年代]]頃より[[ホセ・カルロス・マリアテギ]]等を中心に[[インディヘニスモ]](先住民の復権)が唱えられるにつれ、先住民という意味の「''インディヘナ'' (''<font lang="es">Indígena</font>'')」という呼び方も普及していった。 |
[[1920年代]]頃より[[ホセ・カルロス・マリアテギ]]等を中心に[[インディヘニスモ]](先住民の復権)が唱えられるにつれ、先住民という意味の「''インディヘナ'' (''<font lang="es">Indígena</font>'')」(ポルトガル語ではインディジェナ)という呼び方も普及していった。 |
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先住民と[[白人]]との混血を[[メスティーソ]]([[:en:mestizo|mestizo]])、ラディーノ(ladino)などという。[[ボリビア]]、[[ペルー]]などでは、[[チョロ]]とも呼ばれる。 |
先住民と[[白人]]との混血を[[メスティーソ]]([[:en:mestizo|mestizo]])、ラディーノ(ladino)などという。[[ボリビア]]、[[ペルー]]などでは、[[チョロ]]とも呼ばれる。また、先住民(インディオ)と[[黒人]]との混血をサンボと呼ぶ。かつて子供向けの物語として広く知られていた『チビ黒サンボ』の「サンボ」は、この混血の意味から来ているが、サンボという用語が差別的として使用されなくなるにつれ、物語についても忘れられつつある。 |
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== インディオの今日的定義 == |
== インディオの今日的定義 == |
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人種的に純粋なインディオであってもインディオ的な文化を喪失し、白人やメスティソに文化的に同化した人はインディオと呼べないのではないかという議論がある。そのような人はインディオと称されることを忌避し、[[メスティソ]]や[[チョロ]]と自己規定することが多い。しかし日常会話では、厳密にはメスティーソであるがインディオの人種的特徴を強く持つ人もまとめてインディオと呼ばれるのが |
人種的に純粋なインディオであってもインディオ的な文化を喪失し、白人やメスティソに文化的に同化した人はインディオと呼べないのではないかという議論がある。そのような人はインディオと称されることを忌避し、[[メスティソ]]や[[チョロ]]と自己規定することが多い。しかし日常会話では、厳密にはメスティーソであるがインディオの人種的特徴を強く持つ人もまとめてインディオと呼ばれるのが一般的である。 |
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2005年10月26日 (水) 07:37時点における版
この記事ではラテンアメリカの先住民について扱います。 アメリカ州の先住民族参照。
インディオはラテンアメリカの先住民族の総称の一つ。スペイン語・ポルトガル語のindioは、アメリカ州の先住民族のうちエスキモーやアレウト族などを除いた民族を総称することが多いが、日本語では北米と中南米の先住民族を区別して後者のみをインディオと呼ぶことが多い。インディアン(またはその言い換え)も同様の意味であるが、日本語では前者の総称として扱われることが多い。
インディオは、スペイン語(ポルトガル語ではインジオ)でインド人を指す言葉であり、クリストファー・コロンブスがアメリカ大陸に到着したときに、その地をインド(当時は東アジア全体を指した)と誤解したことに由来する。 スペイン人の誤解がそのまま英語のインディアンに引継がれた。 インド人と区別するためにスペイン語ではアメリンディオ(amerindio)と呼ぶこともあるが、逆にインド人をインドゥ (hindu)と呼ぶことで区別することが多い。
インディオという言葉に侮蔑的な響きがあることから、現在は先住民のことをナティーボ (nativo,旧来の住人の意)やプレイスパニコ (prehispanico, スペイン以前の意)などということが多くなってきている。 また、カンペシーノ (campesino, 都市に住んでいない人)やアンテセデンテス (antecedentes, 先祖)という表現をすることもある(いずれもスペイン語。ポルトガル語では、例えばナチーボなど)。 呼称と差別に関する問題については、ノート:アメリカ・インディアンも参照されたい。
1920年代頃よりホセ・カルロス・マリアテギ等を中心にインディヘニスモ(先住民の復権)が唱えられるにつれ、先住民という意味の「インディヘナ (Indígena)」(ポルトガル語ではインディジェナ)という呼び方も普及していった。
先住民と白人との混血をメスティーソ(mestizo)、ラディーノ(ladino)などという。ボリビア、ペルーなどでは、チョロとも呼ばれる。また、先住民(インディオ)と黒人との混血をサンボと呼ぶ。かつて子供向けの物語として広く知られていた『チビ黒サンボ』の「サンボ」は、この混血の意味から来ているが、サンボという用語が差別的として使用されなくなるにつれ、物語についても忘れられつつある。
インディオの今日的定義
人種的に純粋なインディオであってもインディオ的な文化を喪失し、白人やメスティソに文化的に同化した人はインディオと呼べないのではないかという議論がある。そのような人はインディオと称されることを忌避し、メスティソやチョロと自己規定することが多い。しかし日常会話では、厳密にはメスティーソであるがインディオの人種的特徴を強く持つ人もまとめてインディオと呼ばれるのが一般的である。