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フェムトセルの配置はより広いネットワークの性能に重大な影響を及ぼし、またこれは展開を成功するために対処する主要問題の一つである。
フェムトセルの配置はより広いネットワークの性能に重大な影響を及ぼし、またこれは展開を成功するために対処する主要問題の一つである。


フェムトセルの「下層ネットワーク」固有の周波数帯が無く、あるいはより広いネットワークの中で細心の注意を払った周波数帯計画が無ければ、フムトセルは酷い干渉問題を被る可能性が有るという問題が有る。例えば、マクロセル・ネットワークから家庭のフェムトセル・アクセス・ポイントへの切り替え(ハンドオーバー)で、考慮に入れなければならない規格に制限事項が定められている。例えば、(2Gおよび3G標準のための)RAN<ref>(Radio Access Network、無線アクセス・ネットワーク)</ref> ハンドオーバー・アルゴリズムには、携帯電話端末がどれだけ走査、測定、そして通過できるか、隣接セル・サイトの数(通常16)に制限が有る。さらに、単一周波数CDMAシステムが操作されている場合(マクロセル・ネットワークとフェムトセル・ネットワークが同じ周波数帯を利用する場所、典型的には一つの3G周波数帯だけを許可された多数の通信事業者による状況)、マクロセルとフェムトセルの電力制御アルゴリズムは干渉を起こす可能性が有る。<ref>[http://arxiv.org/abs/cs/0702132v7 "Uplink Capacity and Interference Avoidance for Two-Tier Femtocell Networks", Vikram Chandrasekhar and Jeffrey G. Andrews]</ref> 例えば、携帯電話端末がマクロセル装置の通話地域にいる間に、CDMAシステムに固有の遠近問題に対する電力制御の一部として、携帯電話端末がフェムトセルへの送信電力を増加する場合が挙げられる。マクロセルの場での高出力送信機は周波数が共有されるため結果として干渉者として働きをする。最後に、通話地域の問題が有る。高層の宿泊施設で、別の階に居るフェムトセルの利用者が他の利用者に干渉を起こす可能性が有る。この問題に対して幾つかの部分的な解決策が有るが、しかし主として干渉を防止する唯一の方法は、特にCDMAを展開するため、フェムトセルの通話地域に対して異なった周波数を使う事である。その部分的な解決策は、明らかに性能とのトレードオフが有るが、3G設定パラメータで利用可能なmode-2 fixed power optionを利用する事が含まれる。それは携帯電話端末の出力が増加する事と干渉を引き起こす事を防ぐ。
フェムトセルの「下層ネットワーク」固有の周波数帯が無く、あるいはより広いネットワークの中で細心の注意を払った周波数帯計画が無ければ、フムトセルは酷い干渉問題を被る可能性が有るという問題が有る。例えば、マクロセル・ネットワークから家庭のフェムトセル・アクセス・ポイントへの切り替え(ハンドオーバー)で、考慮に入れなければならない規格に制限事項が定められている。例えば、(2Gおよび3G標準のための)RAN<ref>(Radio Access Network、無線アクセス・ネットワーク)</ref> ハンドオーバー・アルゴリズムには、携帯電話端末がどれだけ走査、測定、そして通過できるか、隣接セル・サイトの数(通常16)に制限が有る。さらに、単一周波数CDMAシステムが操作されている場合(マクロセル・ネットワークとフェムトセル・ネットワークが同じ周波数帯を利用する場所、典型的には一つの3G周波数帯だけを許可された多数の通信事業者による状況)、マクロセルとフェムトセルの電力制御アルゴリズムは干渉を起こす可能性が有る。<ref>[http://arxiv.org/abs/cs/0702132v7 "Uplink Capacity and Interference Avoidance for Two-Tier Femtocell Networks", Vikram Chandrasekhar and Jeffrey G. Andrews]</ref> 例えば、携帯電話端末がマクロセル装置の通話地域にいる間に、CDMAシステムに固有の遠近問題に対する電力制御の一部として、携帯電話端末がフェムトセルへの送信電力を増加する場合が挙げられる。マクロセルの場での高出力送信機は周波数が共有されるため結果として干渉者として働きをする。最後に、通話地域の問題が有る。高層の宿泊施設で、別の階に居るフェムトセルの利用者が他の利用者に干渉を起こす可能性が有る。この問題に対して幾つかの部分的な解決策が有るが、しかし主として干渉を防止する唯一の方法は、特にCDMAを展開するため、フェムトセルの通話地域に対して異なった周波数を使う事である。その部分的な解決策は、明らかに性能とのトレードオフが有るが、3G設定パラメータで利用可能なmode-2 fixed power optionを利用する事が含まれる。それは携帯電話端末の出力が増加する事と干渉を引き起こす事を防ぐ。


多くの製造供給元がこの問題に対処するための高度なアルゴリズムを開発したと報じられており、また通信事業者によるモデル化はこれが実行可能である事を示している{{要出典|date=2008年4月}}。そのため、現在実施されている試験はそれらの技術を試験する事と、どの状況下のどの程度の干渉が問題であるか測定する事を目的とするものである。「PIMRC 07」のための論文<ref>Performance of Macro- and co-channel femtocells in a hierarchical cell structure", Holger Claussen, Bell Laboratories Alcatel-Lucent, The 18th Annual IEEE International Symposium on Personal, Indoor and Mobile Radio Communications 2007 (PIMRC'07)</ref>で、オルガー・クラウセン(Holger Claussen)はUMTSフェムトセル/マクロセル干渉問題について述べ、干渉を管理するために「自動設定や公衆アクセスなどの必要不可欠な条件」が必要であると結論を下している。この場合「公衆アクセス」は、同じ周波数を使う(すなわち同じ通信事業者の)全ての展開済みフェムトセルは、誰からのアクセスでも認める必要が有るという事を意味する。これと同時に、もし利用者がDSLやケーブルによるバックホール接続の代価を支払っていれば、上位接続問題が有るのは明白である。これは低コスト呼び出しによって相殺できる可能性が有るという事が論文で提案されている。その他の論文<ref>"Effects of user-deployed, co-channel femtocells on the call drop probability in a residential scenario", Lester T. W. Ho, Holger Claussen, Bell Laboratories Alcatel-Lucent, The 18th Annual IEEE International Symposium on Personal, Indoor and Mobile Radio Communications 2007 (PIMRC'07)</ref>でLester T. W. Hoとオルガー・クラウセンは干渉を軽減するためにフェムトセル出力レベルを自動設定するための前提条件を示している。なおクラウセンの最初の論文では、アルゴリズムはマクロセル送信出力の知識を必要とする。それはフェムトセルを中心に(フェムトセルへの見通し距離を)構成する事を通信事業者に要求し、そしてそれはフェムトセルが設置された場所の知識を必要とする。彼の第二の論文では、Lester T. W. Hoはマクロセルとフェムトセル間の切り替えメッセージに起因し増加するネットワーク・トラフィックの問題を強調している。
多くの製造供給元がこの問題に対処するための高度なアルゴリズムを開発したと報じられており、また通信事業者によるモデル化はこれが実行可能である事を示している{{要出典|date=2008年4月}}。そのため、現在実施されている試験はそれらの技術を試験する事と、どの状況下のどの程度の干渉が問題であるか測定する事を目的とするものである。「PIMRC 07」のための論文<ref>Performance of Macro- and co-channel femtocells in a hierarchical cell structure", Holger Claussen, Bell Laboratories Alcatel-Lucent, The 18th Annual IEEE International Symposium on Personal, Indoor and Mobile Radio Communications 2007 (PIMRC'07)</ref>で、オルガー・クラウセン(Holger Claussen)はUMTSフェムトセル/マクロセル干渉問題について述べ、干渉を管理するために「自動設定や公衆アクセスなどの必要不可欠な条件」が必要であると結論を下している。この場合「公衆アクセス」は、同じ周波数を使う(すなわち同じ通信事業者の)全ての展開済みフェムトセルは、誰からのアクセスでも認める必要が有るという事を意味する。これと同時に、もし利用者がDSLやケーブルによるバックホール接続の代価を支払っていれば、上位接続問題が有るのは明白である。これは低コスト呼び出しによって相殺できる可能性が有るという事が論文で提案されている。その他の論文<ref>"Effects of user-deployed, co-channel femtocells on the call drop probability in a residential scenario", Lester T. W. Ho, Holger Claussen, Bell Laboratories Alcatel-Lucent, The 18th Annual IEEE International Symposium on Personal, Indoor and Mobile Radio Communications 2007 (PIMRC'07)</ref>でLester T. W. Hoとオルガー・クラウセンは干渉を軽減するためにフェムトセル出力レベルを自動設定するための前提条件を示している。なおクラウセンの最初の論文では、アルゴリズムはマクロセル送信出力の知識を必要とする。それはフェムトセルを中心に(フェムトセルへの見通し距離を)構成する事を通信事業者に要求し、そしてそれはフェムトセルが設置された場所の知識を必要とする。彼の第二の論文では、Lester T. W. Hoはマクロセルとフェムトセル間の切り替えメッセージに起因し増加するネットワーク・トラフィックの問題を強調している。

2008年10月30日 (木) 12:20時点における版

電気通信においてフェムトセル(femtocell)とは、半径数十m程度のきわめて小さな範囲の携帯電話の通話エリア(セル)、およびその基地局である。フェムトセルの基地局は一般的には住宅や中小企業の環境で使うために設計されており、英語では元来、アクセス・ポイント基地局(Access Point Base Station)として知られている。フェムトセルは(DSLやケーブルなどの)ブロードバンド回線を通してサービス・プロバイダのネットワークへ接続し、現在の設計は住宅向きの設定では通常2台から5台の携帯電話に対応する。フェムトセルは典型的な基地局の機能を内蔵するが、より単純で自己完結した展開を可能にするためそれを拡張する。例えば、UMTSフェムトセルはNode BRNCGSNと、(基幹通信網へ接続する)バックホール回線のためのイーサネットを含む。UMTSに多くの注目が集まるが、その概念はGSMCDMA2000TD-SCDMA、そしてWiMAXソリューションを含む全ての標準に適用可能である。

従来の携帯電話基地局の多くは、半径数百m~十数kmの通話エリアを持っており、その大きさから「マクロセル」と呼ばれている。マクロセル同士の境界領域やビルの奥、地下では電波強度が微弱となり通信しづらい場所が生まれる。このような状況に対して携帯電話ヘビーユーザやこれらの人々を顧客とするサービス業から改善要望が寄せられていた。たとえばNTTドコモでは、これに応えるために「ナノセル」や「ピコセル」と呼ばれる、従来に比べれば小さな通話エリアの小型基地局を設置することで対応してきたが、それでもまだ接続できない小さな場所が残る。フェムトセルはそのような携帯電話事業者のサービス地域を屋内、特にフェムトセルでなければ通話が限られていたり不可能な場所に広げる事を可能にする。

携帯電話会社にとって、フェムトセルの魅力は特に屋内における通話地域と容量の両方が向上する事である。また新しいサービスと経費削減の機会となる可能性も有る。携帯電話会社は通話地域と容量の向上からの利益を得るだけでなく、資本支出営業経費の両方を削減する事もできる。

フェムトセルは固定通信と移動体通信を融合する技術(FMC: Fixed Mobile Convergence)の利点を提供するための代替手段である。殆どのFMCの設計は既存の家庭/企業のWi-Fiアクセス・ポイントと連動する新しい(二重モード)携帯電話機を必要とするという特徴が有る。新しいアクセス・ポイントを設置する必要が有るものの、フェムトセルが普及するまで既存の携帯電話と連動できる。

歴史

2002年、イングランドスウィンドンに有るモトローラ社の技術者達は、新技術を開発するため、「AFG」と呼ばれるskunkworksチームを始めた。彼らの大きな業績としては、世界最小フルパワーUMTS基地局、初めて実演された携帯テレビの一つ、およびアクセス・ポイント基地局(すなわちフェムトセル)の発明と開発が含まれる。当初の設計は、携帯電話(UMTS、CDMA-2000またはWiMAX)ではなく、Wi-Fiアクセス・ポイントに直接相当するものを提供する事を意図していた。その装置は基幹通信網の要素を全て内蔵し、携帯電話の基幹通信網を必要とせず、インターネットまたはWi-Fiの基幹通信網へのデータ通信だけを必要とした[1]

2004年中頃までには、多数の会社が(殆どは「宅内基地局(residential base station)」や「3Gアクセス・ポイント」など別の用語を使っていたものの)フェムトセルを独自に調査していた。[2]

同じく2004年には、フェムトセルに特化した2つの会社がイギリスの企業設立関係局(Companies House[3])で登記された[4](3Way Networks(現在はAirvana, Inc.の一部門)およびUbiquisys)。2005年までには、実演や会議の議論と共にフェムトセルはより広く認識されるようになった。この段階までには、SamsungAirwalkip. AccessおよびRadioFrame Networksという、より定評の有る製造供給元など、さらに多くの会社が関与した。

2007年初めまでに、フェムトセルは主流となり、2月に開催された移動体業界イベント3GSMカンファレンスでは多数の大手企業が実演システムを公開、そして試験が公表された。7月には、世界的にフェムトセルの普及を啓蒙するため、携帯電話会社、通信機器会社と通信ソフト会社、コンテンツ・プロバイダおよび新興企業から成る[要出典]、業界団体フェムト・フォーラムが設立された。フェムト・フォーラムの主な活動は、規則の問題への取り組み、ネットワークと相互運用性、無線と物理層、およびマーケティングとプロモーションという4つの作業部会を通して運営される。

2007年第3四半期には、スプリント・ネクステル(Sprint Nextel)は、「Sprint AIRAVE」の名でサムスン製家庭向けフェムトセル基地局「UbiCell」を、デンバーインディアナポリス、およびテネシーに限定して公開を始めた。「Sprint AIRAVE」はどのスプリント携帯電話機でも通話できた。[5] AIRAVEは2008年8月17日に全国的に展開された。[6]

システム・メーカーと同様に、半導体会社はこのアプリケーションを扱うためにチップ・レベルの製品を発表した。アナログ・デバイセズ社は、picoChip社が彼らのベースバンド デジタル・シグナル・プロセッサにおける重要な商業的な牽引力を要求している間[要出典]RF-IFベースバンドのためのチップ・セットを開発した。

課題

フェムトセルは単刀直入にシステム展開するための解決策になる可能性があるという意見が有るが、克服する必要がある多くの厄介な問題が有る。

干渉

フェムトセルの配置はより広いネットワークの性能に重大な影響を及ぼし、またこれは展開を成功するために対処する主要問題の一つである。

フェムトセルの「下層ネットワーク」固有の周波数帯が無く、あるいはより広いネットワークの中で細心の注意を払った周波数帯計画が無ければ、フェムトセルは酷い干渉問題を被る可能性が有るという問題が有る。例えば、マクロセル・ネットワークから家庭のフェムトセル・アクセス・ポイントへの切り替え(ハンドオーバー)で、考慮に入れなければならない規格に制限事項が定められている。例えば、(2Gおよび3G標準のための)RAN[7] ハンドオーバー・アルゴリズムには、携帯電話端末がどれだけ走査、測定、そして通過できるか、隣接セル・サイトの数(通常16)に制限が有る。さらに、単一周波数CDMAシステムが操作されている場合(マクロセル・ネットワークとフェムトセル・ネットワークが同じ周波数帯を利用する場所、典型的には一つの3G周波数帯だけを許可された多数の通信事業者による状況)、マクロセルとフェムトセルの電力制御アルゴリズムは干渉を起こす可能性が有る。[8] 例えば、携帯電話端末がマクロセル装置の通話地域にいる間に、CDMAシステムに固有の遠近問題に対する電力制御の一部として、携帯電話端末がフェムトセルへの送信電力を増加する場合が挙げられる。マクロセルの場での高出力送信機は周波数が共有されるため結果として干渉者として働きをする。最後に、通話地域の問題が有る。高層の宿泊施設で、別の階に居るフェムトセルの利用者が他の利用者に干渉を起こす可能性が有る。この問題に対して幾つかの部分的な解決策が有るが、しかし主として干渉を防止する唯一の方法は、特にCDMAを展開するため、フェムトセルの通話地域に対して異なった周波数を使う事である。その部分的な解決策は、明らかに性能とのトレードオフが有るが、3G設定パラメータで利用可能なmode-2 fixed power optionを利用する事が含まれる。それは携帯電話端末の出力が増加する事と干渉を引き起こす事を防ぐ。

多くの製造供給元がこの問題に対処するための高度なアルゴリズムを開発したと報じられており、また通信事業者によるモデル化はこれが実行可能である事を示している[要出典]。そのため、現在実施されている試験はそれらの技術を試験する事と、どの状況下のどの程度の干渉が問題であるか測定する事を目的とするものである。「PIMRC 07」のための論文[9]で、オルガー・クラウセン(Holger Claussen)はUMTSフェムトセル/マクロセル干渉問題について述べ、干渉を管理するために「自動設定や公衆アクセスなどの必要不可欠な条件」が必要であると結論を下している。この場合「公衆アクセス」は、同じ周波数を使う(すなわち同じ通信事業者の)全ての展開済みフェムトセルは、誰からのアクセスでも認める必要が有るという事を意味する。これと同時に、もし利用者がDSLやケーブルによるバックホール接続の代価を支払っていれば、上位接続問題が有るのは明白である。これは低コスト呼び出しによって相殺できる可能性が有るという事が論文で提案されている。その他の論文[10]でLester T. W. Hoとオルガー・クラウセンは干渉を軽減するためにフェムトセル出力レベルを自動設定するための前提条件を示している。なおクラウセンの最初の論文では、アルゴリズムはマクロセル送信出力の知識を必要とする。それはフェムトセルを中心に(フェムトセルへの見通し距離を)構成する事を通信事業者に要求し、そしてそれはフェムトセルが設置された場所の知識を必要とする。彼の第二の論文では、Lester T. W. Hoはマクロセルとフェムトセル間の切り替えメッセージに起因し増加するネットワーク・トラフィックの問題を強調している。

3GPP会議は次のように報告した: 「これまで調査された範囲に対して、公開アクセス用に同一チャネルで配置する事は実現可能である。非公開アクセスについては、これまで行われた分析では、もし適応可能な干渉緩和技術が使われるなら同一チャネルで配置する事は実現可能である、という事を示している。マクロ層における HNB(Home NodeB)性能と影響の間のトレード・オフを要約するために、また許容できるトレード・オフを特定できるかどうか決定するために、追加研究が必要である。」[11]

多くの会社[12]は、測定、同期、および近所の基地局の隣接リストを作成するため、無線端末(UE: User Equipment)としてフェムトセルを使う手法を使っている。この情報から、既存のインフラストラクチャに干渉する事を避けるために、出力、拡散符号およびその他の要素は決定し解決する事ができる。

帯域

アクセス・ポイント基地局は認可された帯域で作動する事が重要である。手数料方式で通信事業者へ帯域割当てが認可される時、設備の配置は免許の厳格な要求を満たさなければならない。帯域を最も有効に利用するため、通信事業者は周波数および与えられた周波数の量で最大限カバーするように最適化するセル(通話区画)計画ツールを利用する。想定外の場所に位置するアクセス・ポイント基地局は他の緊密に位置する基地局に干渉する可能性が有るため、顧客へ直接販売され認可された帯域を使うアクセス・ポイント基地局の採用は、周波数とセル計画に影響が有る。

アクセス制御

近くの携帯機器がもう一つの近くのフェムトセルを使っているネットワークに接続する時に何が起こるか、また未然に防止できる方法に関連する問題もまた有る。

合法的傍受

アクセス・ポイント基地局は、他の全ての公共通信システムと同様に、殆どの国で合法的傍受(Lawful interception)の基準に適合する事が必要とされる。

設備の位置

その他、通信事業者が各基地局の位置を正確に示せる事、および設備が登録された位置を救急隊に提供するE911要件に関する規制の課題[13]は、殆どの国の要件に関連している。例えば、家庭に設置するため顧客に販売されたアクセス・ポイント基地局の設置場所に関わる問題が有る。さらに、ある顧客は認可されていない国に基地局を運ぼうとする可能性が有る。設備が別の国へ移動された時にフェムトセルを動作しないようにするため設備に内蔵したGPSを使っているメーカー(Ubicell参照)が有るが[14]、弱い信号のため、すなわち屋内でGPSはしばしば場所を得る事ができなくなるため、この手法には議論が有る。

ネットワーク統合

運用または配置の観点から、ネットワーク統合の分野は考慮する必要が有る重要分野の一つである。従来のセルラーネットワークは相対的に少数(数千、数万)の基地局に対応するように設計されており、数百万もの民生アクセス・ポイントの無線フェムトセルの展開は、この規模に対応するためには異なったアーキテクチャを必要とする。同一チャネルでマクロセル/フェムトセルを配置する結果として、通信量が増加する問題はLester T. W. Hoとオルガー・クラウセンの論文によって議論されている。[15]

緊急通報

アクセス・ポイント基地局が音声通話を伝えるようになってから、米国ではアクセス・ポイント基地局にもVoIP電話事業者と同様に、911(または999、または112)緊急サービスを提供する事が必要とされている[16]。このサービスは現在の有線電話システムと同様の利便性に関する要求を満たさなければならない。既存の電話回線への代替機能や予備電源など、これを達成する方法が幾つか有る。

サービス品質

イーサネットADSLの家庭用バックホール接続を利用する時、アクセス・ポイント基地局は一般にインターネット・ブラウジング、ゲーム・コンソール、セットトップボックス、およびtriple-play装置など、その他のサービスと同時に上位接続の帯域幅を共有するか、または代わりに統合装置でこれらの機能を直接入れ替える必要が有る。現在開発されている設計の主流である帯域幅を共有する手法は、サービス品質(QoS: Quality of Service)上の影響が問題となる可能性が有る。

帯域精度

FCC/RAスペクトルマスク要求を満たすために、アクセス・ポイント基地局は高精度(典型的には約10億分の50(ppb: parts-per-billion)以上)にRF信号を発生させなければならない。この精度を満たしてから恐らく12ヶ月より長期間に渡り恒温槽付水晶発振器(OCXO: Oven Controlled Xtal Oscillator)を必要とするので、長期間これを行う事は大きな技術的挑戦である。これらの発信器は一般的に大型で高価であり、まだ12ヶ月から24ヶ月の期間で較正を必要とする。より廉価な温度補償水晶発振器(TCXO: Temperature Compensated Xtal Oscillator)の使用は6ヶ月から18ヶ月の期間だけに渡り正確さを提供する。どちらも多くの要因に依存する。

精度を維持するこの問題の解決法は、18ヶ月の期間の後に使い捨て/取り替え可能な装置を作る事でシステム維持費用を低く維持するか、あるいは発信器の正確さが維持されている事を保障するため、発信器を絶えず調整するために外部の正確な信号を使う事である。これは単純な問題ではないが(ブロードバンドのバックホール回線はネットワークの揺れ(ジッター、ワンダー)や回復のクロック精度の問題を取り込む)、しかしIEEE 1588時刻同期標準などの技術がその問題を扱うであろう。マスタークロックの位置に依っては、100ナノ秒の精度(標準偏差)を提供する可能性が有る[17]Network Time Protocol(NTP)もまた周波数の安定性を提供するための実現可能な解決策として一部の開発者によって追求されている。従来(マクロセル)の基地局は同期のためにGPSのタイミングを頻繁に使い、そして発信機の調整にこれを使う事ができる。[18] しかしながら家庭内のフェムトセルについては、費用と良好なGPS対応地域を確実にする事の困難さに懸念が有る。

標準化団体はこの挑戦および装置費用上の意味合いを認識していた。たとえば、3GPPはRelease 6で屋内基地局の精度を50ppbから100ppbに緩和し、Release 8の「Home NodeB」のためさらに250ppbへ緩和する事を提案した。

ハンドオーバー

利用者がシステムから最適なデータ信号速度を確実に得るため、携帯機器はフェムトセルの領域内に居る場合には、たとえ外部のマクロセル基地局から十分な信号が有っても、フェムトセルに接続する事を何らかの方法で知る必要が有る。近くの携帯機器が同じようにするのを防いでいる間に、利用者の携帯機器にこれをする事を強いる事は相当困難である。さらに、フェムトセルからより広域のマクロセルへのハンドオフとまたその逆のハンドオフは潜在的に極めて複雑である。

エアー・インターフェース(Air Interface)

商業的な焦点の多くはUMTSに有ったようだが、その概念は全てのエアー・インターフェースに等しく適用できる。実際に、初の商用の配置はcdma2000 Airaveである。[19] フェムトセルは同様にGSMTD-SCDMAWiMAXおよびLong Term Evolution(LTE)のために開発が進められている。LTE研究委員会(SG: Study Group)は重点領域としてフェムトセル(Home eNode B)を認定した。

アーキテクチャ

Home Node B(HNB

2008年5月、3GPPはフェムトセル・ネットワーク・アーキテクチャの実現可能性について検討を完了した。Cellular Base Station'Collapsed StackおよびUMA[20]/GAN[21]を含むアーキテクチャが評価された。結果として、3GPPはCollapsed StackとUMA/GANの両手法の要素に基づく新しいHome Node B(またはHNB)参照アーキテクチャを追求している。

2008年末に向けて3GPPが正式な標準を完成する時、製造供給元と通信事業者が3Gフェムトセルのためこの新しいアーキテクチャに対応するため移行するだろう。

3GPPは3GフェムトセルをHome Node B(HNB)と呼ぶ事に注意する事。


ピコセル

従来の基地局アーキテクチャを用いる事は、フェムトセルに対する一つの手法である。この場合、フェムトセルは基地局であり、標準インターフェースを用いて基幹通信網へ接続する。例えば、WCDMA Node Bはバックホール接続(Iub)を経由しRNCへ接続する。典型的な基地局の配置とのわずかな違いは、バックホールが品質とセキュリティが懸念されるブロードバンド越しに運ばれる(「Iub over IP」)という事である。このアーキテクチャのより深刻な欠点は、標準に基づく基地局制御器は限られた数だけの大容量基地局に対応するために設計され、多数の単純な基地局に対応するものではないという事である。このアーキテクチャは、以前は文字通りpicocell配置と呼ばれ、非常に多くの小型pico-head基地局に必要なサポートを提供するため基地局制御器が導入されるものである。

崩壊したスタック(Collapsed Stack)

より一般的なアーキテクチャは、基地局("崩壊したスタック"または"基地局ルータ")の中に一部のネットワーク機能性を集約し、基地局自身(Node BまたはBTS[22])だけでなく制御器(例えばRNC[23])も、ローカルの無線資源制御を可能とする。これはその後より高い点、例えば中央の認証と管理のためのWCDMA用Iuインターフェースで、携帯電話会社の基幹ネットワークへ接続するであろう。これは、資源が局所的に位置している時に、上記の拡張性の懸念を扱う。元のアクセス・ポイント基地局はこのアーキテクチャに従ったが、認証、制御、および切り換えの基幹MSC(Mobile Switching Center: 移動交換局)/GSN(GPRS Support Node)機能も取り入れた。

UMAバックホール回線を備えた崩壊したスタック

上記の変形は、GAN/EGAN Unlicensed Mobile Access(UMA)標準を使う事である。この場合、UMA/GANクライアントはフェムトセルの中に統合される。UMA/GANプロトコルは、Luプロトコルでトンネリングし、移動体通信の基幹ネットワークへの接続を提供する。この手法はUMA/GANに既存のセキュリティ、転送およびデバイス管理能力を用いる。

フェムトセルの向こう側のアプリケーションに対応するため、二重モード携帯電話機/Wi-Fiまたはターミナルアダプタの固定回線VoIPを含めて、UMAネットワーク制御器への投資にレバレッジ効果を効かせるため、UMA/GANは通信事業者にとって魅力ある選択肢である。

UMAクライアントが装置に統合されている場合、UMAに基づくフェムトセルの手法は、二重モード携帯電話機の手法と異なる。以前のシステムでは端末は影響を受けない。そしてエアー・インターフェースはまだ標準である。UMAクライアントはフェムトセルに組み込まれている。

SIP or IMS

最終的に最も洗練された構造は完全にIPに基づくアーキテクチャへ移る事である。この手法は当初のアクセス・ポイント基地局で利用された。この場合、より多くの機能性がフェムトセルに含まれ、そしてコアへの統合がIPに基づく技術、例えばSIPIMSまたはH.323を用いて行われた。

展開

米国において、現在最も重要な展開はスプリントによるものである。どのスプリント携帯電話機でも通話できる、Sprint AIRAVEと呼ばれるサムスン製家庭向けフェムトセルの(デンバーとインディアナポリスに)限定した公開が、2007年第三四半期に始まった。[24] 2008年8月17日現在、Airaveは全国的な規模で公開された。

日本においては、NTTドコモが設置希望者の要望に基づいて2007年秋頃よりフェムトセルの設置を始めた[25]。監督官庁である総務省も携帯電話の基地局設置を規制している省令の改正を予定している事を2007年11月10日に公表した。2008年秋には新しいフェムトセルが登場する予定である。

その他に、O2[26]、ソフトバンク[27]、TeliaSonera[28]およびVodafone[29]など、多くの通信事業者が2008年に実地試験を行う意向を表明した。

2008年は主として実地試験が緩やかに始まり、2009年には商用サービスが始まるだろうと、殆どのアナリストの意見は一致している。[30] [31]

日本におけるフェムトセル事情

関連省令改正の予定

現在は省令によって、携帯電話の無線基地局の設置にはそれぞれ1局ごとに総務省の免許取得が必要とされ、携帯電話事業者によって申請されなければならない。また、基地局は携帯電話事業者の持ち物であり、設置工事もこの携帯電話事業者から工事資格を持った担当者が派遣されて行なうことになっている。今後この省令が改正される予定と公表されている。予定通り、関連省令が改正され規制が緩和されれば、希望する個人や会社が家電販売店などで小型の基地局を購入して設置できるようになる[32]。報道によれば総務省の予定では、無線基地局は10万円程度で2008年の秋頃をめどに販売される[33]

将来の実施案

回線
現在のマクロセル基地局の大半はAsynchronous Transfer Mode (ATM) 専用線で接続されているが、フェムトセルの基地局では現実的にFTTHADSLによるブロードバンド回線によって接続することが考えられている。すでに設置が開始されているNTTドコモでのフェムトセル基地局はIP専用線を使って接続している。これは現在の法律が専用線の使用を規定しているため。
盗聴・漏話
インターネットによる公衆回線を使う場合は、IPsecによる暗号化・トンネリング技術を利用して盗聴などのリスクを避ける予定である。
停電
現在の携帯電話基地局は、停電時にも一定の時間サービスが維持できるようにバッテリーや非常用発電機が備えられているが、新しいフェムトセルの基地局ではこれらの制約も解除される予定である。
機器の販売と設置
携帯電話事業者は新しいフェムトセルの基地局を、ブロードバンドルーターやADSLモデム、無線アクセスポイントとの一体製品として、携帯電話販売代理店や家電量販店より、1台数万円程度で販売されることを考えている[32]。また11月10日の報道では総務省の予定ではNTTドコモからは10万円程度での販売としている。
緊急通話
緊急通話については不明。停電時のバックアップ電源の設置義務がなければ、考慮されても限定的となる。
排他利用
携帯電話事業者は狭い電波覆域という特性から、場所を限定したコンテンツのサービス・ビジネスを考えている。レストランのクーポン券配布や会社での業務連絡である。会社の業務連絡などの場合には、利用者を限定することも考えている。

新フェムトセルのメリット

既にNTTドコモによって開始されている従来型のマクロセル基地局に対して、新しいフェムトセル基地局が実施された場合のメリットを示す。

  • 通話圏外の解消・減少
  • データ通信時の通信速度の向上
  • 通話料金の割引(総務省の見込み)
  • 携帯電話事業者の投資負担の軽減[32]

計画中の携帯電話事業者

  • NTTドコモ - 計画中
NTTドコモとソフトバンクモバイルは既に商品化のための機器を開発中[32]
ソフトバンクモバイルは2007年6月29日に総務省より2007年6月~12月の期間の無線実験局の免許を取得した[34]。ベンダー8社が参加した実証実験を2007年の6月から行い、英アイピー・アクセス、英ユビキシス、米モトローラの小型基地局での利用実験をメディアに公開した。
  • KDDI(au) - 検討中
KDDIでは、フェムトセルの研究はしているが、様々な問題から採用には消極的な姿勢を見せている[35]


出典および脚注

  • 日経NETWORK 2007年11月号
  1. ^ Motorola Swindon Labs BTS500D Concept Document
  2. ^ Disruptive Wireless
  3. ^ 登記を管轄する行政法人
  4. ^ Companies House File Numbers 05213514 and 05247998, respectively
  5. ^ Airave
  6. ^ Sprint AIRAVE Nationwide Launch August 17
  7. ^ (Radio Access Network、無線アクセス・ネットワーク)
  8. ^ "Uplink Capacity and Interference Avoidance for Two-Tier Femtocell Networks", Vikram Chandrasekhar and Jeffrey G. Andrews
  9. ^ Performance of Macro- and co-channel femtocells in a hierarchical cell structure", Holger Claussen, Bell Laboratories Alcatel-Lucent, The 18th Annual IEEE International Symposium on Personal, Indoor and Mobile Radio Communications 2007 (PIMRC'07)
  10. ^ "Effects of user-deployed, co-channel femtocells on the call drop probability in a residential scenario", Lester T. W. Ho, Holger Claussen, Bell Laboratories Alcatel-Lucent, The 18th Annual IEEE International Symposium on Personal, Indoor and Mobile Radio Communications 2007 (PIMRC'07)
  11. ^ 3GPP TR 25.820 V1.0.0 (2007-11)
  12. ^ http://www.picochip.com/downloads/PC8209ProductBrief.pdf
  13. ^ FCC requirements for 911 provision by VoIP providers
  14. ^ Hands on with the Samsung Ubicell
  15. ^ "Effects of user-deployed, co-channel femtocells on the call drop probability in a residential scenario", Lester T. W. Ho, Holger Claussen, Bell Laboratories Alcatel-Lucent, The 18th Annual IEEE International Symposium on Personal, Indoor and Mobile Radio Communications 2007 (PIMRC'07)
  16. ^ FCC requirements for 911 provision by VoIP providers
  17. ^ IEEE-1588 Standard for a precision clock synchronization protocol
  18. ^ Hands on with the Samsung Ubicell
  19. ^ Sprint Customers in Select Areas of Denver and Indianapolis Get AIRAVE for Enhanced In-Home Coverage
  20. ^ Unlicensed Mobile Access
  21. ^ Generic Access Network
  22. ^ BaseTransceiver Station
  23. ^ Radio Network Controller
  24. ^ Airave
  25. ^ NTTドコモ「フェムトセル用超小型基地局装置を開発」
  26. ^ O2
  27. ^ Softbank
  28. ^ TeliaSonera
  29. ^ Vodafone
  30. ^ 100,000 Femtocells Will Ship in 2008, But 2010 Will Be the Year of Real Volume, says ABI Research
  31. ^ Network World: interview with Motorola VP GM Alan Lefkof
  32. ^ a b c d 日本経済新聞 2007年11月4日 朝刊
  33. ^ NHK TVニュース11月10日15時
  34. ^ ソフトバンクモバイル「フェムトセルを使った通信システムのの無線実験局免許の取得について」
  35. ^ 問題点を知っているからフェムトセルには消極的――KDDI - ITmedia +D モバイル

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追加情報

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