「エマニュエル・レヴィナス」の版間の差分

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2008年10月8日 (水) 06:39時点における版

レヴィナス

エマニュエル・レヴィナスEmmanuel Lévinas1906年1月12日 - 1995年12月25日)は フランスユダヤ哲学者・タルムード学者。リトアニア出身。

現象学実存主義ユダヤ思想を背景にした独自の倫理学思想を展開した。

思想

フッサールの現象学とハイデガーの『存在と時間』から出発した。ハイデガー的な暴力的な存在論を排し、非暴力的な存在論の構築を目指して、『全体性と無限』を著す。しかし、デリダの『暴力と形而上学』(『エクリチュールと差異』所収)によって批判され、もう一度倫理-存在論を構築することを目指す。その結果書き上げられたのが、『存在するとは別の仕方であるいは存在することの彼方へ』である。レヴィナスは暴力的でも非暴力的でもない、全く別の倫理-存在論、むしろ倫理-存在論ではない倫理-存在論を構築した。

レヴィナスにおいて倫理学は、私と他者の関係、「他者論」として構築される。その前提となるのは、ある(il y a)、(visage)という「存在者」の現前である。そこには存在(être)と所有(avoir; il y a の a は avoir の変化形である)を結ぶ独自な志向がある。

「存在者」は動的な仕方で「私」に対して現前し、名を持ち、実詞化する。このような存在者は名をもたない抽象的な「存在」(être)とは区別される。名をもった「存在者」は、「他者」(l'autre)として倫理学の課題とされる。他者はそれ自体で自存する。レヴィナスにとって暴力とは否定の一種である。また所有は対象の自存性を否定するため、暴力的である。了解は一種の所有であるため、また暴力的なものである。

私が倫理的に他者に対してふるまう限り、私は他者への了解を課題とする。その限りで、私は他者に対してつねに暴力的な関係を結ばざるを得ない。他者とは絶対的に私とは同化されえないもの(存在者)、所有されえないものとしてある。したがって、私が他者を他者として了解するとき、そこには必ず私の了解しえないものが存している。つまり、他者が他者であることをやめることは、ただその死・他者が存在者であることをやめることによってのみ可能である。

すなわち、他者の否定とは殺人としてのみ可能となる。「他者は私が殺したいと意欲しうる唯一の存在者なのである」。そして私は他者を殺しうる。しかし、それは他者の顔と対面しないときにおいてのみ可能となる。殺人への誘惑、他者の否定への誘惑は同時に顔の誘惑でもある。存在の拓けのなかで出会われる「顔」を人は殺すことができない。そしてそのような対面は言葉・言説において可能となる。

著作

  • La théorie de l'intution dans la phénoménologie de Husserl (1930)
  • De l'évasion (1935)
  • De l'existence à l'existant (1947)
  • En découvrant l'existence avec Husserl et Heidegger (1949)
  • Totalité et Infini (1961)
  • Difficile Liberté (1963)
  • Quatre lectures talmudiques (1968)
  • Humanisme de l'autre homme (1972)
  • Autrement qu'être ou au-delà de l'essence (1974)
  • Du sacré au Saint (1977)
  • De Dieu qui vient à l'idée (1982)
  • L'Au-delà du verset (1982)
  • Entre nous (1991)
  • Les Imprévus de l'histoire (1994)
  • Altérité et transcendance (1995)
  • Nouvelles lectures talmudiques (1996)

関連思想家

関連項目

作曲家およびピアニストミカエル・レヴィナスは、エマニュエル・レヴィナスの息子である。

  • ラジオ・インタビュー音声[[1]]