「レイヤ3スイッチ」の版間の差分
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==L3スイッチの動作== |
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L3スイッチは、L2スイッチ([[スイッチングハブ]])から派生したもので、その処理ロジックはルーターよりもL2スイッチに似ている。一部の動作モードを除き、L2スイッチがEthernetフレームのヘッダのみをスキャンして[[MACアドレス]]を元にMAC[[テーブル]]を作成し、フレームをフォワードするのに対し、L3スイッチでは主に'''FDB'''('''F'''orwarding '''D'''ata'''B''' |
L3スイッチは、L2スイッチ([[スイッチングハブ]])から派生したもので、その処理ロジックはルーターよりもL2スイッチに似ている。一部の動作モードを除き、L2スイッチがEthernetフレームのヘッダのみをスキャンして[[MACアドレス]]を元にMAC[[テーブル]]を作成し、フレームをフォワードするのに対し、L3スイッチでは主に'''FDB'''('''F'''orwarding '''D'''ata'''B'''ase:後述)と呼ばれるテーブルで3層とMACおよび物理[[ポート番号]]を統合して管理する。 |
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==L3スイッチ出現の契機== |
==L3スイッチ出現の契機== |
2008年3月27日 (木) 01:23時点における版
レイヤ3スイッチ(L3スイッチ)とは、ネットワークの構成機器で、主にLANの中核を構成する機器。OSI参照モデルにおけるネットワーク層(レイヤ3)データの転送処理を主な機能とする。
同様にレイヤ3機器であるルーターとは機能的に重複する部分が多く、従来、L3スイッチとルーターの違いは、ルーターが各種の低速回線インターフェースを構成可能なことに対し、L3スイッチはEthernetのインターフェースのみ持つとされていた。しかし、レイヤ3スイッチの多機能化に伴い、レイヤ3スイッチにおいても、レイヤ3同士のプロトコル変換、または、レイヤ3-レイヤ2のプロトコル変換機能が実装されるようになり、両者の明確な違いは曖昧になりつつある。現状においては、レイヤ3プロトコルの処理を主にハードウェア(もしくはそれに準ずるFPGA)で処理するものがレイヤ3スイッチ、主にソフトウェアで処理するものをルーターと分類する傾向にある。
L3スイッチの動作
L3スイッチは、L2スイッチ(スイッチングハブ)から派生したもので、その処理ロジックはルーターよりもL2スイッチに似ている。一部の動作モードを除き、L2スイッチがEthernetフレームのヘッダのみをスキャンしてMACアドレスを元にMACテーブルを作成し、フレームをフォワードするのに対し、L3スイッチでは主にFDB(Forwarding DataBase:後述)と呼ばれるテーブルで3層とMACおよび物理ポート番号を統合して管理する。
L3スイッチ出現の契機
1996年頃始めまでは、ルーターの天下であった。ルーター販売事業は、枯れて価格のこなれた安定したパーツにより、大きな収益を上げていた。当時主流のルーター用のメモリは、デスクトップPCが10ns(ナノ秒)のSDRAMに置き換わった時期であるというのに、60nsのFPM(Fast Page Mode)であった。しかも、運用中のルーターの動作不良の多くが、このメモリとメモリソケットの接触不良によるものだった。
2年以上無停止で運用されたルーターは、メモリソケットの端子が埃で腐食し、再起動ができなくなる障害により交換となった。そういったルーターの運用難点が露呈してきた頃、128MBのSDRAMをオンボードで実装し、専用設計の高速ASICと数倍高速になったCPU、柔軟なVLAN構成設定を掲げて、L3スイッチは登場した。ルーターの内部遅延が20ms(ミリ秒)とされていた頃に、L3スイッチの内部遅延は1ms以下であった。
FDB(Forwarding DataBase)
L3スイッチのL3スイッチたる所以が、このFDBにあるといっても過言ではないだろう。通常のL3機器では、経路情報とARP情報が別々のテーブルにて管理されるが、L3スイッチにおいては、このFDBにより経路情報とARP情報が一元管理される。以下に簡略したものではあるが例を示す。
- ルータの経路情報
宛先ネット マスク 次ノード 10.0.0.0 255.0.0.0 192.168.0.1 172.16.0.0 255.255.0.0 192.168.0.2 0.0.0.0 0.0.0.0 192.168.0.3
- ルータのARP情報
IPアドレス MACアドレス インターフェース 192.168.0.1 00:00:C0:11:11:11 FastEthernet0/0 192.168.0.2 00:00:C0:22:22:22 FastEthernet0/1 192.168.0.3 FF:FF:FF:FF:FF:FF Serial0/0
- L3スイッチのFDB
宛先ネット マスク 次ノード MACアドレス ポート 10.0.0.0 255.0.0.0 192.168.0.1 00:00:C0:11:11:11 1 172.16.0.0 255.255.0.0 192.168.0.2 00:00:C0:22:22:22 9 0.0.0.0 0.0.0.0 192.168.0.3 00:00:C0:33:33:33 17
ルータの場合は、1.受信フレーム内のIPヘッダから送信先のIPアドレスを抽出した後、2.経路情報を参照して次ノードを決定し、3.ARP情報を参照して送出インターフェースの決定とフレームヘッダのMACの書き換えをおこなう。
L3スイッチでは、1.受信フレーム内のIPヘッダから送信先のIPアドレスを抽出した後、2.FDBを参照して送出ポートの決定とフレームヘッダのMACの書き換えを行う。
この1手差の違い(鮨職人は身に摘まされるだろうが)と高速なASIC、速いメモリの組み合わせが、ワイヤースピードルーティングを可能にしたのである。
高速ASIC
まず、通信用のASICは、必ずしも最先端の製造技術に拠るものではないのが業界の常である。通信機器の動作はASICの能力に大きく依存するため、旧来の設計手法の常識を外れてよほど大胆な設計をしない限り、ドラスティックな動作速度の向上は望めないものである。1996年頃の通信機器のASIC製造は0.5umプロセスがあたりまえのように使われ、パッケージも旧式のQFPであった。
最初のL3スイッチが出現した1998年当時、最も製造プロセスの進んでいるCPUは、0.25umプロセスラインでの製造が終わろうとしており、次の0.18umプロセスでの大量生産が計画されていた。
このような状況下で、Altera社やXilinx社を始めとするセミコン開発設計装置メーカーが数々のチャレンジを行った結果が、L3スイッチで採用された新世代の通信ASICである。おりしも、パソコン用チップセットや画像処理チップとして、0.25umプロセス+BGAパッケージが主流になって来ており、韓国や台湾での製造ボリュームも大きくなってきていて、充分なスケールメリットが得られる状態であった。
現在では、2000年頃のL3スイッチで使われたASICが、家庭用のブロードバンドルータに使われている。これは、L3スイッチのサブセットに、パソコン向けの機能を追加したものである。(ISDNを収容できるYAMAHA製品については異なる。)
主なL3スイッチ製品とベンダ
- OmniSwitch Series / Alcatel
- CentreCOM Series / Allied Telesis
- Catalyst Series / Cisco Systems
- BlackDiamond, Alpine, Summit Series / Extreme Networks
- TeraScale, EtherScale Series / Force10 Networks
- BigIron, FastIron Series / Foundry Networks
- GS Series / Hitachi
- Apresia Series / Hitachi Cable
- Passport Series / Nortel