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機材の自作も行う。有名なのはハーネスと彼が呼んでいたラックでアンプとスピーカーの間に挟んで使用していた。ハーネスは彼の説明によると市販のパワーアッテネーターとは違い、アンプの音質を一切損なうこと無くボリュームを下げることが出来るとしていた。つまり自作とともに回路の設計も行っていた訳だ。このことからもどういう音が欲しいのかを彼なりに論理的に思い描いているということは言える。
機材の自作も行う。有名なのはハーネスと彼が呼んでいたラックでアンプとスピーカーの間に挟んで使用していた。ハーネスは彼の説明によると市販のパワーアッテネーターとは違い、アンプの音質を一切損なうこと無くボリュームを下げることが出来るとしていた。つまり自作とともに回路の設計も行っていた訳だ。このことからもどういう音が欲しいのかを彼なりに論理的に思い描いているということは言える。


ハーネスもそうだが、完全にフラットなフィンガーボードや対称のポールピースを持ったピックアップ、ストラップピンをネックの延長上に取り付けるなど、彼の説明では周囲が理解出来ないようなこだわりも多く有る。確かにスペックとしては試行錯誤で彼が一般化させたものはかなりなところだろう。
ハーネスもそうだが、完全にフラットなフィンガーボードや対称のポールピースを持ったピックアップ、ストラップピンをネックの延長上に取り付けるなど、彼の説明では周囲が理解出来ないようなこだわりも多く有る。確かにスペックとしては試行錯誤で彼が一般化させたものはかなりなところのものだろう。


==外部リンク==
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2007年6月5日 (火) 08:21時点における版

アラン・ホールズワースAllan Holdsworth1946年8月6日 生まれ)はイギリスギタリスト。主にロックおよびジャズフュージョン界で活躍。卓越した技巧を持ち、個性的な演奏を聴かせる。

略歴

イギリス・ウェスト・ヨークシャー出身。1969年にイギンボトムのギタリストとしてデビュー。その後、イアン・カーズ・ニュークリアステンペストソフト・マシーンニュー・ライフ・タイムゴングなどといったプログレッシブ・ロックジャズ・ロックのバンドを渡り歩いて名声を高め、1978年にはプログレ界の大物が集ったU.K.に参加した。しかしU.K.もアルバム1枚で脱退する。

1980年代からはソロ・アーティストとして順調にアルバムを発表するようになる。音楽的にはフュージョンに分類されるが、数多いギタリストの中でも屈指の高度な技巧を存分に発揮し、今日までジャンルに関わらずミュージシャンズ・ミュージシャンとしてその名を広く知らしめるようになった。また、2003年にはソフト・ワークス(ソフト・マシーンの元メンバーによるバンド)でも活動。

演奏スタイル

大きな手と長い指で弦を押さえる独特のコード・ボイシングは彼の専売特許といわれ、一番の個性となっている。これは彼がジャズ・ギターの複雑なコードをコピーする際に、彼自身の解釈でピアノのボイシングで弦を押さえたのがきっかけだったといわれている。それというのも彼の父親はプロではなかったがピアニストであり、幼いころから父の弾くピアノのコード音に感銘していたかららしい。(エディ・ヴァン・ヘイレンがライトハンド奏法を始めたのは、ホールズワースの曲をコピーしたときに、左手の指が届かない音を右手の指でカバーしたのがきっかけだったといわれている。尚、エディは風呂場でギターを弾いていた際に、どこまでも伸びていく架空の小指をイメージしたという。)隣接する弦への移動が少ないのも特徴で、このテクニックはスキッピングと呼ばれる。80年代以降はそうした技術面にようやくまわりの認識が追いついたが、彼はこのテクニックを殆ど其の活動の初期から用いていたようである。

また、出来る限りピッキングの音をさせずまるで息を吹き込むようにレガートにフレーズを弾くのも特徴のひとつであり、彼独特の透明感や浮遊感を醸し出している。(初期の演奏では比較的ピッキングを多用している。)左手はハンマリング・オン中心で、プリング・オフをほとんど使用していないが、これもレガートなフレージングを実現するためである。 プリング音が嫌いなのはプリングした際にでる、猫の鳴き声のような音(プリングノイズ)が気に入らないからとのこと。ポジションも頻繁にチェンジする。レガートに弾いているのは事実であるがスキッピング、ポジションチェンジや複雑なスケーリング、アルペジオなどの組み合わせで単純に目で見たからといって一概には解読不能な演奏を展開している。

彼はインタヴューの中で「指板上の運指のイメージから新たな音階を発想する」と言った事があり、この事は、彼の音楽的発想の特長と独自性を示すものである。 新たなスケールの着想が得られた場合はカードにメモを取るらしく、そうしたカードのストックは膨大らしい。

また彼は機材に対する探究心も旺盛で、初期の頃から市販品に彼独自のアイデアによる改造を盛り込んだギターを使用していた。現在主流であるストラトタイプのボディにフラットなフィンガーボードと太いフレット、ハムバッキング・ピックアップを搭載するなどの改造は彼のアイデアが大元であると言われる。ピックアップはパッシブタイプの比較的出力の低いハムバッカーを用いるが、彼がセイモア・ダンカンに造らせたモデルは螺子に成ったポールピースが両側に並ぶ独特の構造であり、彼によるとそうすることにより偏りの無い音が得られると考えているらしい。其のモデルの市販品は4芯だったが、彼が愛用しているのは2芯シールドと呼ばれるタイプ。アンプもいろいろなタイプを試しているが、音的に優れているが動作が不安定な真空管式には一定して否定的であるようだ。(現在はヒュースアンドケトナー製のデジタルコンボを使用している。)これは彼の行う音作りには合っている部分もあり、それというのもアナログ機材しか存在して居なかった時代から意図的に低域をカットしたようないわゆるホーンライクな音作りが好みであるということもあり、デジタル機材特有の低域不足も気にならない為ということが考えられる。

機材の自作も行う。有名なのはハーネスと彼が呼んでいたラックでアンプとスピーカーの間に挟んで使用していた。ハーネスは彼の説明によると市販のパワーアッテネーターとは違い、アンプの音質を一切損なうこと無くボリュームを下げることが出来るとしていた。つまり自作とともに回路の設計も行っていた訳だ。このことからもどういう音が欲しいのかを彼なりに論理的に思い描いているということは言える。

ハーネスもそうだが、完全にフラットなフィンガーボードや対称のポールピースを持ったピックアップ、ストラップピンをネックの延長上に取り付けるなど、彼の説明では周囲が理解出来ないようなこだわりも多く有る。確かにスペックとしては試行錯誤で彼が一般化させたものはかなりなところのものだろう。

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