河辺石
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イットリウム河辺石(いっとりうむこうべせき、Kobeite-(Y))は、1950年に発表された日本産新鉱物で、京都大学の鉱物学者田久保實太郎などにより、京都府の旧河辺村(現在の京丹後市大宮町河辺)から発見された[1]。発見地の地名から命名された。
化学組成は(Y,U)(Ti,Nb)2(O,OH)6 と発表されたが、確定はしていない。形態からは単斜晶系かとされるが、ウランを含むことによるメタミクト化のため、晶系は決定されていない。規則により、学名には主要な希土類元素である -(Y) を付ける。ほとんど長石中に埋もれるように産出する。
晶系については加熱による結晶状態の復元が試みられ、1961年には益富壽之助、長島乙吉、加藤昭により900℃で1時間加熱により等軸晶系と解釈されるX線回折パターンが検出され、ジルコノ石(CaZrTi2O7)との類縁関係が推測された[2]。その後、2019年には宮脇律郎、加藤らにより、1150℃まで加熱するとジルコノ石の三方晶系ポリタイプの回折パターンに合致すると報告され、河辺石はジルコノ石の希土類元素置換体として、[(Y,Ca)Zr(Ti,Fe3+)2O7、理想式はYZr(TiFe3+)O7]と再定義されると主張された[3]。
脚注
[編集]- ^ 田久保實太郎, 鵜飼保郎, 港種雄「含稀元素鑛物の研究(其の 11) : 京都府中郡河邊村白石産河邊石」『地質学雑誌』第56巻第663号、日本地質学会、1950年、509-513頁、doi:10.5575/geosoc.56.509、ISSN 0016-7630、NAID 110003012197。
- ^ KAZUNOSUKE MASUTOMI, KOZO NAGASHIMA, AKIRA KATO (1961). “KOBEITE FROM THE USHIO MINEKYOTO PREFECTURE. JAPAN AND RE-EXAMINATION OF KOBEITE”. Mineralogical Journal (日本鉱物科学会) 3 (3): 139-147. doi:10.2465/minerj1953.3.139 .
- ^ 宮脇律郎, 志村俊昭, 門馬綱一, 松原 聰, 加藤 昭 (2019) 河辺石の再定義に向けた再検討、日本鉱物科学会2019年年会・総会
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- Kobeite-(Y)
- イットリウム河辺石 - 東京大学物性研究所電子顕微鏡室
- 大宮町の河辺石ほか希元素鉱物 - 京都府レッドデータブック