ロワールワイン
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ロワール渓谷のワイン(仏: Vignoble du Val de Loire)は、フランス最長の川であるロワール川流域で産出されるワインの総称である。
概要
[編集]生産地は、ペイ・ド・ラ・ロワール地域圏が中心であるが、上流域ではサントル=ヴァル・ド・ロワール地域圏、ブルゴーニュ地域圏に及んでいる。あまりにも広大で、上流と下流では品種や生産されるワインの特性も異なることもあって、地域全体に適用されるAOCが存在しない。ボルドーやブルゴーニュのワインに見られるような「偉大な」、つまり高価なワインはあまりなく、親しみやすいものが多い。赤・白・ロゼが作られているが、白ワインが多く、フランスAOC白ワインの生産量第一位を誇る。また、フランスのロゼワインとしては最もポピュラーなロゼ・ダンジューはこの地方で作られている。
主なロワールワイン
[編集]ロワール=アトランティック県(ペイ・ド・ラ・ロワール地域圏)
[編集]- ミュスカデ - ロワール川河口にあるロワール=アトランティック県の県庁所在地ナント(人口約28万)の周辺で多く作られている辛口の白ワイン。
メーヌ=エ=ロワール県(ペイ・ド・ラ・ロワール地域圏)
[編集]- サヴニエール (Savennières) - メーヌ=エ=ロワール県の県庁所在地アンジェ近郊のサヴニエール村(人口1157人)で作られているシュナン・ブラン種のぶどうで作られる辛口の白ワイン。香りが高くコクもあり、クリュもののサヴニエール=ロシュ・オ・モワーヌやサヴニエール=クーレ・ド・セランをはじめ、高価なものもある。
- アンジュ (Anjou) - 赤・白・ロゼが作られているが、ロゼが有名。ほかにグロローからつくられるロゼ・ダンジュー、カベルネ・フランで作られるカベルネ・ダンジューの2つの甘口AOCがある。
- ソーミュール (Saumur) - カベルネ・フラン種による赤ワインは、こくのある良質なものが多い。とくにソーミュール・シャンピニー (Saumur Champigny) のAOCが知られている。ほかに、ソーミュール・ペティヤン (Saumur Pétillant) と、スパークリング・ワインのソーミュール・ムスー (Saumur mousseux) 、甘口のコトー・デュ・ソミュール(Coteau de Saumur)というAOCがある。
アンドル=エ=ロワール県(サントル=ヴァル・ド・ロワール地域圏)
[編集]- ヴーヴレ 県庁所在地のトゥールやヴーヴレで作られる、優れた味わいの白ワイン
- シノン - 古城巡りの観光都市として有名であるが、ワインでもよく知られている。赤はカベルネ・フラン種を使ったもので、タンニンがしっかりしたこくのある高級品と、若飲み用の、普及価格のものがある。白はシュナン・ブラン種による辛口である。カベルネ・フラン種による辛口のロゼもある。
- ブルグイユ - シノンの北西にある人口4千人ほどのブルグイユの村を中心に作られるワイン。ロワールのワインでは最もこくのある赤ワインといわれている。
- トゥレーヌ - トゥール市を中心にした3つの県、70の村を含むAOC。赤・白・ロゼ・スパークリングワインと、様々なタイプがある。
シェール=エ=ロワール県
[編集]シェール県(サントル=ヴァル・ド・ロワール地域圏)
[編集]- サンセール (Sancerre) - 対岸のプイイ・フュメとよく似た辛口の白ワインが主であるが、少量ながら赤も生産されている。
ニエーヴル県(ブルゴーニュ=フランシュ・コンテ地域圏)
[編集]- プイィ・フュメ (Puilly-Fume) - ブルゴーニュ地域圏の南西端、ロワール川右岸の人口1700人あまりの村プイイ・スュル・ロワール (Pouilly-sur-Loire) で、ソーヴィニョン・ブラン種のぶどうから作られる、燻製のような煙でいぶした香りがする白ワイン。ユニークな存在である。
特別扱いのシャンパーニュを除くと、ロワールは質・量ともに優れたスパークリングワインの産地である。AOCクレマン・ド・ロワール (Crément de Loire) は、シャンパンよりはライトであるが、千円強の値段で楽しめる。