ヤマトマダニ
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ヤマトマダニ | |||||||||||||||||||||||||||
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ヤマトマダニの光学顕微鏡像[1]。A, B, Cがメス、D, E, Fがオス。
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分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Ixodes ovatus Neumann, 1899[2] |
ヤマトマダニ(Ixodes ovatus)は、ダニ目マダニ科マダニ属に分類されるダニの一種。
特徴
[編集]一般にマダニ類は未吸血時の体長が2 - 7 mmの大型のダニで、卵、幼ダニ、若ダニ、成ダニの4つの発育ステージを持つ[3]。本種は体長約2 - 3 mmで、体色は黄褐色である[4]。日本国内では北海道から鹿児島まで広く分布し[5]、同属のシュルツェマダニが北方系と呼ばれるのに対し、本種は南方系と呼ばれる[3]。本州中部以北や高標高域では普通種である[6]。日本以外には東南アジアや台湾、韓国、中国に分布するとされる[1]。
マダニは山林に生息し、脊椎動物に寄生して吸血を行う[7]。ヤマトマダニは4つの発育ステージのうち、幼虫と若ダニは小型の哺乳類に寄生するが、成ダニはヒトを含めた大型哺乳類に寄生する事で知られ[4][3]、日本国内ではこれまでに多数の人体寄生例が報告されている[7]。日本では人体寄生するマダニでも特に主要な種として知られるが[5][7][1]、日本国内以外でもチベット、ミャンマー、ネパール、中国において人体寄生例が報告されている[8]。
病原体の媒介
[編集]ヤマトマダニは日本特有のボレリア属細菌であるBorrelia japonicaを保有する事で知られる[3][8][9]。ただし、この菌は病原性の弱い弱毒菌、ないし無毒菌であると考えられている[3][9]。また、ヤマトマダニはライム病を引き起こす病原菌であるB. burgdorferi(広義)を媒介しないと考えられているが、2014年に台湾でライム病を引き起こすボレリアが本種から同定された[1]。
参考文献
[編集]- ^ a b c d Chao LL, Liu LL, Ho TY, Shih CM. (2014). “First detection and molecular identification of Borrelia garinii spirochete from Ixodes ovatus tick ectoparasitized on stray cat in Taiwan”. PLoS One 9 (10): e110599. doi:10.1371/journal.pone.0110599. PMID 25343260.
- ^ “Ixodes ovatus”. NCBI. 2016年7月6日閲覧。
- ^ a b c d e 堀内 信之「長野県佐久地方におけるマダニ刺こう症とライム病の臨床疫学的研究」『日本農村医学会雑誌』第50巻第2号、2001年、85-95頁、doi:10.2185/jjrm.50.85、NAID 130004384652。
- ^ a b “マダニ類について”. 名古屋市. 2016年7月7日閲覧。
- ^ a b 宮本 健司、中尾 稔「ライム病病原体保有マダニ類の分布状況」『病原微生物検出情報月報』第13巻、1992年 。
- ^ 山内健生・高田 歩 (2015) 日本本土に産するマダニ科普通種の成虫の図説. ホシザキグリーン財団研究報告, 18: 287-305.https://www.niid.go.jp/niid/images/ent/PDF/2015yamauchi_ticks.pdf
- ^ a b c 沖野 哲也、後川 潤、的場 久美子、初鹿 了「本邦におけるヤマトマダニ人体寄生例の概観 : 文献的考察(続報)」『川崎医学会誌』第33巻第2号、2007年、79-86頁、NAID 110006351407。
- ^ a b Estrada-Peña A, Jongejan F. (1999). “Ticks feeding on humans: a review of records on human-biting Ixodoidea with special reference to pathogen transmission”. Exp Appl Acarol. 23 (9): 685-715. PMID 10581710.
- ^ a b 橋本 喜夫、宮本 健司、飯塚 一「北海道のマダニ刺咬症とライム病」『皮膚病診療』第25巻第8号、2003年、926-929頁、NAID 120003001143。
外部リンク
[編集]- ヤマトマダニ - 国立感染症研究所
- 山内健生, 高田歩「日本本土に産するマダニ科普通種の成虫の図説」(PDF)『ホシザキグリーン財団研究報告』第18号、ホシザキグリーン財団、2015年3月、287-305頁、ISSN 13430807、NAID 40020475798。