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サレン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
サレン
サレン
E,E
一般情報
IUPAC名 N,N'-ビス(2-ヒドロキシベンジリデン)エチレンジアミン(系統名)
N,N'-ビス(サリチリデン)エチレンジアミン(許容慣用名から誘導)
別名 H2salen
分子式 C16H16N2O2
分子量 268.31
形状 黄色固体
CAS登録番号 [129409-01-4](E,E体)
[94-93-9](立体不定)
SMILES C2=CC=CC(C=NCCN=CC1=C(O)C=CC=C1)=C2O
性質
融点 125–126 °C

サレン (salen) とは、有機化合物の一種で、有機金属化学の分野で配位子としてしばしば用いられる化合物である。2分子のサリチルアルデヒドと1分子のエチレンジアミンとが脱水縮合したシッフ塩基イミン)。広義では、サレンの骨格上に置換基が導入された各種誘導体を含むこともある。

サレン(salen)の名称は、サリチルの「sal」と、エチレンジアミンの略称「en」を合わせたものに由来する。

合成

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エタノールなどの溶媒中、サリチルアルデヒドとエチレンジアミンを 2:1 のモル比で混ぜて穏やかに加熱すれば、脱水縮合が起こりサレンを簡単に得ることができる。サレンの誘導体についても同様の手法で合成できる。アンモニウムを基質とする場合は、中和のためにあらかじめ塩基を加えておく[1]

サレン錯体

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サレン錯体(M は金属)

サレンはさまざまな金属に対し、キレート性の4座配位子としてはたらく。また、適当な基質を選ぶことで、キラリティを持たせたり、電気的、立体的な性質を調節することができる。そのため、有機金属化学においてサレンを配位子とする錯体(サレン錯体)は、特に不斉合成、酸化反応などにおける触媒としての研究が盛んに行われている。特にエリック・ジェイコブセン香月勗による不斉エポキシ化(マンガン錯体を用いる)反応が有名である。

サレン錯体は、サレンに金属の塩を加えるか、あるいは、上述したサレンの合成の際に金属の酢酸塩などを同時に加えておけば、得ることができる[1]

参考文献

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  1. ^ a b Larrow, F.; Jacobsen, E. N. Org. Synth. Coll. Vol. 10, p.96 (2004); Vol. 75, p.1 (1998).[1]