オクタフルオロキュバン
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オクタフルオロキュバン | |
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1,2,3,4,5,6,7,8-octafluorocubane | |
別称 perfluorocubane | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 623570-55-8 |
PubChem | 16746787 |
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特性 | |
化学式 | C8F8 |
モル質量 | 248.07 g mol−1 |
外観 | 無色、昇華性 |
密度 | 2.429 g/cm3 |
融点 |
160.1-171.1 °C |
関連する物質 | |
関連物質 | オクタニトロキュバン |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
オクタフルオロキュバン(octafluorocubane)またはペルフルオロキュバン(perfluorocubane)は、分子式C
8F
8の有機フッ素化合物であり、8個の炭素原子が立方体状に組み合わさり、それぞれの頂点にフッ素原子が付いた構造をしている。無色の昇華性固体である。長年理論的な興味の対象であったが、2022年に初めて合成された。X線結晶構造解析によれば、C–C結合距離(1.572 Å)は母化合物のキュバンにおける結合距離と等しい[1]。
オクタフルオロキュバンはその特異な電子構造により、理論化学者から興味を持たれ[2]、2008年には内部に電子を受容することが理論的に予測された[3]。実際、合成されたオクタフルオロキュバンは一電子還元を受け易く、立方体内部に電子を捕捉した陰イオンC8F−
8を形成する[1][4]。
オクタフルオロキュバンはChemical & Engineering News(米国化学会が発行する週刊誌)によって2022年の「今年の分子」に選ばれ、読者によるお気に入り分子の投票では第1位となった[5]。
出典
[編集]- ^ a b Sugiyama M, Akiyama M, Yonezawa Y, Komaguchi K, Higashi M, Nozaki K, Okazoe T (August 2022). “Electron in a cube: Synthesis and characterization of perfluorocubane as an electron acceptor”. Science 377 (6607): 756–759. doi:10.1126/science.abq0516. PMID 35951682.
- ^ Pichierri, F. (2017). “Substituent effects in cubane and hypercubane: a DFT and QTAIM study”. Theor. Chem. Acc. 136: 114. doi:10.1007/s00214-017-2144-5.
- ^ Karl K. Irikura (2008). “Sigma Stellation: A Design Strategy for Electron Boxes”. J. Phys. Chem. A 112 (5): 983–988. doi:10.1021/jp710372p.
- ^ Krafft MP, Riess JG (August 2022). “Perfluorocubane-a tiny electron guzzler”. Science 377 (6607): 709. doi:10.1126/science.adc9195. PMID 35951708.
- ^ Leigh Krietsch Boerner (2022). “Check out C&EN’s molecules of the year for 2022”. C&EN 100 (44): 32–33 .
推薦文献
[編集]- 杦山真史・秋山みどり・岡添 隆「【解説】前人未踏の全フッ素化キュバンの合成に成功!!――立方体型分子に電子を閉じ込めた状態を観測」『化学』第78巻第2号、化学同人、2023年、12-16頁。
- DAICHAN (2022年10月1日). “電子を閉じ込める箱: 全フッ素化キュバンの合成”. Chem-Station. 2023年1月20日閲覧。